2019年07月14日 10:51 弁護士ドットコム
妻子ある人と1度だけ不貞行為をしてしまいましたーー。弁護士ドットコムに、このような相談を寄せている既婚女性がいます。
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相談者によると、相手の男性は相談者を含め7人と不倫をしていたようです。しかし、妻が気づき、現在は離婚に向けて話し合っているとのことです。
「男性と関係を持ってしまったことは夫に打ち明けました。今のところ、夫からは離婚の話は出ていません。もし、男性の妻から慰謝料を請求された場合は対応したい」と相談者はいいます。
しかし、気になるのは慰謝料の金額です。このように、相手男性に複数の不倫相手がいる場合、妻からの慰謝料請求はどのようになるのでしょうか。
慰謝料は「精神的な苦痛」に対する損害賠償のことをいいます。「精神的な苦痛」をお金に換算することは難しいことから、慰謝料の客観的な算定基準はありません。そのため、慰謝料額はケース・バイ・ケースで異なります。
今回のように、夫に不倫相手が複数いたとしても、妻は夫と不倫相手全員それぞれに慰謝料を請求することができます。夫のみに請求することもできるので、かならずしも相談者が慰謝料を請求されるとは限りません。
また、いきなり訴訟となることはなく、まずは内容証明で慰謝料請求が送られてくる場合もあります。請求された金額に納得がいかず、話し合いで解決できそうになければ、調停、訴訟へと進むことになります。
今回のように不倫相手が複数いたとしても、慰謝料の金額が比例して増えるわけではありません。
不倫相手に対する慰謝料は200万円から300万円程度が多く、配偶者に対する慰謝料額よりも少なくなることがほとんどです。
妻が夫と不倫相手の両者に慰謝料請求し、200万円を連帯して支払うという判決になった場合を考えてみましょう。
山口政貴弁護士は「この場合、夫や不倫相手を含めて不貞行為をおこなった全員が200万円の支払い義務を負うことになります。8人だから25万円しか責任がないということではありません。ただし、誰か1人が金銭を支払えば、その分全員の債務が減ります」と説明します。
なお、夫が不貞行為による慰謝料200万円全額をまとめて妻に支払った場合は、妻はほかの不倫相手にさらに慰謝料を請求することはできません。
【取材協力弁護士】
山口 政貴(やまぐち・のりたか)弁護士
サラリーマンを経た後、2003年司法試験合格。都内事務所の勤務弁護士を経験し、2013年に神楽坂中央法律事務所を設立。離婚、婚約破棄等を専門に扱っており、男女トラブルのスペシャリストとしても知られる。
事務所名:神楽坂中央法律事務所
事務所URL:http://www.kclaw.jp/index.html