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SBK第8戦イギリス:レイが母国レースで3連勝を達成。バウティスタを逆転しランキングトップに

2019年07月08日 16:11  AUTOSPORT web

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SBK第8戦イギリス ジョナサン・レイ( カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)
スーパーバイク世界選手権(SBK)第8戦イギリスがドニントン・パーク・サーキットにて行われ、カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBKのジョナサン・レイが母国レースで3連勝を達成した。これによりレイはランキングにおいてアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)を逆転し、トップに立った。

 この第8戦では、BMWモトラッド・ワールドSBKチームのマーカス・ライターベルガーが感染症により欠場となり、今年のマン島TTレースで3クラス制覇を果たしたピーター・ヒックマンが代役を務めた。

 第7戦イタリアでハイサイド転倒を喫し、複数箇所の骨折によりレースを欠場したパタ・ヤマハ・ワールドSBKチームのマイケル・ファン・デル・マークは、この第8戦で戦列に復帰。一方チーム・ゴーイレブンのユージン・ラバティは、金曜日のフリー走行1回目と2回目には出走したものの、その後のメディカルチェックの結果を受けて土曜日以降の出走を取りやめた。ラバティは第5戦イタリア(イモラ)のフリー走行で転倒を喫し、両手首を骨折。第6戦スペイン(ヘレス)と第7戦イタリア(ミサノ)を欠場していた。

 レース1のグリッドを決めるスーパーポールでは、カワサキ時代の2015年から2018年まで4年連続でポールポジションを記録していたトム・サイクス(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)が、悪天候のなか最後のアタックで2番手に1秒近い差をつける1分27秒619をマーク。5年連続となるドニントンでのポールポジションを獲得した。

 2番手につけたのはレイで、タイムは1分28秒612。3番手は1分29秒198を記録したチームメイトのレオン・ハスラムで、カワサキ勢がフロントロウに並んだ。代役参戦のヒックマンは1分29秒348で4番手、またこのシリーズに参戦する唯一の日本人ライダー、清成龍一(モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム)は、1分30秒997で13番手だった。なお今大会において、モリワキ-アルティア・ホンダ・チームは清成のみのエントリーとなった。

■レース1:レイが今シーズン5勝、ランキングトップに浮上

 レース1は、気温16度、路面温度18度というウエットコンディションでのレースとなった。

 ポールポジションのサイクスは蹴り出しの良いスタートを決めたが、先頭でターン1に向かったのは2番手スタートのレイだった。トップに立ったレイはすぐにサイクスを引き離し始め、オープニングラップで早くも1秒のギャップを開いた。一方サイクスの後ろにはハスラムが迫り、後方でもポジションの入れ替わりが多く、13番手スタートの清成は最後尾までポジションを落としてしまった。

 3周目には、先頭のレイと2番手のサイクスの差が4.8秒にまで開いた。サイクス、3番手に浮上したロリス・バズ(テンケイト・レーシング)、ハスラムによる2番手争いが繰り広げられたが、6周目にはハスラムが3番手のポジションを取り戻した。

 その後ろでもアレックス・ロウズ(パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム)、ヒックマン、レアンドロ・メルカド(オレラック・レーシングVerdNatura)らによる6番手争い、トプラク・ラズガットリオグル(ターキッシュ・プセッティレーシング)とファン・デル・マークによる9番手争いが展開されていた。

 すると10周目にはジョルディ・トーレス(チーム・ペデルチーニ・レーシング)がターン6の出口でクラッシュを喫し、サンドロ・コルテセ(GRTヤマハ・ワールドSBK)が同じターン6の進入でクラッシュ。さらにはバウティスタも11周目にターン6で激しくクラッシュし、リタイアとなった。

 レース後半を迎えてもレイは順調に周回を重ね、2番手以降のサイクス、ハスラム、バズ、ロウズまでのトップ5はそれぞれ単独での走行となっていた。その後方も単独での走行となるライダーが多いなか、チャズ・デイビス(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)とアレッサンドロ・デルビアンコ(アルティア・ミエ・レーシングチーム)による9番手争い、ラズガットリオグルとマイケル・ルーベン・リナルディ(バーニーレーシングチーム)による12番手争いが終盤まで続いた。

 結局レイはスタートでトップに立った後はその座を一度も譲ることなく、通算76勝目となる今シーズン5勝目を挙げた。サイクスが2位、ハスラムが3位という表彰台の顔ぶれとなり、スーパーポールでフロントロウを獲得したカワサキ勢が2台揃って表彰台に上がった。インディペンデントチームのトップは、4位に入賞したバズとなった。

 一時は最後尾までポジションを落とした清成は11位でフィニッシュ。またバウティスタはリタイアとなったためノーポイントに終わり、レイが逆転でランキングのトップに立った。

■SBK第8戦イギリス レース1順位結果(23周)
Pos.No.RiderTeam/MachineTime/Gap11J.レイカワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR)38’22.405266T.サイクスBMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR)11.348391L.ハスラムカワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR)23.071476L.バズテンケイト・レーシング(ヤマハYZF-R1)29.935522A.ロウズパタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1)37.641636L.メルカドオレラック・レーシングVerdNatura(カワサキZX-10RR)46.917710P.ヒックマンBMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR)1’00.135860M.ファン・デル・マークパタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1)1’07.062952A.デルビアンコアルティア・ミエ・レーシングチーム(ホンダCBR1000RR)1’10.752107C.デイビスAruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R)1’11.4531123清成龍一モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR)1’15.1611221M.ルーベン・リナルディバーニーレーシングチーム(ドゥカティ パニガーレV4 R)1’24.2591354T.ラズガットリオグルターキッシュ・プセッティレーシング(カワサキZX-10RR)1’26.8881433M.メランドリGRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1)1LapsRET19A.バウティスタAruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R)13Laps(リタイア)RET81J.トーレスチーム・ペデルチーニ・レーシング(カワサキZX-10RR)14Laps(リタイア)RET11S.コルテセGRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1)14Laps(リタイア)

■スーパーポール・レース:赤旗中断でレース終了。カワサキが表彰台を独占

 スーパーポール・レースは気温17度、路面温度33度のドライコンディションで行われた。

 このスーパーポール・レースは、土曜日のスーパーポールの結果がグリッドに反映される。ポールポジションのサイクスはスタートを決めると、トップでターン1に向かう。カワサキ勢はハスラムが2番手かと思われたが、レイ、ハスラムとグリッド順のまま続いた。

 その後ろでは7番手スタートのラズガットリオグルが4番手にポジションを上げ、バウティスタ、バズらもポジションを上げる。一方4番手スタートのヒックマンや13番手スタートの清成は、スタートでポジションを落とした。

 2番手のレイはサイクスの背後にぴたりとつけ、3周目には一度サイクスを捉えたものの、すぐさまサイクスがトップの座を取り戻す。その間にラズガットリオグルがターン10でハスラムを捉えて3番手に浮上し、上位ではこの4台による集団が形成された。

 4周目、ターン9でレイがサイクスをパスしてトップに浮上した。しかしサイクスは離されることなくレイについていき、オーバーテイクの機会を伺う。また5番手を走るバウティスタが、ハスラムの後ろ1秒以内のところに迫っていた。

 ところが6周目にヒックマンがエンジンブローに見舞われ、コース上に液体が撒かれた。これに乗ってしまったコルテセ、メルカド、リナルディ、デルビアンコ、清成らがターン11で立て続けに転倒してしまい、レースは8周目に赤旗中断となった。

 この赤旗をもって、スーパーポール・レースは終了。レースのリザルトには前周(7周目)の順位が適用されることになっているが、赤旗掲示後に2番手のサイクスがターン11でクラッシュしてしまった。規則上は、赤旗中断後はいかなるショートカットもすることなく5分以内にピットレーンへ戻らなければならないと定められており、自力でピットレーンへ戻れずマーシャルのバイクに乗って戻ったサイクスはリタイアとなった。

 そのため2番手以下の順位が繰り上がり、優勝がレイ、2位がラズガットリオグル、3位がハスラムとなり、カワサキ勢が表彰台を独占する結果に。転倒を喫したリナルディは隊列へ復帰したため、完走は11台となっている。

■SBK第8戦イギリス スーパーポール・レース順位結果(7周)※赤旗掲示により終了
Pos.No.RiderTeam/Machine11J.レイカワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR)254T.ラズガットリオグルターキッシュ・プセッティレーシング(カワサキZX-10RR)391L.ハスラムカワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR)419A.バウティスタAruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R)576L.バズテンケイト・レーシング(ヤマハYZF-R1)622A.ロウズパタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1)77C.デイビスAruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R)860M.ファン・デル・マークパタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1)981J.トーレスチーム・ペデルチーニ・レーシング(カワサキZX-10RR)1033M.メランドリGRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1)1121M.ルーベン・リナルディバーニーレーシングチーム(ドゥカティ パニガーレV4 R)RET66T.サイクスBMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR)RET10P.ヒックマンBMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR)RET11S.コルテセGRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1)RET36L.メルカドオレラック・レーシングVerdNatura(カワサキZX-10RR)RET52A.デルビアンコアルティア・ミエ・レーシングチーム(ホンダCBR1000RR)RET23清成龍一モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR)

■レース2:激しいトップ争いを制したレイが母国で3連勝を達成

 レース2はスーパーポール・レースの結果により、ポールポジションにレイ、2番手にラズガットリオグル、3番手にハスラムが並んだ。清成は14番手グリッドとなっている。

 気温20度、路面温度42度というドライコンディションで23周のレース2がスタート。ポールポジションのレイがホールショットを奪い、ラズガットリオグル、バウティスタ、ハスラム、チャズ・デイビス(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)というトップ5でオープニングラップを終えた。

 2番手のラズガットリオグルは序盤にファステストラップを記録し、3周目にはレイをパスしてトップに浮上した。ポジションを落としたレイは、ラズガットリオグルの背後につけたままオーバーテイクの機会を伺い、5周目にターン10でラズガットリオグルをイン側からパス。再びトップに立った。

 上位はトップから4番手のバウティスタまでがひとつの集団となり、コース上は各所でポジション争いが繰り広げられた。

 ラズガットリオグルとレイはサイド・バイ・サイドになりながらもトップ争いを続ける。8周目、ラズガットリオグルがターン10でレイを抜いて再びトップが入れ替わった。その後も両者はトップ争いを展開し、レースの折り返しとなる12周目、ターン9でミスをしたラズガットリオグルの隙をついてレイがトップに立った。

 その後ろでは、4番手のバウティスタがハスラムをパスして3番手に浮上。レース後半に入ると、このトップ集団に5番手のバズと6番手のロウズが追いついた。

 ロウズはバズを捉えて5番手に浮上すると、残り5周のところで4番手のハスラムを猛追し始めた。ロウズはハスラムのスリップストリームを利用して何度もオーバーテイクのチャンスを伺い、4番手をめぐる攻防が続いた。

 一方2番手のラズガットリオグルは、レース終盤まで1秒以内の差でレイについて行ったものの、結局レイを攻略することはできなかった。これでレイは母国レースで3連勝を達成し、ラズガットリオグルが2戦連続の2位に入賞。3位にはバウティスタが入賞したが、ランキングにおいてレイとバウティスタとの差は24ポイントに広がった。

 終盤まで続いた4番手争いを制したのはロウズで、ハスラムは5位でフィニッシュ。また清成は16位でレースを終えた。

 同日行われたスーパースポーツ世界選手権(WSS)第8戦では、4番手からスタートしたジュール・クルーゼル(GMT94 YAMAHA)が今シーズン2勝目を挙げた。クルーゼルは、ポールポジションからスタートしたフェデリコ・カリカスロ(BARDAHL Evan Bros. WorldSSP Team Y)を3周目にパスしてトップに浮上した。

 クルーゼルは終盤にカリカスロの猛追を受け、最終ラップではターン10でカリカスロが前を狙ったが逆転は叶わず、クルーゼルが優勝、カリカスロが2位となった。3位にはルーカス・マヒアス(Kawasaki Puccetti Racing)が入った。

 7番手からスタートした大久保光(Kawasaki Puccetti Racing)は、オープニングラップで5番手にポジションを上げるも、バイクの異変を感じ徐々にポジションを下げてしまう。苦しい展開のなか、最後に1台をパスして13位でレースを終えた。

 またスーパースポーツ世界選手権300(WSS300)の岡谷雄太(DS Junior Team)は、スーパーポールで総合19番手となり、決勝レースでは15位でフィニッシュした。

■SBK第8戦イギリス レース2順位結果(23周)
Pos.No.RiderTeam/MachineTime/Gap11J.レイカワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR)33'51.931254T.ラズガットリオグルターキッシュ・プセッティレーシング(カワサキZX-10RR)0.365319A.バウティスタAruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R)5.930422A.ロウズパタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1)6.334591L.ハスラムカワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR)6.833676L.バズテンケイト・レーシング(ヤマハYZF-R1)7.441766T.サイクスBMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR)8.542860M.ファン・デル・マークパタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1)14.85097C.デイビスAruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R)18.1241033M.メランドリGRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1)29.1151110P.ヒックマンBMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR)34.6201221M.ルーベン・リナルディバーニーレーシングチーム(ドゥカティ パニガーレV4 R)34.8241311S.コルテセGRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1)51.6271436L.メルカドオレラック・レーシングVerdNatura(カワサキZX-10RR)52.8791552A.デルビアンコアルティア・ミエ・レーシングチーム(ホンダCBR1000RR)54.8211623清成龍一モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR)1'07.330RET81J.トーレスチーム・ペデルチーニ・レーシング(カワサキZX-10RR)22Laps(リタイア)