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『Nintendo Switch Lite』海外の反応は概ね好意的、しかし一部“失望”の声も……

2019年07月12日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

YouTube「Nintendo Switch Lite 初公開映像」より画像を抜粋

 7月10日の日本時間における夜、任天堂はついに廉価版『Nintendo Switch』ともいえる『Nintendo Switch Lite』を発表した。Liteに関しては今年に入ってから数多くのリーク情報が流布していたので、海外メディアは驚きこそないものも概ね好意的に報じている。しかし、その一方で、一部から「ないものねだり」のような失望の声もある。


(参考:『Nintendo Switch Lite』突然の発表! TV出力なしの携帯特化&軽量化した端末に


・LiteとSwitchのセーブデータ引き継ぎは後日実装か
 『Nintendo Switch Lite』の基本的な情報については既出の記事に譲るとして、気になるのは任天堂のほかのゲーム機との関係である。もっとも気になるのは、Liteでプレイして保存したセーブデータはSwitchに引き継げるのか、というところだろう。このことに関して、『CNET』は任天堂アメリカ法人の社長であるDoug Bowser氏に取材した。取材に対し同氏は「もちろん、LiteとSwitchのあいだでみなさんのゲームプレイ体験を移行させることができるようになります。そうなるのはもう少し先ですが、ゲームプレイの引き継ぎを実装するつもりです」と答えた。


 任天堂の既存携帯ゲーム機である『Nintendo 3DS』は今後どうなるのか、という疑問も沸く。この疑問については、テック系メディア『The Verge』は3DSの需要がある限りサポートし続けるというBowser氏の発言を報じている。


 テック系メディア『Notebookcheck』によると、LiteのチップにはSwitchより新型のものが実装されている。この最新チップのおかげで、Liteの連続稼働時間はSwitch携帯モード時のそれより長くなった、とのこと。もっとも、最新チップは今後製造されるSwitchにも実装されることを『IGN』が報じている。


・Liteの投入は正しい動き
 Liteの発表に関しては、多くの海外メディアが好意的に報じている。例えばテック系メディア『TheSixthAxis』は、Liteの市場への投入を「まさに正しい時に行なった正しい動き」と絶賛している。Switchの販売は世界的成功を収めたと言えるが、この成功を維持するための策として廉価版の投入は「最善の方法」とも評している。


 同メディアは、LiteがJoy-ConをはじめとしたいつくかのSwitchの機能が削減されていることについても、むしろ好意的だ。というのも、携帯専用ゲーム機という位置づけを考えた場合、Jot-Conのような壊れやすい機能を実装しないことによってむしろ子供に持たせやすくなるからだ。


 Liteになって増えたものとして、カラーバリエーションがある。Switchでは2色だったカラーバリエーションがLiteで3色になったことに関して、『IGN』のレビュー記事では好意的なSwitchファンのツイートを多数紹介している。


 カラーバリエーションとは対照的にLiteになって削られた重要な機能として、TVモードの廃止がある。この変更に関して、『IGN』のレビュー記事はむしろ歓迎するとツイートしたファンの声を伝えている。


・否定的な少数意見も
 Liteに関して、一部からは失望の声もあがっている。任天堂ニュース専門メディア『NINTENDO enthusiast』は「Nintendo Switch Liteはわたしには必要ない」と題されたコラム記事を公開した。この記事はLiteの連続稼働時間が長いことを評価しているものも、SwitchとLiteの互換性に関して疑問を呈している。Switchの多くのゲームはLiteでのプレイに対応しているのだが、Switch携帯モードでのプレイとLiteでのそれを比較した場合、後者のほうが解像度やパフォーマンスで劣るのではないか、とコメントしている。もっとも前出の『Notebookcheck』の記事で報じられている通り、Liteには最新チップが実装されているので解像度やパフォーマンスがSwitchに比べて著しく劣化するということはないと見るのが妥当だろう。


 前出の『IGN』のレビュー記事では、Liteに対する否定的なユーザのツイートも紹介している。そうしたツイートのなかには、開発が噂されているSwitchの上位モデルにあたる『Nintendo Switch Pro』の発表の方を待ち望んでいた、というものが多数あった。こうしたProに期待を寄せる一部のユーザは、発表されたLiteの購入を見送るので節約になるとツイートしている。なお、Proのリリースは来年後半と予想されているので、「Pro待ち」のユーザは1年以上待つことになるだろう。


 Liteの発表直前にSwitchを購入したユーザも、当然ながら少なからず存在する。そうしたユーザは、やはり後悔の念をツイートで吐露している。


 以上のようなLiteに対する失望の声は、やや「ないものねだり」の感が否めない。Liteは廉価版である以上Switchと全く同等なゲーム体験を求めるほうが筋違いであり、Proの発表がなかったことは半ば予想できたことだ。


 一部の失望の声を除けば、『Nintendo Switch Lite』の登場は海外でも好意的に受け入れられていると言ってよい。Liteは2台目需要や新規ユーザを任天堂にもたらし、Switch関連市場のさらなる成長を約束してくれるだろう。


(吉本幸記)