ジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)がSBK第9戦アメリカで2勝を挙げ、前半戦をチャンピオンシップのランキングトップで終えた。レイは第9戦アメリカでmランキング2番手につけるアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)との差を81ポイントをに広げている。
レイはレース1で序盤からトップに立った。2番手のチャズ・デイビス(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)、3番手のバウティスタがレイを追うが、ドッグファイトを展開するにはやや開きがあった。5周目にバウティスタが転倒を喫して大きくポジションを下げると、レイは少しずつデイビスとの差を広げて優勝を果たす。
レイは「週末のペースは安定していると感じていた」と、手ごたえがあったようだ。そう簡単なレースではなかったようだが、レイは自分のペースを築いてトップを守った。
「オーバーテイクするには路面状況が厳しく、どんなミスも犯さないようにした。序盤から厳しかったよ。今朝よりも風が強かったから。自分のリズムをつくるのに、数周が必要だった」
翌日に行われたスーパーポール・レースでは、オープニングラップの8コーナーでアレッサンドロ・デルビアンコ(アルティア・ミエ・レーシングチーム)とワイルドカード参戦のJ.D・ビーチ(アタック・パフォーマンス・エステンソン・ヤマハ)が転倒。マシンの破片がコース上に飛び散ったことで、レースは赤旗中断となった。
8周で行われた再開後のレースで、レイは2周目にファステストラップ、1分22秒700をマーク。これはレース1でバウティスタが記録したファステストラップのレコードを更新するタイムだった。レイは8周という超スプリントレースで、2位フィニッシュのデイビスに対し2.5秒以上の差を築いて優勝を飾った。このときの勝利で、レイはSBKで通算80勝目を達成している。
続くレース2では、デイビスに先行を許し、単独2番手走行を続けてチェッカー。3連勝達成はならなかったが、レイは第9戦アメリカの週末に満足している。
「僕がここでファステストラップのレコードを更新する、そして2レースで優勝するって誰かが言っても、信じられなかっただろうね。本当にすばらしい週末だった」
レース2でデイビスに遅れをとったレイ。そこにはセッティングの変更という理由があったという。
「スーパーポール・レースとレース2との間で、バイクに小さな変更を施したんだ。感じがまったく変わって、それは期待どおりのものではなかった。それまではフロントが安定していたんだけど、フロントがひどく動くようになってしまった」
とはいえ、第9戦アメリカの3レース中、2勝を挙げ、1度の2位表彰台。チャンピオンシップを争うランキング2位のバウティスタが、レース1では単独転倒、スーパーポール・レースでは他車との接触により転倒して負傷し再開後のレースに出走せず、レース2では負傷によって途中リタイア……、というノーポイントであったことを考えれば、レイにとって上々の前半戦締めくくりだったはずだ。
レイはここまで、バウティスタが速さと強さを誇っていたシーズン序盤も2位フィニッシュを積み上げてきた。第9戦アメリカまでの16レースで、表彰台を逃したレースはわずかに3レース。リタイアを喫したレースもノーポイントで終わったレースも、まだない。これがチャンピオンの獲り方を知る、SBKの4連覇王者たるゆえんなのだろう。後半戦、レイが5度目のタイトル獲得に向けてさらにポイント差を広げることになるのだろうか。