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2021年1月開幕予定のEVオフロード戦『エクストリームE』用マシン公開。初年度には12台参戦へ

2019年07月10日 12:51  AUTOSPORT web

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フルEVオフロード・シリーズ"Extreme E(エクストリームE)"初年度マシンのベースとなる電動SUV『Odyssey 21(オデッセイ21)』プロトタイプ
ABBフォーミュラE選手権のCEOであるアレハンドロ・アガグなどが中心となり、2021年1月の開幕を目指して作業が進むフルEVオフロード・シリーズ『Extreme E(エクストリームE)』。その初年度マシンのベースとなる電動SUV『Odyssey 21(オデッセイ21)』プロトタイプが、7月開催のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2019の会場で初公開され、9月から本格的な走行テストを開始するとアナウンスされた。

 シリーズ初年度に向けたベースモデルとなる、このプロトタイプEVは、フォーミュラEでも創生期に技術開発を担当したスパーク・レーシング・テクノロジーズ社によるもので、北極やヒマラヤ、サハラ砂漠、アマゾンの熱帯雨林、インド洋に浮かぶ島々など、過酷な自然環境で戦うチームが、独自パッケージを開発する際のベースラインとして供給される。
 2019年1月末に南太平洋に浮かぶセントヘレナ島に向け就航していた貨客船RMS St Helena(セントヘレナ号)の船上でラウンチイベントが催され、すでに役割を終えている同客船を“フローティングパドック”としてシリーズで活用するプランも明かされている。

 ABBフォーミュラE選手権CEO兼創設者で、エクストリームEシリーズのファウンダーでもあるアガグは「エクストリームE向けSUVであるオデッセイ21は、どのモータースポーツ・ジャンルのマシンとも異なるユニークな存在だ」と語った。

「業界をリードするパートナーがその設計と製造に採用した最先端の技術は、地球上で最も過酷で多様な環境のなかで最高の性能を発揮することができる素晴らしいマシンを生み出した」

「スポーツイベントとしてトップレベルのオーガナイズとコンペティション、そして超過酷で要求レベルの高い、厳しい環境の組み合わせも、マニュファクチャラーにとって重要な研究開発プラットフォームとなり、持続可能なモビリティのさらなる進歩を促進するものになるはずだ」

 スパーク社によって共通パッケージとして供給されるこのオデッセイ21は、スタンダードパーツを用いた車両パッケージに加え、ウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングによるバッテリーもその一部に含まれている。

 鋼管パイプフレームとなる車体とロールケージは、ニオブ鋼強化合金のチューブラーフレームとクラッシャブルストラクチャーで構成され、サマー&ウインターの両コンディションに向けたタイヤは、シリーズ創設パートナーのコンチネンタルによって供給される。

 リヤに搭載された2モーターによる最大出力は400kW(約550HP)で、最大勾配130%の路面においても1650kgの車体を約4.5秒で62mph(約100km/h)まで加速させることが可能となっている。

 2021年から予定されているシーズン1では、各チームが独自のパワートレイン開発を推進し、エンジンカバー、前後バンパー、サイドスカート、ライトなど車体の限られた分野で異なるマニュファクチャラーのボディワークを選択できる。

「我々の課題は、砂利、岩、泥、氷、雪、水、砂など、さまざまな路面や地形の変化に対応できる電動車両を設計・製造することだった」と語るのは、スパーク社のテクニカルディレクターを務めるテオフィル・グージン。

「このオデッセイ21はシーズン1でそのまま使用できるパッケージになっていて、WRC世界ラリー選手権のWRカーや、パリダカールのラリーレイド・プロトタイプカーなどを超えるパワーとトルクにより、とても印象的なパフォーマンスを有している。その数値は実に驚くべきものだ」

 またグージンの説明によれば、オデッセイ21に採用された940mm(37インチ)の大径オフロードタイヤは、これまでの2輪駆動マシンでも使用実績のないサイズで、これによりトラクション向上と、より最適なサスペンショントラベルが実現したという。

 2019年9月からの本格テストを経て、スパーク社は2020年3月までに12台のオデッセイ21を各チームに供給。その後、2020年中盤からグループテストが開始され、2021年開幕戦を前に参加12チームはシリーズ独自のフローティングパドックに集うことになる。