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ホンダF1田辺TDインタビュー:イギリスGPからはエンジンライフを考慮。「ダメージを見ながらコントロールしていく」

2019年07月12日 15:31  AUTOSPORT web

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2019年F1第10戦イギリスGPでも好成績を狙いたいレッドブル・ホンダ
レッドブル・ホンダが初優勝を果たしたF1第9戦オーストリアGPから、早くも10日以上が経った。レース翌日にイギリス・ミルトンキーンズに戻ったホンダの田辺豊治テクニカルディレクター始めスタッフたちは、すぐに今週末の第10戦イギリスGPに向けての準備を開始した。とはいえその合間を縫ってささやかな祝勝会を開き、喜びを分かち合ったという。

――ミルトンキーンズでも、祝勝会を行なったと聞きました。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):ええ。ファクトリー近くのビール醸造所に、スタッフが集まって祝いました。その種のイベントを行うのは、初めてだったと思います。イギリスは日本のような飲み会の文化がないんですが、そこに全従業員の過半数が来たというのは、やはりそれだけ優勝が嬉しかったんだと思います。

――喜びが弾けていましたか?あるいはホッとした感じの方が、強かったですか?
田辺TD:両方ですね。弾けつつ、ホッとしてるというか。手放しで喜んでるわけでもない。それはさくらのスタッフと電話で話をしても、ミルトンキーンズと同じでした。まだまだだと。

――レース終盤の「モード11、ポジション5」の指示、あれはかなりパワーユニットに厳しい使い方を強いたと思うんですが。
田辺TD:状況を見ながら、どこまでプッシュできるか、それをどこまで続けられるか、判断しながら、最大のパフォーマンスを発揮できる使い方をしました。

――フェルスタッペンに、「イギリスでもあれが使えたらいいね」と質問したら、「そうしたいね」と言っていました。
田辺TD:まあ、使いたいだけ使えればいいんですが、やはり決められたエンジンライフの中で、どれだけ使えるかを考慮しないといけない。ダメージ具合を見ながらコントロールしていますので、あくまで余力を残しながらですね。無理はしません。



――終盤、燃料は大丈夫だったからあのモードを選択できた。逆にいうと、あのモードを使うことをしっかり考慮して、それだけの燃料を搭載していたのでしょうか?
田辺TD:全力投球できる状態でクルマを送り出し、全力投球したということですね。


――オーストリアであのモードを使ったのは、「次戦以降からの前借りです」と言っていました。今後数戦に渡って、ならしていくということですか。
田辺TD:徐々に借りを返していくということですね。

――では今週末は、雨の方がいいですか?
田辺TD:ダメージの状況次第で、徐々にやっていくしかないですね。

――ここまでずっと勝てなかったわけですが、いざ表彰台の一番上に立ったことで、見えてきたことはありますか。
田辺TD:オーストリアはいろんなコンディションが集まれば、勝てることがわかった。一方で、ここで急に上とのギャップが縮まって勝ったのではないことを、改めて痛感しました。彼らと並んだわけでも、何でもない。まだ彼我の力の差は大きいです。

――ミルトンキーンズ、そして現場スタッフには、優勝経験のなかった人たちがほとんどだと思うんですが、彼らの反応はどんな様子でしたか。
田辺TD:頂点に立ったことの喜び、興奮は予想以上でしたし、社内の雰囲気も一気に明るくなった気がします。今までが暗かったわけではないですが(笑)。

――勝てるのだろうか、という思いが募っていた?
田辺TD:それは、あったと思います。必ず勝てるだろうし、勝つつもりでやってきた。表向きはたしかにそうでも、いつ勝てるんだろうと思っていたはずなんですね。

――レッドブルと組んだからには、すぐ勝てるはずだったと。
田辺TD:世の中的にも、そういう思いだったでしょうし。

――シルバーストンは、天気が変わりやすい。気温もさほど上がらない。そして何より、パワー感度が高い。ラップタイムにパワーが影響しやすいコースです。どれぐらいの成績を、期待できそうですか。
田辺TD:なかなか難しいですね。そう簡単じゃない。最大限の努力をするのは、もちろんですが。