リクルートキャリアは今月上旬、2020年卒就職プロセス調査を発表した。来春卒業予定の大学生の就職内定率が7月1日時点の同時期比で、過去最高の85.1%となった。人手不足の深刻さが問題視されるが、就活生からすれば非常にありがたい現象だろう。
そんな中、7月12日の「モーニングCROSS」(MX系)では、明治大学大学院教授の野田稔氏が就職しても3年以内に会社を辞める"早期離職者"について語った。(文:石川祐介)
本来、インターンは「入社前に仕事を見て、自分に合っているかを考えるもの」
厚生労働省の調べによると、就職後3年以内の離職率は「中卒」で64.1%、「高卒」で39.3%、「大卒」で31.8%と決して低くない。野田氏はこの原因について「希望する仕事じゃなかった」「入社したけど将来的なキャリアが見えてこない」などミスマッチが多いと話す。
入社後のミスマッチを解消するためにインターンシップが行われるようになったものの、「いいこと(制度)なんですけど、ちゃんと運用されていないため、本来の価値を出せていないケースが多い」と指摘。
「インターンシップでよく言われるのが"RJP(Realistic Job Preview)"です。要するに、『入社前に仕事を前もって見ることで、自分に合っているかどうかを考えましょう』ということです」
ただ、インターンシップで就活生にネガティブな部分は隠してリアルな仕事を見せない、RJPの原則に反している企業は少なくないという。
企業はインターンで「本当の仕事、働く人、将来のキャリア」を見せるべき
野田氏はインターンシップが原因で、業務内容だけでなく、人間関係のミスマッチも生じてしまうと話す。
「インターンシップの対応をしている社員は若手で優秀層がくるんです。『こういう話の分かる先輩なんだ』と思って現場行ったら、どうにもならない頑固オヤジ(に苦労することがある)」
「本当の仕事を見せる」というRJPだけではなく、「どういう人が働いているのか」「どういうキャリアが描けるのか」なども就活生に包み隠さず見せるようにしなければいけないと野田氏は語気を強めた。
ネット上では、「インターンという名のタダ働きの強要も横行してる」という声も見られた。インターン生を都合の良い労働力と捉える企業も存在するため、インターンシップの定義を明確化し、ルールを設けることも必要だ。
一方、「インターンシップにさせる仕事を考えるのが大変です」という企業側の嘆きも寄せられた。人材を定着させるためにも、本当に効果的なインターンシップとはなんなのか、改めて考える時期に来ているということだろう。