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福井に移住して分かった"幸福度・学力トップクラス"の理由 「選択肢の幅がちょうどいい」「三世代同居でコストを分担できる」

2019年07月13日 09:30  キャリコネニュース

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東京から福井県に移住して3年目を迎えます。「福井ってどこだよ?」って自虐的に言われるほど存在感の薄い場所ですが、東洋経済によると幸福度ランキング3連覇。

文科省が実施した2018年の学力テストでは中3の数学A・Bで1位となり他教科もトップクラス、体力テストでは小5・中2男女いずれも全国1位とランキングで上位をかっさらう強さも持ち合わせています。

東京と福井のさまざまな違いを感じることがありますが、どうやら福井ならではの特徴が相乗効果を生み出していることがわかりました。エセ福井弁を使うくらい溶け込んできた中で、ランキングトップクラス常連の謎に気づきました。(文:ちばつかさ)

近くに塾がないけど学力トップクラス、遊び・習い事も充実

文部科学省が実施する全国的な学力調査によると、「規則的な生活を送り本や新聞などに親しむ子どもは親の学力や年収が低くても学力が高い傾向がある」とのこと。規則的な生活を送る環境とは?

それは、保護者が子どもに適切にコミュニケーションを取れる環境ではないでしょうか。福井ではまさしくその条件が揃っており、その一つが、三世代同居率が全国2位であること。保育所や習い事の送り迎え、教育にかかるコストなど、家族で負担を分担できます。

また、施設や遊び場環境なども充実していることも大きいです。遊び場で野球やサッカーができないということもありませんし、公園や競技場などが充実しているため、ホッケーやバドミントンなど特有のスポーツの習い事なども充実しています。子供たちは自由に遊びや習い事を選択することができるのです。

僕は東京で野球のレッスンを小学生向けに行っていますが、彼らは「1週間まるまる習い事と塾がある」といいます。一方、福井の子は、習い事はしていますが(僕の娘は長女がドラムと書道、次女がピアノと書道)、塾通いはほぼ0。というより、近所に学習塾がない。

福井の学校の宿題は驚くほど多いのですが、これは塾に行かなくても学校で学ぶことができるようにという県の方針です。学校での勉強が充実しているがゆえに塾にいかなくても学力がつき、その効果が全国の学力テストの結果に表れているのでしょう。

"選択の自由度が高くて、選択の幅が少ない"

幸福度全国ランキング3連覇の福井。日本の幸福度が世界に比べて低いのは、"選択の自由度の低さ"にあると言われています。実は選択の自由があっても、選択肢があまりにも多いと人は不幸を感じやすくなる。これを「選択のパラドックス」といいます。

僕が福井に住んで感じたのは "選択の自由度が高くて、選択の幅が少ない"。先に述べた教育環境では、家族の協力が得ることができたり、待機児童が0だったり、選択の自由度はかなり高めと言えます。

また、選択肢に関しては多すぎない施設、遊び場、習い事など、都会と比べて確実に選択肢が少なく選びやすいです。この"ちょうどいい"が学力や体力、幸福度を押し上げていると考えています。

もちろん、都会には都会、地方には地方のよさがあります。福井は学力が高い、体力もあり、幸福度が高い。しかし、その裏では地域のもどかしいルールや、均一性を求める教育などに生きづらさを感じる人も中にはいるでしょう。

最終的には「個人個人がその場所その場所でどのように感じ、どのように生きるのか」。どこに住んでいようが最終的に求めていくのは僕たち自身の幸せです。定住も移住もその選択肢の1つ。幸福度1位の福井県に移住してそんなことに気づきました。

【筆者プロフィール】ちばつかさ

柔道整復師、メンタルケア心理士、元プロ野球独立リーガー。東京と福井で投げ銭制の接骨院「小道のほぐし接骨院」を経営しのべ10万人近くの体と心と向き合う。野球経験を活かし都内で"野球を教えない"野球レッスンも運営。【公式サイト】