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WEC:トヨタのライバル撤退。SMPレーシングがエントリー取り消し、LMP1は合計6台に

2019年07月09日 11:31  AUTOSPORT web

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SMPレーシングの11号車BRエンジニアリングBR1・AER
ロシアのLMP1チーム、SMPレーシングがWEC世界耐久選手権2019/2020年シーズンのエントリーを取り消し、シリーズから撤退することが明らかになった。

 2018/19年“スーパーシーズン”でWEC最高峰カテゴリーであるLMP1クラスにステップアップを果たしたSMPレーシング。

 ジェンソン・バトン、ビタリー・ペトロフ、セルゲイ・シロトキン、ブレンドン・ハートレー、ストフェル・バンドーンなどを含む豪華なドライバーラインアップが話題を呼んだほか、シーズンを戦うにつれて戦闘力を増していった同チームは、最終戦となった2019年ル・マン24時間でのプライベーター最上位、総合3位表彰台をはじめ計3回のポディウムフィニッシュを飾っている。

 そんなSMPレーシングは、ル・マンの期間中に発表されたフルシーズンエントリーにおいて、2018/19年シーズンと同様に2台のBRエンジニアリングBR1・AERを走らせるとしていた。しかし、ロシア初のLMP1チームは来シーズンに向けたWECプロローグテストを前に、そのエントリーを取り消す決断を下した。

 この決定についてSMPレーシングの創設者であるボリス・ローテンベルクは、7月8日に出された声明で「チームが2018/19年WEC“スーパーシーズン”のLMP1を戦うなかで、きわめて困難な状況にあったと感じていた」と説明する。

「我々の目標はただひとつ、勝利を掴むことだった。私たちは与えられた状況のなかで可能な限り最高の結果で、この“勝利”を達成したと信じている」

「ル・マンでのシーズン最終レースの後、SMPレーシングはWECから去ることを決定した。我々のチームは2019/20シーズン、この舞台でレースを戦うことはない」

 LMP1プライベーターチームであるSMPレーシングが、全8戦中2レースを除いてトヨタがワン・ツー・フィニッシュで終えることになったWEC“スーパーシーズン”において、総合優勝を目指して戦うための投資の見返りに満足していなかったことは周知の事実だ。

「私たちにとっては厳しいシーズンだった」とローテンバーグ。

「ロシア初のLMP1カーとなった『BR1』(の開発では)非常に多くの作業をしてきた」

「その結果、ロシアチーム、ロシアのドライバー、そしてロシアのクルマが、もっとも難しい世界選手権、そしてル・マン24時間レースのような権威あるレースで最高の結果を達成する能力があることを、みなに示し証明することができた」

「ドライバー、SMPレーシング、ART GP、BRエンジニアリング、ダラーラなど、この野心的なプロジェクトに参加したすべての人にとって、これは成功に値するものだ」

 SMPレーシングがフルシーズンエントリーを撤回したことで、来季のLMP1ラインアップはTOYOTA GAZOO Racing、レベリオン・レーシング、ジネッタG60-LT-P1・AERを走らせるチームLNTの3チーム合計6台に縮小することになった。

 なお、レベリオンのカリム・ブハドラはSportscar365に対し、自チームのフリシーズンエントリーを1台にスケールバックし、ル・マンでのみ2台目を投入するオプションも検討していると語っている。また、ジネッタでの参戦を予定しているチームLNTは、そのプログラムの詳細が明らかにされておらず。同チームが2019/20年シーズン、確実に参戦できるのかは不透明な状況だ。