F1第10戦イギリスGP初日は、マックス・フェルスタッペンがマシンバランスに苦戦し、「今季最悪のセッション」と悪態を付くハプニングはあったものの、代わってピエール・ガスリーがFP1でトップタイムを叩き出したイギリスGP初日。トロロッソ・ホンダのふたりも、9、11番手と、まずまずの位置に付けた。ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは二日目以降に向けて、どんな手応えを得たのだろう。
――風が強く、路面も再舗装されたばかりというコンディションでのフリー走行でした。その中でホンダ勢は、5、7、9、11番手と、偶然ですが奇数ポジションを占めました。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):まずトロロッソですが、このところ初日の出だしが悪いことが多かったんですが、今日は比較的よかったですね。レッドブルもまだ詰めるべきところがたくさんあって、トップ2強(メルセデス、フェラーリ)の4台に食い込めていない。ただフェラーリには近いですし、予選とレースに向けてもう少し何とかしたいですね。
――ガスリーは午前トップタイム、午後もチームメイトを抑えて5番手で、ニコニコでした。対照的にフェルスタッペンは、渋い顔です。
田辺TD:その辺が、詰めるべきところですね。マックスはクルマの挙動に満足できない段階で一発を走って、そのままロングランに移行した。なのでタイム的には、今ひとつでした。
――ピレリのエンジニアは、これ以上路面は改善しないんじゃないかと言う人もいます。
田辺TD:今日は再舗装や風の影響をまだ十分測れていなくて、最終的にレースに向けてどうするかはまだ詰めかねています。そのため、まだ探っている状態だと思います。土曜、日曜は風が収まるという予報もあり、ポテンシャルを100%発揮できればと思います。
――予選は雨という予報もあります。これだけ難易度の高いサーキットでは、スロットルセッティングも難しそうです。
田辺TD:雨が降ったら降ったで、合わせて行きますよ。
■前戦オーストリアGPでクラッシュしたマックス・フェルスタッペンのパワーユニットは?
――ライバル勢と比べて、手応えは感じてますか。初日とはいえ、ガスリーがトップタイムを出しましたが。
田辺TD:どのセッションであれ、一番上にいるのはいい兆しだと思います。まだまだやるべきことは多いですが、流れとしてはいい形で始められたかなと。
――ガスリーが上に来て、ナンバー2ドライバーが速くなったということは、マシンパッケージが底上げできてきたと考えていいでしょうか?
田辺TD:今までのフェルスタッペンとガスリーの状況から考えると、フリー走行1、2回目のいずれもガスリーが上というのは今までなかった。その意味では、強力になってきた気がします。こういう2台揃って競り合う状況が、この先も続いてくれるといいですね。われわれとしても、心強いです。
――前戦オーストリアGPのフリー走行でフェルスタッペンがクラッシュしたパワーユニット(PU/エンジン)は、もはや使用不能ですか。
田辺TD:いえ、大丈夫でした。
――金曜日エンジンとして、使えると。
田辺TD:はい。
――クラッシュの衝撃が確か25Gと、けっこう大きかったと聞いていますが。
田辺TD:ええ、当たり所がよかったというか、ねじれ入力が強くなかった。とはいえクラッシュしていますので、完全に大丈夫とも言えない。スペアを用意して何かあった時のバックアップ体制を取りつつ、使って行くことになると思います。
――ところで地元レースのイギリスで、スタッフの皆さんは比較的近くに住んでると思うんですが、自宅からサーキットに通ってるわけではないのでしょうか?
田辺TD:全員でホテルに泊まって、いっしょに行動しています。一体感を醸成するためというか。でも毎グランプリ、いつもいつも一緒に行動しているんですけどね(笑)。