7月14日現地時間14時10分、イギリスGP決勝がスタートしメルセデスのルイス・ハミルトンが優勝を飾った。レッドブル・ホンダのピエール・ガスリーが4位、マックス・フェルスタッペンは5位に入った。
日曜日は朝から時折小雨がパラつく天候の下、気温は18度、路面温度は30度とこの週末で最も寒いコンディションとなった。
グリッド上でフェルスタッペン車はリヤウイングに問題が見付かり急きょ交換作業を行なった。
上位ではメルセデス勢とレッドブル勢だけがミディアムタイヤ、11番手以下ではハース勢とクビアトだけがソフトタイヤでそれ以外はミディアムをスタートタイヤに選んだ。
スタートでは大きな混乱はなく、2番手ハミルトンが激しくプレッシャーをかけていくがポールポジションのバルテリ・ボッタス(メルセデス)は何とかこれを抑え込んで首位を守った。
3番手にはシャルル・ルクレール(フェラーリ)、4番手にフェルスタッペンが続き、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がガスリーを抜いて5番手に浮上。ガスリーはターン3でランド・ノリス(マクラーレン)と僅かに接触し押し出された影響を受けた。ノリスはマゴッツ~ベケッツでダニエル・リカルド(るのー)のインを突いて7番手に上がった。ハース勢は同士討ちでマシンにダメージを負いリタイアとなった。
4周目、ハミルトンはDRSを使ってターン6で仕掛け、インを守ったボッタスをややオーバーシュートさせてターン7でアウトに回ってオーバーテイク。しかしボッタスも諦めず次のターン9でインを突いて再逆転し首位を奪い返した。その後もメルセデスの2台はファステストラップを更新しながら一進一退の攻防を続け、後方ルクレールはメルセデス勢についていくことができず、背後のフェルスタッペンからプレッシャー受ける。
ルクレールのソフトはデグラデーションの進みが早く、10周目にはフェルスタッペンが仕掛け始める。11周目のターン4ではアウトに並ぶが行き場をなくし、逆に後方のベッテルにポジションを奪われかけたがなんとかブロックしてポジションを守った。逆に12周目のターン3でガスリーがベッテルのインをついて5番手に上がった。
ここでガスリーとリカルドがピットインして1ストップ作戦狙いを意味するハードタイヤに履き替えると、翌周にはルクレールとフェルスタッペンが同時にピットイン。先に作業を終えたフェルスタッペンが僅かに前で2台横並びでピットレーンを走行し前に出るが、直後のターン3でワイドになりルクレールが再び前に出た。
フェルスタッペン、ルクレールともにミディアムへの交換で2ストップ作戦。ノリス、アレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)、ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)らもここでピットインを済ませてソフトからミディアムに履き替えている。ガスリーはステイアウトするカルロス・サインツJr.(マクラーレン)の後方に抑え込まれてしまい、ステイアウトしてガスリーをオーバーカットしようとしているベッテルに有利に働く。
フェルスタッペンはルクレールを追いかけ回し並びかけるが、ルクレールは巧みにラインを変えてブロックし抜ききることができない。極めて質の高いバトルが展開される。
20周目、アントニオ・ジョビナッツィがクラブでコースオフしてグラベルに捕まりセーフティカーが出動。ここですかさずハミルトンがピットインし、タイムロスを圧縮したことでボッタスの前でコースに戻る。ハードに交換し、このまま最後まで走り切ることができる計算になる。
同様にステイアウトしていたベッテルもピットインしハードに交換して3番手へ。フェルスタッペンはこの後にピットインすれば大きく後退してしまうためここでピットインしハードに換えてガスリーの後方5番手へ。ルクレールはこの周に入らず翌周ピットインしたことで6番手まで後退してしまった。結果的にステイアウトしていたドライバーが得をしたかたちだ。
中団勢も同様に各車がピットインを済ませ、これで順位は首位ハミルトン、2番手ボッタス、3番手ベッテル、4番手ガスリー、5番手フェルスタッペン、6番手ルクレール、7番手サインツ、8番手ノリス、9番手アルボン、10番手ヒュルケンベルグとなるが、24周目のレース再開と同時にヒュルケンベルグはセルジオ・ペレス(レーシングポイント)と接触して後退してしまう。ペレスもフロントウイングにダメージを負ってピットインを余儀なくされる。
25周目のターン6でルクレールはフェルスタッペンに仕掛けてターン7でフェルスタッペンを押し出すようなかたちでコースオフ。フェルスタッペンはターン8でポジションを取り戻した。両者ともコースオフしていたため順位が元に戻ったことで審議の対象とはならなかった。
フェルスタッペンは27周目にガスリーを交わして4番手に浮上し、ルクレールはガスリーに抑え込まれてこれを追いかけることができない。2番手ボッタスはもう1回ピットインをしなければならないため後続を引き離そうとするが、タイヤを痛めないよう慎重にベッテルとの差を広げていく。逆にフェルスタッペンはベッテルに追い付きプレッシャーをかけていく。
36周目のターン4~5でようやくルクレールがガスリーを抜いて5番手に浮上。一方のフェルスタッペンはターン7からの立ち上がりで異音がすると報告するがベッテルに猛攻を仕掛けていく。37周目のストウでアウトからベッテルを抜いたフェルスタッペンだが、ラインがややワイドになり続くターン17ではベッテルが反撃を仕掛けようとする。
フェルスタッペンはインを閉めるがライン変更がやや遅かったように見え、インを狙っていたベッテルはアウト側に逃げようとしたが対処しきれず追突。ルクレールとガスリーが前に行き、フェルスタッペンは5番手に後退。フロントウイングにダメージを負ったベッテルはスロー走行でピットに戻ってノーズ交換を強いられ、最後尾まで後退してしまった。スチュワードはこのインシデントに対し、ベッテルに10秒加算ペナルティを科している。
フロントタイヤのバイブレーションを抱えるボッタスは後方ルクレールとのギャップが充分に広がったところで45周目にピットイン。ソフトに換えてファステストラップも狙う。47周目、ボッタスはハミルトンが持っていた暫定ファステストを1秒上回る1分27秒406のファステストラップを記録。その一方で安全策としてピットインを指示するチームを無視してハミルトンはハードのまま走り続ける。
結局ハミルトンはセーフティカーで得たトップをその後は誰にも譲ることなく52周を走り切ってトップでチェッカーを受け、自身通算80勝目、そしてイギリスGP史上最多となる6勝目を挙げた。最終ラップにボッタスを0.037秒上回ってファステストラップポイントも獲得。2位ボッタス、3位ルクレール、4位ガスリー、5位フェルスタッペンという順位となった。
中団グループはサインツがリカルドの猛追を振り切って6位でフィニッシュ。8位ライコネン、9位クビアト、10位を走っていたアルボンは左フロントタイヤが保たず最後に抜かれて12位まで後退し、ヒュルケンベルグが10位に滑り込んだ。