MotoGP第9戦ドイツGPのMoto3クラス予選で、佐々木歩夢(Petronas Sprinta Racing)がポールポジションを獲得した。日本人ライダーがポールポジションから決勝レースを迎えるのは、2003年第2戦南アフリカGPでの宇井陽一以来16年ぶりのこと。2019年シーズン前半戦最後のグランプリで手にしたポールポジションに、佐々木は顔をほころばせた。
2019年シーズンの前半戦締めくくりとなるドイツGPのウイークを迎え、佐々木は初日から好調だった。フリー走行1回目では9番手、フリー走行2回目ではトップタイムをマーク。土曜日の午前中に行われた3回目のフリー走行では5番手につけ、予選Q2への進出を決めた。
「今週はずっと調子がよかったです」と、佐々木自身もここまでの流れに手ごたえを感じている様子だ。
「午前中(フリー走行3回目)はずっとひとりでラップを重ねて、1分27秒台でした。レースペースはすごくいいですね。フリー走行3回目では最後にニュータイヤを入れたのですが、ライダーが多いからクリアラップがとれませんでした。セクター3でコンマ6秒くらい遅れて、セクター4でみんなよりコンマ3秒速く走って5番手タイム。うまくまとめることができれば、ポールポジションをねらえると思っていました」
自身として初めてロードレース世界選手権Moto3で獲得したポールポジション。しかし、「ポールポジションを獲得できたのはすごくうれしいですが、レースは明日です」と、本人はいたって冷静だ。「ポール(ポジション)って、表彰台がないから、パルクフェルメに行っても『なんでここにいるんだろう』って気持ちになるんですよ」とも笑う。
表情には笑みを浮かべながら、佐々木は明日の決勝レースに向けた意気込みをこう表現する。
「今まで、自信が欠けていたところもあったんです。こうして自信を取り戻すことができて、予選もポールポジションで終われたので、自信を持つ、という意味では数年前のルーキーズカップ(レッドブルMotoGPルーキーズカップ)のときのように、『勝ってやるぞ』という気持ちではあります」
「このサーキットはコーナーが多いので、タイヤがたれてくるにつれて、どんどん集団の人数が少なくなってくるはずです。多くても8台くらいのトップ集団になるのでは、と思います」
「周りがユーズドタイヤでどのくらい速いかはわかりませんが、自分はハードタイヤでのレースペースがとてもいい」と自信を見せる佐々木は、最後の6周に勝負を見据えている。
「最初から前の方にいて、ラスト6周で周りがタイヤに苦しんでいるようなら、アタックしようと思っています」
取り戻した自信とともに、ポールポジションから決勝レースを迎える佐々木。Moto3クラスで自身初の優勝を飾り、表彰台の頂点でよろこびを爆発させる姿を期待したい。