2018/19年のABBフォーミュラE選手権は7月14日、アメリカのニューヨーク市街地でシーズン最終戦となる第13戦の予選・決勝が行われ、予選2番手からスタートしたロビン・フラインス(エンビジョン・ヴァージン・レーシング)が優勝を飾った。シリーズチャンピオンはジャン-エリック・ベルニュ(DSテチーター)が獲得し、シリーズ2連覇を達成している。
電動フォーミュラカーで争われているフォーミュラE。よりアグレッシブなスタイリングに進化した第2世代シャシー“Gen2”導入初年度となった2018/19年シーズンがついに最終戦を迎えた。
チャンピオン争いではランキングトップのベルニュが130ポイント、同2位のルーカス・ディ・グラッシ(アウディスポーツ・アプト・シェフラー)が108ポイント、3位のミッチ・エバンス(パナソニック・ジャガー・レーシング)が105ポイント、4位のセバスチャン・ブエミ(ニッサン・e.ダムス)が104ポイントで、この4名がチャンピオン獲得の権利を残している。
前日の第12戦同様、第13戦が行われる14日もニューヨークは晴天に恵まれ38度と厳しい暑さとなった。決勝前に行われた公式予選ではアレクサンダー・シムス(BMW i アンドレッティ・モータースポーツ)がポールポジションを奪い、フロントロウにフラインス、3番手にブエミが続いた。
ポールポジションポイント3ポイントを逃したため、この時点でブエミは逆転チャンピオンの可能性を喪失。チャンピオン争いはベルニュ、ディ・グラッシ、エバンスの3名に絞られた。
このなかで、ランキングトップのベルニュは22ポイントのアドバンテージを手にしていることもあり、8位以上に入ればシリーズ連覇が決まる状況で最終戦へ臨むことになったが、予選では12番手。優勝がチャンピオン獲得への絶対条件となるディ・グラッシは11番手、同じく優勝が必要なエバンスは8番手からレースをスタートすることになった。
45分+1周の決勝レースでは、マシンの出力を上げられる“アタックモード”の使用義務が今季初めて3回となるなかスタート。オープニングラップではシムスがポジションを守った一方、1コーナーの飛び込みでブエミが2番手に浮上、フラインスは3番手に後退する。チャンピオンを争う3人はエバンス8番手、ディ・グラッシ10番手、ベルニュ11番手でオープニングラップを終えた。
またオープニングラップの7コーナーでは、ホセ-マリア・ロペス(ジェオックス・ドラゴン)とアンドレ・ロッテラー(DSテチーター)が接触。ロペスはマシンリヤを痛めてコース脇にマシンを止めたほか、ロッテラーも足回りを壊し、リタイアを余儀なくされた。
ロペスのマシンがコース上に止まったため、レースは残り40分+1周のタイミングでセーフティカーが導入され、一度仕切り直されると、残り34分+1周となった6周目に再開。このリスタートでも上位3名が順位を守っていく。
トップのシムスは2秒近いリードを築いて逃げていく一方、2位争いは接近。すると8周目の1コーナーで、フラインスがブエミのインに飛び込むとオーバーテイクに成功、ポジションを奪い返してみせた。2番手に浮上したフラインスはさらにペースを上げてシムスの背後に迫ると、16周目の1コーナーでインからオーバーテイクし、ラップリーダーにおどり出た。
その後もフラインスはペースを上げて周回を重ねると、最終的に3.2秒の大量リードを築いて優勝。第8戦パリE-Prix以来となる今シーズン2勝目を上げた。2位は終盤ラップペースを落としたシムスが確保、3位にはブエミが入りニューヨークE-Prixで連続表彰台を手にしてみせた。
チャンピオン争いでは、エバンス、ディ・グラッシが着実に前方の車両を交わしていき、レース残り9分を切った27周目の時点では6~7番手に。一方のベルニュも9番手に浮上して2台を追いかける。
その後はシムスを先頭とする2位争い集団に追いつき、頭を抑えられる形となったエバンスとディ・グラッシだったが、最終ラップのターン10立ち上がりのストレートでディ・グラッシがエバンスを交わそうと並びかけたところで両者が接触。2台ともターン7のバリアへ突っ込んでしまった。
これでベルニュが7位までポジションを上げてチェッカー。獲得ポイントを136ポイントまで伸ばし、2017/18年シーズンに続くシリーズ2連覇を達成してみせた。フォーミュラEでシリーズ連覇を達成したドライバーはベルニュが初めてだ。
チャンピオンを争っていた2台が無得点に終わったこともあり、ドライバーズランキング2位にはブエミが浮上している。3位はディ・グラッシ、4位はフラインスだった。
チームランキングではDSテチーターが王座を獲得し、昨年はアウディスポーツ・アプト・シェフラーに奪われたチームタイトルを手中に収めている。2位はそのアウディスポーツ・アプト・シェフラー、3位はエンビジョン・ヴァージン・レーシングが獲得。この2018/19年シーズンからワークス参戦を開始したニッサン・e.ダムスはエンビジョンと1ポイント差の4位で参戦初年度を終えた。
2018年12月に開幕した第5シーズンにあたる2018/19年フォーミュラEはこれで全戦が終了。メルセデスとポルシェがワークス体制で参戦を開始する2019/20年シーズンは11月22~23日、サウジアラビア・ディルイーヤのダブルヘッダーで開幕する予定だ。