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WEC:新型911 RSRを発表したポルシェ、2019年型開発にあたってはターボ化も検討

2019年07月10日 13:01  AUTOSPORT web

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ポール・リカールで開発テストが行われた新型ポルシェ911 RSR
ポルシェは7月6日、イギリス・グッドウッドで2019年型最新GTEカーとなるポルシェ911 RSRを公開したが、このマシンの開発段階では他メーカーと同様にエンジンのターボ化を議論したという。

 WEC世界耐久選手権の2018/2019年“スーパーシーズン”、ドライバーとマニュファクチャラーのダブルタイトルを獲得したポルシェは先日、王者防衛のためのニューウェポンを世界初公開した。ポルシェ911 RSRというモデル名に変わりないが、この2019年型ではボディワークやコクピット周り、エンジン、エキゾーストの取り回しなど、さまざまな改良がなされている。

 同モデルの開発にあたってポルシェは、伝統の水平対向6気筒自然吸気エンジンからターボエンジンへの切り替えも検討したという。

 ポルシェGTのファクトリーモータースポーツ部門を束ねるパスカル・ツアリンデンは「そのアイディアは、2019年モデルの開発がスタートした2017年の段階で議題に上ったが、最終的に採用を見送ることにした」とSportscar365に語った。

 このため、ポルシェはWECや北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権でライバルとなるフェラーリ、アストンマーティン、フォード、BMWが近年、ターボエンジンを搭載したGTEカーをリリースするなかで“NAフラット6”を継続している。

 また、現行モデルのC7.Rでは自然吸気エンジンながら、シボレー・コルベットも次世代モデルではターボエンジンへの切り替えが行われることが予想されており、2020年までに、ポルシェはGTEマニュファクチャラー内で唯一のNAエンジン採用メーカーとなる見通しだ。

「我々は他社の動向についても議論をした。しかし、自然吸気でもターボエンジンと同じパフォーマンスを発揮できると判断した」とツアリンデン。

「私たちは自分たちが掲げたコンセプトに従うことにしたんだ。ターボを採用すれば、(補機類によって)クルマの重量が増してしまう。また、新しいシステムが追加されることになる。現時点よりクルマを複雑にする必要はなかった」

「我が社の市販ポルシェ911 GT3 RSに採用されているのは自然吸気エンジンだ。なので、この伝統を守ることにしたんだ」

■エキゾースト位置の変更による4つのメリット

 2019年型ポルシェの特徴のひとつは、エキゾーストがリヤから後輪前方のサイド出しになった点だ。

 この変更についてツアリンデンは4つの理由があると語り、「ひとつめはパッケージングとエアロダイナミクスを考えてのことだ。排気口をサイドに移すことでリヤの空間をより自由に使えるようにした」と説明した。

「ふたつめの理由は重量だ。リヤタイヤの前方という場所は、リヤアクスル前方に置かれるボクサーエンジンから最短距離の位置にある。(エキゾーストパイプが短ければ)その分だけクルマは軽くなる」

「そして、3つめはエンジントルクの増加を狙ったものだ。トルクを増すことでクルマのドライバビリティがわずかに向上している」

「また、従来型において我々はエキゾーストにダメージを与えるような、後方からの追突が増えていることを学んだ。サイド排気にすることで競合するマシンからのダメージがずっと抑えることができると考えたんだ」

 また、彼ははボンネット上の給油ダクトのアプローチ変更についても言及。

「クルマを見てもらえれば分かるように、給油口を右側から左側に変更できるようになっている」とツアリンデン。

「エアロダイナミクスの観点からこの部分をみたとき、給油口のあるボンネット後部は開いていても、閉じていても大きな違いはないことが分かったんだ。そのため、両方とも開いたままにしておくことにした。デザイン的にもよくフィットしているしね」