全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦富士の決勝レースで、アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)が優勝し、チームに2010年開幕戦以来の優勝をもたらした。レース後の決勝会見では、優勝チーム監督の中嶋悟氏がレースを振り返るとともに喜びを語った。
スーパーフォーミュラで、9年ぶりに優勝を獲得し、「久しぶりにこういう場(決勝会見)に来られたことを嬉しく思います。今年になって牧野(任祐)とパロウのふたりに速さがあり、今までとは違う緊張感のなかでレースができています。4レース目で(優勝の)プレゼントをしてくれたのは本当に嬉しいし、もう一回くらい(優勝できたら)いいなって思います」と喜びを表す。
決勝は、パロウが2番手とギャップを築きポール・トゥ・ウインを飾ったが、ウエットでのレースだったため何度かオーバーランする場面が見られた。
「オーバーランするシーンが(モニターに)突然映るわけですからね。大事に至らずによかったなと思います。それよりも、とにかくペースは悪くないので、そのまま行ければと思っていました」
「タイムレースになったこともパロウに伝えませんでした。伝えたところで変に気にしてしまってはいけないので、最終ラップまで言いませんでした。頑張って走りすぎてしまうといけないですからね。ガソリンが余っていたらいっちゃうじゃないですか。それも嫌だったので、最後まで言わなかったです」
最終ラップをトップで迎えた時の心境は「我々の計算通りのレースができたなと思いました。9年前にチームにいたスタッフはほとんどいないので、スーパーフォーミュラの優勝というのはエンジニア、メカニックも初めてです。それを見て喜んでいました」と語り、チームスタッフへの想いを以下のように続けた。
「少し寂しい時代があったので、若いメカニックとエンジニアが喜ぶ顔が一番嬉しかったです。パロウはもちろん初優勝だし、みんな初めてなので、その顔が嬉しかったです」
「今年になってメカニックたちは、ピット作業などで今までにない緊張感を持ってきました。それがまずひとつ報われて、これからはこの喜びをもう一度、という気持ちで仕事に励んでくれればなと思います」
また、無給油作戦で勝てると思ったタイミングについて聞かれ「雨が上がることもあるので何が起こるかわからないけれど、もしこのコンディションが続くのであれば、あのセットでいけば大丈夫だろうと思っていました。あとはドライバーとの間で調整するとのことだったので、燃料に関しては、ハーフディスタンスでこのペースであればOKだという考えでした」と続ける。
「この時にもし後続が来たら、ちょっと無理をしないといけませんでした。ドライバーの努力もかなりありますが、放っておくと(ドライバーは)どんどん速くなってしまうので、(燃料が)マイナスになってしまう。だから少しブレーキをかけさせました」
「トップスピードは、坪井(翔)くんが一番遅く、それに続きパロウ。ニック(・キャシディ)はずっと速かったです。要は、いかにうまくリフトするかということだと思います。(パロウは)そんなことをしながら、でもペースも速い運転ができたのかなと思います。(レースの)半分の頃には勝てると思いました」