2019年07月17日 11:51 弁護士ドットコム
パートナーが「オレたちの事実婚は、もう解消されている」と宣言し、一方的に別れを迫ってきたーー。そんな女性が、弁護士ドットコムに相談を寄せました。
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相談者によれば、パートナーは「俺は自由恋愛をしている。彼女とは1年後に結婚の約束もした」と言っているそうです。2人は数年前に挙式も執り行い、婚姻届こそ提出していないものの「周囲もうらやまう仲の良い円満な夫婦」だと言います。女性は到底、こんな一方的な別れを受け入れることはできないと考えています。
この2人は婚姻届けは提出していませんが、それでも事実婚にあると考えられるのでしょうか。今回のような場合、相手は不貞行為をしたといえるのでしょうか。その場合、慰謝料は発生するのでしょうか。近藤美香弁護士に聞きました。
「結論から言えば、相談者は事実婚(内縁関係)にあったと言える可能性が高いと考えられます。したがって、相手の男性がいきなり第三者と男女関係となって別れを告げたとすれば、男性は女性に慰謝料を支払う義務が生じると言えるでしょう」
相談者のケースは、いわゆる「同棲カップル」ではないと認められるのですね。
「数年間同棲していたとしても、夫婦としてではなく、恋人同士として生活していた場合、別れるのは自由です。
しかし、いわゆる事実婚(内縁関係)にあった場合は、いきなり関係を不当に解消したとすれば、相手に慰謝料等を支払なければならない場合があります。事実婚(内縁関係)がある場合は、その関係は法律婚と同じように保護されるべきと考えられているからです」
どのような場合に事実婚(内縁関係)が成立していると言えるのでしょうか。
「婚姻届けを出していなくても、自分たちを夫婦であると考え、法律上の夫婦と同じような共同生活をしていて、周りにも夫婦と認識されていたような場合は、事実婚(内縁関係)にあると言えます」
事実婚(内縁関係)のカップルが別れるときは、どのような手続きが必要ですか。
「事実婚の場合は、事実上の夫婦関係がなくなってしまえば(すなわち別れれば)、事実婚が解消されてしまいます。
ただし、夫婦として形成してきた資産があれば、法律婚と同様に財産分与をしなければなりませんし、事実婚の解消の原因が片方の不貞行為や暴力である場合は、今回の相談事例のように慰謝料を支払う義務が生じることもあります。
したがって、事実婚を解消する場合も、夫婦が離婚する場合と同じように、協議や必要に応じて調停等のステップを踏んで話し合うことが必要と考えらえる場合が多いでしょう」
【取材協力弁護士】
近藤 美香(こんどう・みか)弁護士
弁護士登録直後から大手弁護士法人にて500件以上の離婚・不倫慰謝料問題の解決に関与。夫婦カウンセラー資格保有。これまでキャリアを生かし、独立後も引き続きこれらの問題に注力しています。
事務所名:エトワール法律事務所
事務所URL:https://etoile-lawoffice.jp/