前戦の第8戦オランダGPで激しい転倒を喫し、左足を痛めているなか第9戦ドイツGPに臨んだLCRホンダ・イデミツの中上貴晶。7月7日に行われた予選では、Q1から逆転でQ2へ進出し、10番手で終えたが、フリー走行4回目ではシフトダウンができないほどの痛みを抱えていた。
中上は1週間前のオランダGP決勝レース中、8コーナーでスリップダウンしたバレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)に巻き込まれて転倒し、グラベルに激しく体を打ち付けた。
レース後、中上はメディカルセンターへと運ばれたが、骨折などの大きな怪我はなかったという。しかし、左足首に痛みを感じている状態だったため、迎えたドイツGP初日のフリー走行では、その影響で思いどおりのライディングができず15番手で終えた。
予選日では、テーピングや痛み止めの処置しながら走行を行うものの、フリー走行3回目ではセッションが30分を過ぎたころから左足が激しい痛みに襲われ、力が入らず、ふんばれない状態となり、満足いく走行ができなかったという。結果、フリー走行3回目は13番手となり、予選をQ1からスタートすることになった。
予選前に行われたFP4では、動きを優先したテーピングを施し、痛み止めの注射をしてセッションに臨むが周回を重ねるごとにシフトダウンができない状態になった。
この時の状況を、中上は次のようにコメントする。
「朝起きたときは足の状態はそれほど悪くなかったのですが、FP3(フリー走行3回目)が始まり、30分過ぎた頃から、痛みがひどく、さらに力が入らならくなり、ふんばれない状態となりました。そのためFP4(フリー走行4回目)の前に痛み止めの注射を打ち、テーピングもさらにソフトにして挑みましたが、セッション途中に足が動かなくなり、シフトダウンができない状態になりました」
「一瞬ですが、今回はレースをするのは無理かなと思いましたが、テーピング外してみたら、なんとか走ることができたので、そのままQ1、Q2に挑みました」
■あきらめずに獲得した10番手に喜ぶ反面悔しさも
迎えた予選のQ1では、セッション終了間際にアタックを行い1分21秒102をマークして、アンドレア・ドビツィオーゾ(ミッション・ウィノウ・ドゥカティ)から2番手を奪取してQ2進出を果たす。この時のタイム差は1000分の3秒差だった。
Q2ではしばらくピットで待機してから出走し、1分21秒104を記録して10番手となり、4列目を獲得した。「正直、ここまで痛みを感じながら走ったのは初めての経験でした」と中上。
「Q1を走ったときはQ2に進出できるとは思いもしませんでしたが、チェッカーが振られるまで全力をつくしました。その結果、1000の3秒差でドビツィオーゾを交わし、Q1を2番手でQ2にいけたのはサプライズでした」
「チームもよろこんでくれました。そして、Q2で10番手になれたことも、うれしい出来事でした。反面、この状態で10番手なのだからと悔やまれます。昨日の課題だったリアのグリップも多少改善されたので、明日の決勝は完走目指して、最後まで全力を尽くします」
中上は7月7日の決勝レースに向けては、医師と相談し、痛み止めの注射と薬を服用して完走できる状態を模索するという。MotoGPクラスの決勝レースは7月7日の現地時間午後2時(日本時間の午後9時)からスタートする。