今週末のF1第10戦イギリスGPもムッシュ柴田氏が現地の様子をお届けしていきます。初日は好調な走りを見せていたピエール・ガスリー、新フロントウイングは効果あり?
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今年のイギリスGPの宿は、シルバーストンまでクルマで30分ほどの、田舎の町のB&Bです。
2階の僕の部屋から見下ろしたところ。
これぞイギリスの朝食、というべきフルイングリッシュブレックファーストを毎朝いただいて出勤してます。
「1日のうちに四季がある」とは、イギリスの気候を指す常套句ですが、この週末は朝のうちは長袖のシャツ、昼間に日が射したらTシャツ、短パン、夕方冷え込んできたらセーター、それでも足りなければダウンジャケット、と目まぐるしく服を着たり脱いだりしてます。今のところは、傘とレインコートのお世話にだけはなってません。
久しぶりに、キミ・ライコネンの囲み取材に出てみました。ある記者が、「フェルスタッペンはペナルティを受けなかったけど、あれはどう思う?」と質問したんですね。さて、どんな答えが返ってきたと思います?
「ん?何それ?よく覚えてないなあ」だって。まあ、キミらしいと言えば、これ以上はないキミらしい答えですが(苦笑)。もちろん覚えてないはずもなく、そのあとには、「いつだって、どんな裁定結果になったって、勝者と敗者は必ず出るものだよ」と、これまたキミらしいコメントをしてました。
そのあとマックス・フェルスタッペン囲みに回ったんですが、当然ながら大盛況。
でも本人はあくまで冷静で、「これからも勝ちまくる」なんて威勢のいいコメントは出ませんでした。
「あのレースでの僕らは、冷却性能ではメルセデスに優り、コーナリングスピードはフェラーリより速かった。でもそれが今後も続く保証は、全然ないからね」と、21歳とは思えぬ老成したお答え。
実際、翌日の初日フリー走行は、本人が「今シーズン最悪のセッションだった」というほど、メタメタなものになってしまいます。
一方のガスリー。同じ場所なのに、取材者もどすんと少ない……(涙)
本人も、完全に目力失ってましたしね。大丈夫かなあと心配だったのですが、本当にこの世界は何が起きるかわかりませんよね。
翌日のフリー走行は、FP1で堂々のトップタイム!
すると午後のFP2の前には、ヘルムート・マルコ博士がガスリーのところにささ~っと近寄って行って、にこやかに話し込んでました。
本人の目つきも、いきなり精悍になったような気が(笑)。このセッションはさすがにメルセデス、フェラーリの後塵を拝しましたが、4番手のベッテルのわずかコンマ069秒差の4番手。何より両セッションでフェルスタッペンをしのいだのは、10戦目にして今回が初めてです。
ガスリー好調のカギのひとつが、この新型フロントウィングみたいです。ガレージ横に大事にしまわれてたのが、コースイン直前にしずしずと運ばれてました。オーストリアではフェルスタッペン車だけに付いていたのが、今週末はガスリーもその恩恵を受けることに。フロントの安定性が劇的に改善したみたいで、これはガスリーにとってはうれしいことでしょう。
このまま予選、レースと。好調を維持してほしいですね~。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターも、上機嫌。