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GLAYデビュー25周年、根強い人気の秘訣は? 楽曲とファンとの向き合い方から考える

2019年07月13日 11:31  リアルサウンド

リアルサウンド

GLAY『G4・V-Democracy 2019-』

 7月6日に日本テレビ系列で放送された『THE MUSIC DAY』。数多くの人気アーティストが出演し、番組を盛り上げた。中でも注目したいのは、今年でデビュー25周年を迎えたGLAYだ。久しぶりにテレビに登場したGLAYの姿に、SNSは大いに賑わった。彼らはなぜ25年もの間、日本中から愛され続けているのだろうか。その理由を改めて考察してみたいと思う。


(関連:HISASHIが語る、25周年控えたバンドの現在「僕らは今もすごくGLAYを楽しんでいる」


■時を重ねて魅力が深まるGLAYの音楽


 「GLAYの楽曲が素晴らしい」などということは、改めて書くまでもない。素晴らしい音楽は、長く聴かれる。GLAYの音楽と共に人生を歩んできたという人も、少なくないだろう。たとえば、学生時代は帰り道に「グロリアス」を聴いて大人の恋愛に思いを馳せ、初めての恋人にカラオケで「BELOVED」を歌ってもらう。初めて上司に怒られて泣いた日に「サバイバル」を聴き、結婚式で「HOWEVER」を流す。……そんな風に、いくつものライフイベントに寄り添ってくれるのが、GLAYの音楽だ。また、「春を愛する人」や「Winter,again」など、四季折々の情景が思い浮かぶ名曲も多く、季節が巡る度に初めて聴いたときの感動が呼び起こされることもあるだろう。会社員の顔をしているときも、父親や母親の顔をしているときも、いつも心の片隅にGLAYとの思い出があり、ふとしたときに顔を出す。そんな人もいるのではないだろうか。ライブに毎回足を運ぶような最前線のファンでなくても、ふとした瞬間に人生を照らしてくれるような温かさがGLAYの楽曲にはあるのだ。


 老若男女問わず、誰にでも素直に良いと受け入れられるのも、GLAYの魅力の一つだ。自身もファンを公言しているゴールデンボンバーの鬼龍院翔が、GLAYを「親に紹介できるヴィジュアル系バンド」と表現していたのは有名な話だが、まさにその通り。GLAYはヴィジュアル全盛期から恋愛、青春などをテーマにした広く共感を呼ぶ歌を、優しい言葉とメロディで歌ってきた。だからこそ、GLAYの音楽はどんな人の人生にも寄り添えるのだろう。


 さらに、GLAYには、年齢や時を重ねてもう一度感動を味わえる楽曲がある。『THE MUSIC DAY』で披露された「COLORS」がまさにそうだ。父子の絆を描いたこの曲は、TERU(Vo)が作詞・作曲をつとめた。〈最近僕らは良く似てきたな 目を合わす事は、あまりないけど 心通い、笑い合えた時は 誰よりも一番感謝してる〉とサビで歌うこの曲は、父親と息子の絶妙な距離感を秀逸に表現した、紛れもない名曲だ。しかしきっと、5年後、10年後に誰かの親になった人々は、もう一度この曲を聴いて、二度目の感動を味わうだろう。そんな風にして、GLAYの曲は愛され続けていくのだ。


■GLAYメンバーのファンに対する誠実さ


 GLAYを語る上で外せないもう一つの魅力は、メンバーの人柄だろう。とにかくファンへの誠実な対応が素晴らしい。特にライブに関しては、“神対応”と呼ばれるエピソードが多い。有名なのは、2017年4月に開催した全国ツアーの金沢公演をJIRO(Ba)が体調不良で欠席したときの対応だ。演出を変更した上で残りの3人でのライブを開催し、さらに翌月に振替公演を実施。チケットを持っていればどちらのライブにも参加できるという、大盤振る舞いだった。2016年4月の熊本地震直後の熊本公演では、来場できなかったファンのために急きょニコニコ生放送で無料中継をしたこともあった。チケットを購入してライブを待つファンへ、その時できる最大限のことを、GLAYはいつも当たり前のようにやってのけた。


 また、GLAYの対応が素晴らしいのは、ライブだけではない。2017年12月には、自身の楽曲を結婚式などのブライダルで使用する場合に限り、著作隣接権を無償提供することを発表した。「結婚式という人生の素晴らしい舞台で自分達の曲を使用してもらえる事は大変喜ばしいことであり、それであれば自分達は無償提供したい」。常に斬新なアイデアを考え、実現してしまうGLAYは、まさにファンにとっての理想的なアーティスト像と言えるだろう。


 国民的人気バンドともなれば、ライブや新曲のリリースのペースが落ち着くアーティストも多い中、コンスタントに全国ツアーを重ね、名曲を世に送り出し続けるGLAY。25周年を迎えた今から好きになっても遅くない、そしていつまででも応援できるバンドだ。熱烈なファンはもちろん、それ以外の多くの人々の心にも、GLAYの音楽は染みわたっていくだろう。この先もずっと。(南 明歩)