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BUMP OF CHICKENのライブに感じた4人の結束力 初尽くしのメットライフドーム公演を見て

2019年07月17日 07:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『BUMP OF CHICKEN TOUR 2019 aurora ark』(写真=古溪一道)

 前作『Butterflies』から、およそ3年半ぶりとなる通算9枚目のアルバム『aurora arc』を7月10日にリリースしたばかりのBUMP OF CHICKENが、その新作を携えた全国ツアー『BUMP OF CHICKEN TOUR 2019 aurora ark』を、埼玉・メットライフドーム 2DAYよりスタートさせた。


(関連:BUMP OF CHICKEN『aurora arc』レビュー:バンドの歩みが“オーロラの弧”のように結実


 筆者が目撃したのは初日の公演。この日はBUMP OF CHICKENにとって、元号が「令和」になってから初のライブであり、メットライフドームでの初公演であり、『aurora arc』からの楽曲を初お披露目する場……と「初」が続く特別な日。藤原基央(Vo/Gt)は「初めての場所でも、なんだか初めてじゃないような気持ちでいられるのは、みんなが温かく迎えてくれているから。僕らも『音楽』を楽しんでいます。ありがとう!」と挨拶すると、会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こった。


 この日のセットリストは、最新アルバム『aurora arc』からの楽曲を中心に、過去の代表曲を随所にちりばめたもの。TBS系日曜劇場『グッドワイフ』主題歌の「Aurora」では、増川弘明(Gt)のディレイをたっぷりとかけつつもキラキラとしたギターバッキングに導かれ、升秀夫(Dr)が踏み鳴らす力強いキックの音がドームいっぱいに轟き渡る。すると、事前に配られたリストバンド・PIXMOBが曲に合わせて光り出し、スタンド席からアリーナを見渡すと、まるで光の絨毯のような光景が目の前に広がった。


 さらに、この曲のMVを手がけた林響太朗監督による、オーロラをイメージしたような幻想的なオイルアートが、ステージ後方に設置された巨大なLEDスクリーンいっぱいに映し出され、レーザーなどを用いた照明、スモークとともに楽曲を鮮やかに彩っていく。今年、メンバー4人がカナダで観たというオーロラを疑似体験しているような、否、4人の脳内で増幅された、実際のオーロラよりもスペクタクルなイメージを、音、映像、光が織りなす「現象」として目の前にありありと再現したような演出に、ただただ圧倒されるばかりだ。


 「話がしたいよ」は、映画『億男』主題歌にもなった、まるで大草原を彷彿とさせるような壮大かつアーシーなミドルバラード。ピアノの弾き語りで始まり、曲の中盤では優雅なストリングスセクションが絡むドラマティックなアレンジが特徴だ。黒いアコースティックギターを抱え、ファルセットを巧みに織り交ぜながら、繊細かつソウルフルに歌い上げる藤原の歌声が、心のひだに優しく染み渡る。曲の後半はコーラスのリフレインを全員でシンガロングし、会場は高揚感と一体感に包まれた。


 日清食品「カップヌードル」の新CM「HUNGRY DAYS ワンピース ゾロ篇」にも起用され、すでにお茶の間でもお馴染みとなっている「記念撮影」では、コーラスをたっぷりとかけた増川のきらびやかなアルペジオが流れ出した瞬間、会場からは大きな歓声が。続いて升がスティックでリズムを取り始めると、それに合わせて自然発生的にハンドクラップが巻き起こった。倍音をたっぷりと含んだ藤原の声は、優しさや繊細さだけでなく「激情」や「官能」も内包されており、聴く者の感情を様々にざわつかせる。シンコペーションの効いたリズムに絡む、直井由文(Ba)の太くて重い5弦ベースがその歌声と美しいメロディを、グッと引き立てているのも印象的だった。


 どの曲にも趣向を凝らした演出がなされていたが、基本となるのはやはりバンドアンサンブル。同い年であり、幼稚園からの幼馴染である4人だからこその結束力を、ひしひしと感じさせるパフォーマンスだった。


 このツアーは全国のドームおよび5都市のライブハウスを舞台に、全18公演を行う大規模なもの。ツアーファイナル公演は11月3日と4日に東京・東京ドームにて行われる。今回のメットライフドーム公演は、『aurora arc』リリースの2日後となる初日12日と翌13日に開催され、2日間合わせて7万2000人を動員した。(黒田隆憲)