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フォーミュラE:ニッサン、第12戦ニューヨークE-Prixでシリーズ初優勝。ブエミが逃げ切る

2019年07月14日 06:01  AUTOSPORT web

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ニューヨークE-Prixを制し、ニッサン・e.ダムスにフォーミュラE初優勝をもたらしたセバスチャン・ブエミ
2018/19年のABBフォーミュラE選手権は7月13日、アメリカのニューヨーク市街地で第12戦の予選・決勝が行われ、予選ポールポジションからスタートしたセバスチャン・ブエミ(ニッサン・e.ダムス)が優勝。今季から参戦しているニッサンに初優勝をもたらした。

 2018年12月にサウジアラビアのディルイーヤで開幕した第5シーズンのフォーミュラE。シリーズ最終ラウンドのニューヨークE-Prixは、7月13~14日の2日間連続で予選・決勝が行われるダブルヘッダーとして開催される。

 チャンピオン争いでは、ジャン-エリック・ベルニュ(DSテチーター)が130ポイントのポイントリーダーとして最終戦へ。2位のルーカス・ディ・グラッシ(アウディスポーツ・アプト・シェフラー)に対し32ポイントのリードを築いて臨んだ。

 フォーミュラEでは決勝10位までにポイントが与えられるほか、予選ポールポジションや決勝トップ10のファステストにもボーナスポイントが付与され、1戦で最大29ポイントを獲得できる。ダブルヘッダーでは最大58ポイントを獲得可能だ。

 そのため、計算上はランキング8位のダニエル・アプト(アウディスポーツ・アプト・シェフラー/75ポイント)まで逆転のチャンスが残されている。

 チームランキングではベルニュとアンドレ・ロッテラーを擁するDSテチーターが216ポイントでトップ。2位にディ・グラッシとアプトを擁するアウディスポーツ・アプト・シェフラーが173ポイントで続いてる状況だ。

 迎えた第12戦の決勝日、ニューヨークは晴天に恵まれ、汗ばむようなコンディションに。そんな状況で行われた予選ではブエミがポールポジションを獲得。ポールポイント1点を持ち帰り、ベルニュとのポイント差を54ポイントとしている。

 一方、ランキング首位のベルニュは10番手、ディ・グラッシは14番手と後方からのスタートを強いられた。

 45分+1周の決勝、スタートではポールシッターのブエミがトップを守って、1コーナーをクリア。2番手にアレックス・リン(パナソニック・ジャガー・レーシング)、3番手にパスカル・ウェーレイン(マヒンドラ・レーシング)が続いた。

 その後方では、サム・バード(エンビジョン・ヴァージン・レーシング)に追突される形でホセ・マリア・ロペス(ジェオックス・ドラゴン)が一時コースを塞ぐような形でスピン。後続が行き場を失うなか、ベルニュもこの混乱に巻き込まれ前を走るミッチ・エバンス(パナソニック・ジャガー・レーシング)に追突し、左フロントカウルにダメージを負ってしまった。

 壊れたカウルとタイヤが接触し、白煙が上がる状態での走行を強いられたベルニュは、レース開始から3分も経たずに緊急ピットイン。大きな後退を余儀なくされた。

 また、チームメイトのロッテラーもこの混乱でフロントノーズを失い、ピットインしている。

 周回数10周目を迎えた残り33分、依然としてトップはブエミがキープ。ただし、0.7秒後方にリンが続く展開に。追いかけるリンはレース30分を切った12周目に一定時間出力を上げられるアタックモード2回目を起動してブエミを追いかけるが、翌周にはブエミも2回目のアタックモードを起動して反撃。ニッサン初優勝へ向け、ブエミがポジションを守っていった。

 その後もブエミを僅差で追っていたリンだったが、レース残り22分を切った13周目にパワーユニットトラブルからスローダウン。そのままコース上にマシンを停めてリタイアを余儀なくされてしまう。

 これで2番手にはアレキサンダー・シムス(BMW i アンドレッティ・モータースポーツ)が浮上。3番手にアプトが続く形となるが、レース残り20分を切った20周目、コース上でストップしたリンの車両を回収するべく、レースにはセーフティカーが導入。レースは一度リセットされた。

 マシン回収に大きな時間はかからず、22周目、レース残り16分+1周で再スタートされる。このリスタートでもブエミはポジションをキープ、2番手シムス、3番手アプトというオーダーでターン1~2をクリアしていく。

 その後、後方では接触を含むバトルが繰り広げられ、2番手にエバンス、3番手にアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(BMW i アンドレッティ・モータースポーツ)などが浮上するなか、ブエミはポジションをキープしてチェッカー。この2018/19年からワークス参戦を開始した日産自動車が最終戦直前の第12戦で初優勝を手繰り寄せた。

 レース直後、ブエミは「2年ぶりの勝利で、この瞬間を待ち望んでいた。チームのためにも心から勝利を手にしたかったんだ」と喜びを語っている。

 2位は0.932秒差でエバンス、3位は1.216秒差でダ・コスタが続いた。

 ポイントリーダーのベルニュはポイント圏内まで順位を上げていたものの、ファイナルラップのターン2でフェリペ・マッサ(べンチュリ・フォーミュラEチーム)を交わそうとしたところで体勢を乱してスピン。ここにロッテラーなど後続4台が次々と突っ込む多重クラッシュの要因となってしまい、ポイント圏外15位でレースを終えた。

 優勝したブエミはポイントを104まで伸ばしてランキング4位へ浮上。ランキング首位のベルニュは無得点に終わったがランキングトップの座を守っている。

 14日に行われる第13戦でチャンピオン獲得の権利を残しているのはベルニュ(130ポイント)、ディ・グラッシ(108ポイント)、エバンス(105ポイント)、ブエミ(104ポイント)の4名だ。