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混沌とする雨の予選内容。敗れた実力者たちとアクシデントの要因【スーパーフォーミュラ第4戦富士予選】《あと読み》

2019年07月13日 20:11  AUTOSPORT web

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ウエットで雨量が変化する難しいコンディションとなってしまったスーパーフォーミュラ第4戦富士の予選
ルーキーのふたり、アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)と坪井翔(P.MU / CERUMO · INGING)のフロントロウ独占というフレッシュな予選順位となったスーパーフォーミュラ第4戦富士の予選結果。ベテラン、そして実力者たちが低迷してしまった要因はどこだったのか。トラブル、アクシデントの原因とともに予選後のドライバー、チームに聞いた。

 まずいきなり驚かされた予選Q1。ダニエル・ティクトゥムに代わってこの富士からスーパーフォーミュラデビューを果たすことになったパトリシオ・オワード(TEAM MUGEN)が、アウトラップでいきなりマシンをストップさせてしまう。モニターに映った際にはすでにマシンが止まっていたため、何かのトラブルかと思われたが、チームによるとダンロップコーナーでスピンしてしまい、その際、クラッチを切ることができずにエンジンストールしてしまったとのこと。

 今回が初めての日本、そして初めての富士、初めてのSF19にヨコハマタイヤ、その上でウエットコンディションという状況を考えれば、仕方ないと言えばたしかに仕方ない。ただ、エンジンさえ切っていなければ、Q1は20分あるので再トライも可能だっただけに反省点の多い内容となったようだ。

 また、Q1では小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)、そして午前の走行でも好調だった山下健太(KONDO RACING)がタイムが全然伸ばせず、まさかのノックアウトとなってしまった。山下が振り返る。

「ドライのソフトタイヤでは常に5番手の中に入っていたので手応えがあったので、晴れだったらすごく期待していたんですけど、雨のQ1で2周くらいして『あれっ!?』『ダメかもしれないな』と。クルマのグリップのレベルが全然、低い状態でした」と山下。

「このSF19になって雨のテストをしたことがないですし、オートポリスの雨の予選でもウォームアップにもなっていなくてタイヤが温まっていなかったので、ウエットでタイヤが温まるまで走れたのが今回が初めてで雨のデータがなかったので、仕方がないと言えばそうですね、という言い訳です(苦笑)。速い人たちが羨ましいです。スーパーGTで勝てたいい雰囲気はもう、まったくなくなりましたね」と、完敗の様子。

 山下のコメントにあるように、SF19での雨のデータはほぼない状況でのいきなりのウエット予選だったため、セットアップがまったく合っていないまま、アタックしたドライバーが多かった。予選Q1を突破しながら、予選Q2でノックアウトとなってしまったランキングトップの山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)もそのひとりだ。

「ちょっとと言うよりも、Q2はグリップがなくてトップと秒単位で遅かったので、根本的に今回のコンディションにクルマが合っていなかったかなと思います。Q1の走り出しからパフォーマンスはあまりよくなさそうでした。その中でも福住(仁嶺)選手がQ1トップタイムでしたけど、今回は2台で違うセットアップでしたので全部をコピーするには作業が大きくなるのであの時間ではできませんでしたし、Q2でも結局、福住選手もニュータイヤでアタックして僕と同じようなタイムでしたので、今回のニュータイヤに合っていなかったのか、中古タイヤがよかったのか、本当のところはまだわからないですね」と山本。

「ウエットではクルマのレベルが少し低いので、それを上げたかったんですけど、あの予選の短時間では応えを見い出すことはなかなかできませんでした。前回のSUGOで速かったクルマがこの富士の予選では真逆になっているので、これは今のスーパーフォーミュラの難しさですし、もっとSF19とタイヤのことを理解できればどんなコンディションでも速く走れるようになると思います。明日も雨の予報ですので、しょうがいないとも言っていられないので、明日のレースでしっかりと追い上げられるクルマを作りたいと思います」と、山本は予選を振り返った。

復調見せる石浦、予選Q3でまさかのトラブルに遭ってしまった牧野「ストレスがすごく大きい」

 また、予選Q2でトップタイムをマークしてこれまでの復調から抜け出したかに見えた石浦宏明(P.MU/CERUMO·INGING)も、予選Q3では6番手に留まってしまった。

「Q3も同じコンディションだったらポールを獲れていたと思う手応えがあったんですけど、Q3になって急に雨の量が増えてQ2の水の少ないときにクルマのセットアップを合わせてしまったいたので、コースインしたら『しまった』と。時すでに遅しでしたね。チェッカーを受けたときくらいにタイヤが温まってピークが来ていました(苦笑)」

「チームメイトの)坪井(翔)はQ2でアタックしたタイヤをそのままQ3で行ったのですけど、僕はQ3でQ2からタイヤを代えて雨の量が少ないという前提で行ってしまいました。Q2で早めにアタックしてピットに戻ってきてしまったので、雨の量の変化が分かりませんでした。」と石浦。

 それでも、午前のドライのフリー走行でも4番手タイムをマークし、セクター3ではファステストと復活の気配を見せ始めた。

「前回までは(SF19のセットアップが)迷子の状態だったんですけど、予選ではポールを狙えて、その予選で6番手だったのでさっきまではがっかりしていたんですけど、今週はいろいろ見えてきた部分があります。SF14の時もクルマが決まるまで1年くらいかかったんですけど、SF19でようやく方向が見えてきて、自信を取り戻すことができました」と話す石浦。明日の決勝だけでなく、次の岡山でも優勝候補に挙げられそうな雰囲気だ。

 そのQ3で石浦とともに悔しい内容となってしまったのが牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)だ。予選Q3の走行中、ストレートでスローダウン。そのままアタックできず最下位でQ3を終えてしまった。

「Q3のアタックの時にギヤが2速にスタックしてしまって、いろいろギアを変えようと試しましたが直らず、そのまま惰性でストレートを進む状況でした。(チームメイトがポール獲得だけに)余計に悔しい。ストレスがすごい大きいです。明日は雨でもドライでも、自分のできることをやるだけです」と牧野。

 今シーズンのスーパーフォーミュラは天候に翻弄されるセッションが多く、予選ではフレッシュな顔ぶれながら、決勝結果は予選とまったく異なるというパターンが少なくない。日曜の予報は午前が雨が濃厚だが、午後からは回復の兆し。とはいえ、どんなコンディションでのレースになるかは誰も正解が分からないだけに、また、混沌とした決勝日になりそうな気配だ。