2019年07月09日 10:31 弁護士ドットコム
「夫がうつ病になりました。このような状態でも離婚はできるのでしょうか」。不倫をした夫と離婚を考えているという女性が、弁護士ドットコムに相談を寄せています。
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相談者によると、2カ月前に夫の不倫が発覚。すでに不倫相手からは50万円の慰謝料を支払ってもらっているといいます。
しかし、不倫相手を失った悲しみから、夫はうつ病に。仕事も身が入らなくなり、上司に会社を休むように言われているそうです。
「夫の不倫は2回目です。『反省している』という言葉を信じ、家庭や子どものためにがんばってきましたが、もう限界です」と相談者は疲弊している様子です。相談者は、夫と離婚することはできるのでしょうか。
たとえ夫がうつ病になったとしても、夫婦2人が話し合って合意すれば、「協議離婚」という形で離婚することはできます。
もし、協議離婚できなかった場合には、裁判所での調停、裁判へと進みます。この場合には、法律(民法770条1項)が定める離婚理由が必要となります。
民法770条1項が定める離婚事由は、(1)不貞行為 (2)悪意の遺棄 (3)生死が3年以上、明らかでないとき (4)配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき (5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき、の5つです。
今回は夫が不貞行為を認めていることから、(1)不貞行為を理由に離婚が認められる可能性が高いでしょう。
相談者は、夫がうつ病になったことに不安を抱えている様子です。離婚手続きを進めるうえで、たとえば請求できる慰謝料や養育費が減額されてしまうなど、なんらかの影響が出ることはあるのでしょうか。
離婚問題に詳しい長瀬佑志弁護士は「夫が不貞行為に及んだ以上、妻は夫に対して、不貞行為に対する慰謝料や離婚に伴う慰謝料を請求することはできます。しかし、夫がうつ病ということになると、今後も安定して収入を得ることが期待しにくいといえます。そのため、夫側の収入や資力が乏しいと判断され、慰謝料や養育費が減額されてしまう恐れは否定できません」と説明します。
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【取材協力弁護士】
長瀬 佑志(ながせ・ゆうし)弁護士
弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。多数の企業の顧問に就任し、会社法関係、法人設立、労働問題、債権回収等、企業法務案件を担当するほか、交通事故、離婚問題等の個人法務を扱っている。著書『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践している ビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)、『弁護士経営ノート 法律事務所のための報酬獲得力の強化書』(共著)ほか
事務所名:弁護士法人長瀬総合法律事務所水戸支所
事務所URL:https://nagasesogo.com