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トロント戦で上位を争った琢磨。無念のトラブルに「ここで5位に入るのは大事だったが仕方がない」

2019年07月15日 14:21  AUTOSPORT web

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好走を見せながら結果に繋がらない後半戦の佐藤琢磨。次戦で巻き返しなるか?
NTTインディカー・シリーズは第11戦トロントのレースを迎えた。シリーズのうち唯一カナダで行われるレースであり、今シーズン最後のストリートレースでもある。

 レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨は、この第11戦の前にイギリスのグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードに参加してから、大西洋を渡ってトロント入りした。

 琢磨とトロントの相性は決して悪くないのだが、なかなか結果に繋がっていない。またここ数戦上位入賞から遠ざかっており、チャンピオンシップを考えれば好結果が欲しいところだ。

 フリープラクティスが始まると調子が良さそうに見えたが、ターン11でスピンを喫し、午後の2回目のプラクティスでも同じくターン11でウォールにヒット。ダメージはサスペンションにも及びセッションは早々に切り上げることになってしまった。

「コースウォークでも確認したんですが、走ったらあそこ(ターン11)は、おかしい。聞いてみると路面の補修に接着剤のみたいなものを使っていて、それが原因みたいですね」という琢磨の他にも、ジョゼフ・ニューガーデン、ウィル・パワーもスピンを喫していた。

 土曜日午前のプラクティス3でも、各ドライバーのスピンが相次ぎ、3度も赤旗が出る羽目となった。そしてセッション終了間際、全車がコースインしていく中で、琢磨の真後ろにいたセバスチャン・ブルデー(デイル・コイン)が琢磨に幅寄せをしながらオーバーテイク! その前のニューガーデンにも追突寸前だった。

 セッション終了後、琢磨は隣のピットのボルデーに詰め寄り、その真意を質そうとすると両者はヒートアップした。

「最後のピットアウトの後は全車ワンラップするのが保証されているのに、意味なく幅寄せしながら追い越していって、僕も他のみんなも貴重なワンラップが台無しになってしまった」

「彼が何をしたいのか聞こうと思って、問いただしたら、向こうもエキサイトしてきました。まったく意味がわからない」。珍しく興奮した琢磨だったが、これに対する判断はインディカーからは下されなかった。

 ともあれ、午後には予選が始まる。プラクティス2でレッドを履けず心配が残る琢磨だが、Q1はなんとか5番手で通過した。Q2はユーズドのレッドからニューのレッドに履き替える試みだったが、奏功せずに10番手で予選が終わった。

 ファストシックスは難しかったにしろ、プラクティスの走行不足からよくぞ僅差のタイムでQ2まで進出したものである。


 そして日曜朝のウォームアップでは、レッドタイヤで好タイムを出し、ブラックでも堅調な走りを見せた。

 スタートは昨年ポコノで大クラッシュとなり、現在も車椅子生活を強いられてるロバート・ウィケンスがハンドドライブのスペシャルNSXで先導するという感動的なパレードで始まった。

 グリーンフラッグでレースがスタートすると、琢磨はスタート直後の混乱からポジションをふたつ上げ8番手で1周目を終える。

 そして因縁のブルデーを12周目にパスして7番手に上がった。琢磨はレッドタイヤのライフをギリギリまで持たせて上位陣の最後になって1回目のピットストップを敢行した。

 ピットアウト後は再び10番手となるが、そこからまた1台ずつオーバーテイクして、34周を過ぎる頃には5番手まで順位を上げていた。

2度目のピットインは51周目、予定ではこれが最後のピットインだった。ピットでの逆転はならなかったが、前を走るニューガーデンには追いついており、隙あらばオーバーテイクできるポジションまできていた。


 上位はトップからシモン・パジェノー、スコット・ディクソン、アレクサンダー・ロッシ、そしてニューガーデンとランキング上位のドライバーばかり。その中で5位でフィニッシュ出来ればポテンシャルを証明出来たはずだった。

 しかし残り20周を切ったところで琢磨のペースがガクンと落ち、琢磨はクルマをピット向けた。途中エクゾーストから火柱も上がり、ピットにマシンを止めた琢磨は急いでマシンを降りることになった。


「スタートもうまくいったし、レースペースも良くて、ピットワークも、タイヤ戦略もうまくいってました。すべて良かったんですけどね。残念だけどマシンが壊れてしまいました。ここで5位に入っておくのは大事だったんですが、こればっかりは仕方がないですね。また次のアイオワで頑張ります」

 5位のままチェッカーを受けていたら、ここ数戦の悪い流れを止めることになっただろう。来週のアイオワは昨年3位になって、終盤の流れを変えたレースでもある。今季のインディカー・シリーズも、残すところあと6戦となった。終盤戦にもうひと暴れする琢磨が見られるだろうか?