7月7日、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第7戦モスポートがカナダ・ボウマンビルのカナディアンタイヤ・モータースポーツ・パークで行われ、マツダチーム・ヨーストのトリスタン・ヌネス/オリバー・ジャービス組77号車マツダRT24-Pと、ジョナサン・ボマリート/ハリー・ティンクネル組55号車マツダが2戦連続でワン・ツー・フィニッシュを飾った。
今大会の1週間前、マツダチーム・ヨーストはワトキンスグレンで開催された第6戦グレン6時間で、チーム初の総合優勝を55号車が達成。77号車が2位となったことでワン・ツー・フィニッシュを果たした。
迎えた第7戦でもチームの勢いは衰えず。2番手からスタートした55号車マツダがレース序盤にライバルを交わして総合首位に立つと、ヌネスがスタートを担当した77号車も中盤までに総合3番手に浮上する。
レース終盤、55号車が最後のピット作業中にホイールガンのトラブルに見舞われタイムをロス。代わって77号車が首位に立ち、55号車が2番手となった。トップに浮上した77号車のジャービスは、コース上のアクシデントによって出された赤旗後のリスタートからフィニッシュまで、危なげない走りでクルマを運び55号車を引き連れてトップチェッカー。僚友とともにマツダに2週続けてのワン・ツー・フィニッシュをもたらしている。
そんなジャービスとレギュラーシーズンのコンビを組むヌネスにとって今回の勝利は、自身初のIMSAシリーズ総合優勝の瞬間となった。この結果に「本当に夢がかなった! 待った甲斐があったよ」とコメントしたヌネス。
彼は元マツダ育成ドライバーで、グランダム・シリーズにマツダがスピードソースとのジョイントチームで走らせていた頃、ディーゼルエンジンのマツダ6 GXをドライブした経験を持つ。
現在、23歳となったアメリカ人ドライバーはその後、マツダがプロトタイププログラムを開始する1年前にワークスドライバーとなると2013年以来、長らくチームとともに苦心を重ねてきた。
「何度も言っているけど、本当に待った甲斐があった勝利だ。僕たちは(かつて)GXレースでいくつかの勝利を手にしたが、今回は(その時とは違って)強力なライバルたちとの戦いだった」
「僕たちが注いできた努力とこれまで行ってきた改革によって、いま完全で強力なパッケージが完成したと思う。僕たちは(勝つために必要な)すべてのピースをチェックしてきたんだ」
「それがこの2週間で結果として表れたと思う。2回のワン・ツー・フィニッシュよりも良い結果は得られないからね」
「本当に夢が叶った! 僕はジョン(・ドゥーナン=マツダ・モータースポーツ代表)と最初に契約を交わしたときから、ずっとこの瞬間を夢見てきたんだ。正直なところ、まだ実感が湧かないけどね」
■「2戦連続のワン・ツー・フィニッシュなど、到底信じられるものではない」
このマツダの“逆襲”に、チームのボスであるドゥーナンは「この勝利は、すべてのマツダファンのみなさまのものです」とコメント。
「私は、マツダ・チームヨーストのクルー、マルチマチック、AERの仲間たちの頑張りで得た連勝を心から誇りに思う」と語り、2週間で得たふたつの勝利を「ドライバーを含め、彼らチームの絶え間ない努力の賜物である」と続けた。
「オリバー(・ジャービス)とトリスタン(・ヌネス)にとって初めての勝利を見届けることができ、身震いしたよ。2戦続けてワン・ツー・フィニッシュを実行することなど、到底信じられるものではないからね」
「ジョナサン(・ボマリート)とハリー(・ティンクネル)も、今日のレースのほとんどを支配していた。彼らもこのレースを勝ちとる資格を持っていたというべきだろう」
「(先週に続いて)繰り返しになるが、私たちのゴールは、マツダブランドのためであり、マツダ車のオーナー、セールス担当やマツダレーサー達のためにある。その夢はついに叶ったのだ」
プロトタイププログラムの開始から6年、苦しみに抜いたチームは伝統のオールドサーキット、ワトキンスグレンで歓喜の味を覚え、その翌週には早くも2度目の勝利の美酒を味わうことになった。
今後、8月2~4日に行われる第9戦ロード・アメリカに向けては、パワーや重量面でライバルたちより有利になっているBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)が見直されることが予想されるが、そこでマツダチーム・ヨーストの真価が発揮されることになるだろう。