安田章大主演の舞台『忘れてもらえないの歌』が、10月15日から東京・TBS赤坂ACTシアター、11月4日から大阪・オリックス劇場で上演される。
福原充則による書き下ろし脚本、演出で上演される同作は、1945年の終戦後を舞台に、生きるためにジャズにしがみついた男女の不幸な愛を描いた作品。安田章大は無許可で床屋を営む学生でギターとボーカルを担当する滝野亘役を演じる。安田と福原のタッグは2017年上演の『俺節』以来となる。
共演者は、サックス担当の作詞家・稲荷義郎役の福士誠治、作曲、ピアノ担当の良仲一矢役の中村蒼、ドラム担当のバンドの「ボーヤ」川崎大役の佐野晶哉(Aぇ! group)、ボーカル担当の娼婦・芦実麻子役の木竜麻生、娼婦のリーダー的存在・コオロギ役の高月彩良、ドラマー・曽根川役の村上航、ウッドベース担当のバーテンダー・瀬田役の大堀こういち、「拾い屋」オニヤンマ役の桑原裕子、闇市を仕切るヤクザ・鉄山役の渡辺哲、ジャズバー、ダンスホールの支配人で「歌姫」のレディ・カモンテ役の銀粉蝶ら。チケットの一般販売は8月24日からスタートする。
安田は「僕自身、『俺節』から2年の間に、病気や怪我でたくさん心配や迷惑をかけたこともあって、どう生きたいのか、どう生きていくのかということをいろいろ考えました。そんな経験も活きてくるような気がしています。観てよかったと思ってもらえる舞台になるように、全力で頑張ります!」とコメント。
また福原は「『俺節』から2年経った今のヤスや、今回初めて仕事をする人を含めたメンバー全員と、稽古場でどんなふうに出会って、どんなものをつくっていけるのか、緊張もありつつ、楽しみにしています」と述べている。
■安田章大のコメント
今回は福原充則さんの書き下しということで、どんな物語になるのか、どんな人物を生きられるのか、喜びとワクワクでいっぱいです。
僕は福原さんが描く世界、辛くて厳しい現実を、苦いものを抱えながらも何とか生きていこうとする人達を、笑いも入れながら描くところが好きだなあと改めて感じています。だって、それこそが人生のリアルだと思うんです。
人は笑うことでまた頑張れる、生きていけるんだと思います。
僕自身、『俺節』から2年の間に、病気や怪我でたくさん心配や迷惑をかけたこともあって、どう生きたいのか、どう生きていくのかということをいろいろ考えました。そんな経験も活きてくるような気がしています。観てよかったと思ってもらえる舞台になるように、全力で頑張ります!
■福原充則のコメント
これまでに、戦時中の演劇の話と、戦後の映画の話をやってきたので、その時代の表現者の話として、もう一つ“音楽”をやりたいなと思ったのが、そもそもの発端でした。
とはいえ、戦中・戦後という大変な時代を生きる人のタフさを表現するには尋常じゃないエネルギーが要りますし、暗い芝居にはしたくない。そんなタフさと明るさ、それも、人の痛みをわかった上での華やかさみたいなものを持った人なんて、いるんだろうか……?
そういうことを考えたときに浮かんだのが、「俺節」を一緒につくってくれたヤスこと安田章大くんの顔です。ヤスのために何かを書くということも出来たんですけど、僕に今書きたいものがあって、最初にヤスの顔が浮かんだというのが、すごくよかったなと今改めて感じています。
主人公は、焼け野原になった東京で、心が空っぽなままじゃ生きていけないことに気が付き、心に何か入れるなら、絶望ではなくポジティブな感情を入れて前に進もうと思った男。キビしい現実を、バカバカしいくらい明るく前向きに生きていこうとする人です。ビジュアル撮影の時のヤスは、なんだかとても色っぽくて、ちょっとドキッとしました。「俺節」から2年経った今のヤスや、今回初めて仕事をする人を含めたメンバー全員と、稽古場でどんなふうに出会って、どんなものをつくっていけるのか、緊張もありつつ、楽しみにしています。