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スカイピースが語る、YouTuberとしての現在地と「変わらないために、変わり続けること」の重要性

2019年07月10日 07:21  リアルサウンド

リアルサウンド

撮影=伊藤惇

 人気YouTuberユニットのスカイピースが、6月26日に2ndアルバム『BE BOY』と3rdシングル『Ride or Die』を同時リリース。LINE MUSICアルバムランキングにて1位を獲得、iTunes J-Popアルバムランキングでも2位を記録した。


 7月12日からはアルバム『BE BOY』を引っさげた夏の全国ツアーを実施。3rdシングル『Ride or Die』は、アニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』(テレビ東京系)のエンディングテーマに選ばれており、ふたりも本作でアニメ声優デビューを飾った。


 登録者数248万人(2019年6月現在)を誇る人気YouTuberとして毎日、動画投稿を続けながら、楽曲制作、ライブ活動と多忙を極めるふたり。2017年のメジャーデビューから彼らを取り巻く環境も大きく変化してきた。「変わらないために、変わり続ける」と語る、彼らの真意に迫った。(佐藤結衣)


(参考:【写真】音楽とYouTube活動について熱く語るスカイピースのふたり


――リアルサウンドでは、以前メジャーデビューした2017年以来(参照:YouTuberユニット・スカイピースが明かす、結成のきっかけとメジャーデビューへの思い)の登場です!


テオ:(インタビュー記事を見ながら)うわっ、懐かしいな。


☆イニ☆:このときの写真を動画で使いたいね。“いつの俺らでしょう?”って(笑)。


――このころから今まで、どんなふうに成長を感じていますか?


テオ:このときって、まだツアーを経験していないんですもんね。今年7月から始まるツアーで3回目になるので、その経験が全然違うと思います。人前に立つって本当に成長できるステージだなって思います。1度目のツアーは、初めてっていうのもあって、今思うと本当に素人同然のライブでしたね。3曲歌ったら、もう喉が枯れちゃったり。だから、2回目に向けてボイストレーニングを入れていただいたんです。でも、今度は歌に集中するほど、パフォーマンスが追いつかなくて……。どういう歌い方をすれば、心に余裕を持って、納得のいくパフォーマンスができるのかを勉強して、今度のツアーに挑むので、そこを見てもらえたら嬉しいです。


――そうした「もっと、ここが……」という反省点の確認は、ふたり一緒にされているんですか?


☆イニ☆:ライブが終わったあとに「あそこは、こうだったよね」って振り返ったりはしますけど、そんな堅苦しく場を作って反省会みたいなのはしてないですね。“楽しく”っていうのがスカイピースのモットーなので。各々が「ここはダメだったな」って反省する部分があれば、それぞれレベルアップするように取り組むって感じです。


――YouTubeだけの時期に比べて、音楽活動を通じてスカイピースのことを知ったという人が増えた印象はありますか?


☆イニ☆:はい、自分たちの知らないところまで広がっていってる感覚がありますね。それは、今回のように、歌を通じてタイアップのお仕事が増えたからだと思います。テレビから自分たちの声が流れてきたり、お会いした芸能人の方から「息子がめっちゃ好きで見てるよ!」なんて声をかけてもらえたりするようになりました。


――今回は、人気アニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』(以下、『BORUTO』)とのタイアップですが、決まった時の心境はいかがでしたか?


テオ:『BORUTO』っていったら、僕らがYouTubeで活動する前から見てきた『NARUTO-ナルト-』の息子たちのストーリーなので、すごい嬉しかったですね。うん、嬉しい……です。


☆イニ☆:なんかいろいろ言おうとして、結局「嬉しい」(笑)。


テオ:うん(笑)。考えてみたんだけど、嬉しいっていう言葉以外ないなって!


――第一報は、どのように知ったんですか?


テオ:レコード会社の担当者さんから「決まりました」って連絡がきたんですよ。もう、ガッツポーズですわ!


☆イニ☆:実は、候補に上がった段階で聞いていたんですよ。だから、「どうだろうなー、決まるかな、決まらないかな」ってソワソワしてたんですけど。


テオ:改めて、ふたりで会ったときに(ガッツポーズして)「っしゃー!」「決まった!」ってね。


――喜びを確かめ合ったんですね! 周りの方からも、嬉しい反応はありましたか?


テオ:ファンのみなさんも、すごく喜んでくれて。YouTuberの先輩たちも反応してくれてうれしかったんですけど、特に印象に残ってるのは東海オンエアさんがツイートしてくれたことですね。「すっげー、あざっす! ありがとうございますー!」ってなりました。


――しかも、今回は2人がキャラクター化されて、声優にも挑戦しましたね。


テオ:はい。ありがたいことに。これはもう、俺らはレギュラーってことでいいんだよね? 忍の世界に!


☆イニ☆:セリフ、ふた言くらいだったけど(笑)。でも、ちゃんと名前もあって、怪盗ジーンとテオーだっけ?


マネージャー:「怪盗」じゃないです、「盗っ人」です(笑)。


☆イニ☆:(目を見開いて照れくさそうに)ハッ!


テオ:「盗っ人」の小物感、すごっ(笑)。急にショボくなっちゃったよ!


☆イニ☆:アハハハ。でも、キャラデザインを見た時、感動したよね。しっかり俺とテオくんで。ただし、悪い顔してる俺ら!


テオ:うん、12年後くらいの俺らね(笑)。


☆イニ☆:うん。YouTubeやめて盗っ人してる、12年後の俺らって、おい(笑)。


――アフレコは、どのような感じで進んだんですか?


テオ:ふたり一緒にアフレコしたんですけど、すごく難しかったですね。最初、普通にセリフを言ったら「ふざけてる?」ってスタッフの方に言われちゃって。


☆イニ☆:その言い方だと、怖く感じるね!


テオ:あ、じゃあ「あれ? ふざけちゃったかな~?」みたいな。


☆イニ☆:怖い、怖い。むしろ怖い(笑)。本当はめっちゃ怒ってるのに、抑えてる人みたいに聞こえるよ!


テオ:アハハハ。なんか、無意識のうちにYouTuberっぽい話し方っていうか、すごくハキハキ話しちゃってたんですよ。自分の中で出る1番低い声でセリフを言ったのに、なんかポップな感じが出ちゃってたみたいで。悪役感出すのが、すごく難しかったですね。だから、裏の顔だしちゃったよね。


☆イニ☆:出しちゃったね。“(低音ボイスで)フッフフフフ!”こんな感じでね。もはや、オンエアを見ても、スカイピースって気づかないんじゃないかな。


テオ:もうキャラデザインがスカイピース仕様じゃなかったら、どこに俺らがいるかわからないかも。


☆イニ☆:それくらい「盗賊」にまぎれたからね。


テオ:うん……「盗賊」? いや、だから「盗っ人」ね(笑)。もー、すぐよくしようとするんだからー! あ、そのときのアフレコ風景も今度YouTubeにも出そうと思ってるので、楽しみにしていてほしいですね。


――エンディングテーマとなった「Ride or Die」の歌詞は、どのように作られたんですか?


テオ:いつもは、歌の入っていないトラックを聞いて、それぞれ詞を書いているんですよ。たとえば僕がサビを担当する曲だったら、サビと自分のパートを作詞して、☆イニ☆たんに渡して残りのパートを作詞して提出するという流れです。でも「Ride or Die」の場合は、ちょっとイレギュラーで……。今回は僕がサビを書いていたら自分のパートがなかなか進まなくて。初めての3拍子の曲だったのもあると思うんですけど。だから、今回は「☆イニ☆たんから自分のパートを書いてほしい」って頼んだんですよ。そういう流れで作ったのは、この曲が初めてですね。


☆イニ☆:自分も3拍子の曲に詞をつけるのは初めてだったんで、めちゃくちゃ苦戦しました。メロディがなかなかハマらなくて。でも、苦戦はしたものの仕上がりはすごく気に入ってます。


――先に相手が書いている言葉を見ながら、詞を綴っていくんですね。


テオ:はい。ふたりともサビから書き始めるんですけど、“ここが1番想いの詰まってる場所かな?”って感じながら。だいたい1曲を作詞するのに1日かからないくらいですね。僕らの詞って、ストレートな言葉ばっかりだから(笑)。


☆イニ☆:今回は『BORUTO』のエンディングテーマっていうのがあったので、(甘噛み気味に)忍者の世界観を……。


テオ:ニンジャーの世界観(笑)?


☆イニ☆:そう、忍者erの世界観ね!


――MVでは、ちょんまげ姿も披露されて話題になりましたけど、そうしたアイデアはどこから?


テオ:MVは、何回もお世話になっているチームに撮っていただいてて、監督さんがいろいろアイデアを持ってきてくれるんですよ。「それ、めちゃくちゃいいですね! そしたらこういうシーンも入れたいです」って、僕らもさらにアイデアを出していく感じですね。


――そうした案は、どんどん出てくる感じですか?


テオ:そうですね。YouTuberとして1年間で365本以上の動画を出してるんで、本当に毎日いろんな経験ができているんですよ。そのなかで、“こういう曲が作りたいな”とか、“こういう想いをみんなに届けたいな”っていうのが出てきて……うん、一生出てきますね(笑)。


☆イニ☆:一生(笑)。そこは僕らの成長したところですね。


――今回のアルバムの中で、思い入れのあるフレーズなどはありますか?


テオ:僕は「分かれ道」の〈正直悔しいよ でも僕にできるのは君の選択に後悔を残させないことだけ〉っていう歌詞ですね。この歌は、一緒に夢を目指して駆け上がってきたのに、途中で花が咲かずにあきらめていっちゃう人たちに贈った曲でもあるんです。実生活でリアルに相談されることがあって。「もう無理かもしれない」「やめようかなって思ってる」って言われたときに、自分の中では「やめてほしくない」って言葉が、先に出ちゃうんですけど、でも結局決めるのは相手であって、その人の人生なので。その夢を諦めて違う道を行くキミのことも、後悔が残らないように全力で応援していくね、って思いを込めて歌詞を書いています。


☆イニ☆:自分は「リメンバー」って曲で、〈気が付けばネット歴8年以上で〉っていう出だしのところなんですけど。「分かれ道」にもつながるんですけど、8年以上続けていると辞めていっちゃう人もいるんですよね。新しく始めていく人もいれば、消えていく仲間もいるので。いつか僕も消えていっちゃうのかな、なんて思いながらやってたんで。勉強が全然できなくて、友だちもそんなにいないし、学校から帰ったら、すぐにネット繋いで、音楽作って、マイク持ったら別人になって……ってそういう生活してた昔と今を当てはめてるような歌詞ですね。


――おふたりがピックアップした部分をお聞きしていると、ここまで続けてきたからこそ、の心境が垣間見えますね。スカイピースとしてYouTubeを始めたころと時代も環境も変化していますが、自分たちで変わらないところ、変わったところはありますか?


☆イニ☆:「YouTube毎日投稿」っていうのは、自分たちで決めた最低目標で。それは変わらずに続けてきてるんですけど。一方で、音楽面は新しいことにチャレンジしていくという意味で、パワーアップして変わり続けていこうって思ってて。


テオ:毎日投稿っていう変わらないことを続けていく上で、メジャーデビューをしてやりたいことがどんどん増えていって、今までと同じやり方じゃ毎日投稿ができなくなる、ってなったときに、やっぱり変えなきゃいけない部分もあって。そこで仲間を増やすっていうことを決めました。今は5人でスカイチームとしてやっていて、それが「変わらないために、変わり続ける」ってことだと思っています。


――動画の企画としても、最近はチャレンジングなテーマが多いように感じました。特に、「スカイピースって好きって言いづらいよね。」の動画は、かなり攻めているなと。スカイピースの動画=明るくポップな印象が強かったので。これは意図的な挑戦ですか?


☆イニ☆:あー、よく見てくれてますねー(笑)。そうですねー……あれ、これ話が重くなっちゃうかな? うーん、やっぱりもうちょっと親しまれる人になりたいなって思っているんですよね。そう思ったきっかけが、動画の中でも話していたんですけど、地下アイドルのライブに行ったとき、MCで「東海オンエアが好き」っていう話題が出てて。東海オンエアって本当にいいんですよ。飾ってないし、男女問わず親しまれるというか。だから、男性のファンが多いアイドルの子が「東海オンエアが好きです」って言っても、受け入れられやすいんですよね。そういう意味でスカイピースも、もっと親しみやすい存在になりたいって思うようになって。


――スカイピースのファンは、女性の方が多いんですか?


☆イニ☆:そうですね。ライブに来ていただくのは女性が中心です。あと、お子さんと一緒に来てくださる方も増えていますね。だから……下ネタとかよくないなって(笑)。


テオ:アハハハ!


――たしかに(笑)。スカイピースには、クリーンなイメージがあります。


テオ:だから、実は今も葛藤しているんですよ。自分たちの中では、キレイなアイドル路線みたいなものを意識していたわけではなかったし、中身はハチャメチャなことするのが好きな男子なので。でも、ライブで実際に女性や子どもたちが目の前にいると、それは「ん~、今は下ネタじゃないな(笑)」ってなっちゃう。それが続くと見てくれる人の期待に対する表現ばかりになってしまって、「自分たちのやりたいことってなんだっけ?」ってなることも……3年経っても、悩んでいるところかもしれません。


――たしかに、動画で見えない視聴者に向けて好きなことを発信するのと、ライブで観客が目の前にいる中でパフォーマンスするのは、考え方が変わるかもしれませんね。


テオ:結局は、自分たちのしたいことをする、っていうのが正解ではあるんです。我慢していたら、いつか壊れてしまうと思うので。だから、自分たちが何したいのか、どんなことができるのかを模索していて……その結果が、水着美女でした! で、スベるっていう(笑)。


☆イニ☆:アハハ!


――ふたりが試行錯誤した上で、いろんな動画を出しているんだって思うと、グッとくるものがありますね。「バカだな」って言いながら、応援したいファンが増える気がします。


テオ:もう周り考えずに、やってみたっていう意味では、やってよかったと思います。絵的にも新鮮でしたし! いろんな意味で楽しいなって思いましたけど。ま、スベった(笑)。でも、怖がらずに挑戦していきたいなと。


――挑戦を続ける中で、そのさじ加減が難しい時代になっていると思うのですが、YouTube全体として以前に比べてハチャメチャしにくい雰囲気は感じますか?


テオ:YouTuber同士でも、ご飯を食べながら「最近こうだけど、スカイピースはどうしていく?」みたいな話はしますね。人様に迷惑をかけちゃいけないっていうのは大前提なんですけど、それでも他の人が炎上しているの見て「これも気をつけないとなのか」って感じます。どんどんやれることが狭くなっていっちゃうなって、思うことも。みんながハッピーになる動画を作るのは、すごく難しいです。でも、最終的には、自分たちが楽しいと思えることをやれるのがYouTubeだから。それができる世界である限り、頑張りたいって思います。


――YouTubeから、メジャーデビュー、アニメの声優……と、次々と可能性が広がっていますけれど、今後こんなことをやってみたいという野望はありますか?


テオ:なんだっけ? めちゃくちゃやりたいって言ってたやつあったじゃん!


☆イニ☆:世界征服?


テオ:いや、違う! 織田信長かッ! あれだよ、サーティーワンアイスクリームのCMキャラクターになりたいって言ってたじゃん。


☆イニ☆:サーティーワンアイスクリーム、好きなんですよねー♪ お待ちしてまーす(笑)。


テオ:僕は「うわ、スカイピースこれやるか!」っていう、YouTuberに刺激を与えるようなことができたらいいなって思いますね。最近は、みんな事務所とかに所属して活動していますけど、そういうのに縛られずに自由に動き回って、「スカイピースあんなことやってる、うらやましい」って思われるような……誰もやったことのない新しいことをしたいです!


☆イニ☆:出ました! これ、完全に見出しになるやつだ! スカイピース、テオ「新たな挑戦」。


テオ:「時代が動いた!」みたいなやつを、起こしてみたいなって。


――最後に、ファンのみなさんにメッセージを。


☆イニ☆:登録者数も増えていく中で、新しくスカイピースを知った人もいれば、離れていっちゃう人もいると思うんですけど、これからもスカイピースはツアーもありますし、もちろんYouTubeも毎日投稿していくんで、どんどんみなさんを楽しませていこうと思っていますので、飽きずに……飽きさせない! 飽きさせないから!


テオ:怖い、怖いよ、急に(笑)。


☆イニ☆:飽きさせないわ♡ 飽きさせないわよ♡


テオ:ふふふふ。路線、変わりすぎ。変わらないために、変わり続けちゃってるよ!


☆イニ☆:ギャハハ!


テオ:たぶん、これからもやりたいことをやっていく上で、ファンの方たちの期待を裏切る場面もあると思うんです。水着動画みたいな感じで(笑)。でも、僕はファンのみなさんとスカイピースは友だちだと思っていて、ケンカしてもいいと思うんです。お互いに思っていることを言い合って、すり合わせて、それでちゃんと仲直りもしながら、一緒に成長していく関係でいたいなって。俺たちは友だちだ!


☆イニ☆:友だちだわよ♡


ふたり:アハハハ! 


(佐藤結衣)