2019年07月05日 19:41 弁護士ドットコム
朝鮮学校を侮辱する街宣活動を学校の最寄り駅前で行うことについて、学校側から禁止する仮処分を申し立てられていた東京地裁は7月5日、「申し立ては相当」と認め、街宣活動などを禁じる仮処分を出した。
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同日、申立人の代理人を務めた李春熙弁護士らが東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、明らかにした。李弁護士は「この種の排外主義的なスピーチで仮処分が出たのは、4例目」と指摘。最寄り駅前での行為を禁じた裁判所の判断は、注目すべきポイントだという。
代理人によると、朝鮮学校は、東京都北区にある「東京朝鮮中高級学校」(学校法人東京朝鮮学園)。仮処分を出されたのは「朝鮮総連本部をさら地にする会」の代表代行の個人。
学校の最寄り駅であるJR十条駅前で複数回、大声で街宣活動をされ、生徒に危害が及ぶ恐れから、下校ルートを変更するなどの対応を取らざるを得なかったとしている。
学校側は4月頃から、街宣活動が十条駅前で不定期に行われていることを認識。6月15日に校内で開催される文化祭「アンニョンハセヨ2019」と同じ日に、街宣活動が計画されていたことから弁護士に相談し、仮処分の申し立てをしていた。
東京地裁は仮処分決定で、具体的に禁止する行為として、以下の3点を列挙した。
(1)東京朝鮮中高級学校の正門を基点に、半径500メートルの範囲内(JR十条駅を含む)で拡声器を使ったり大声を上げたりして、学校側を非難・誹謗中傷する演説やシュプレヒコールをすること
(2)上記の範囲内で、学校側を非難・誹謗中傷する内容のビラを配布すること
(3)上記の範囲内で、学校側を非難・誹謗中傷する内容の文言を記したプラカードや旗を掲げて立ち止まったり、徘徊したりすること
そのうえで「学校側の名誉を毀損し、または侮辱するなど、学校の業務を妨害する一切の行為をしてはならず、第三者にこうした行為もさせてはならない」と命じた。
会見に同席した学校の教諭は「仮処分決定が出てホッとしている」と話した。
教諭によると、街宣活動に感化された一般の中年男性が、通学中の同校の女子生徒が日本語で会話していなかったことに目くじらを立て、「ここは日本なんだから、日本語でしゃべれ」と威圧的に迫ってきたこともあったという。
李弁護士は「生徒を威圧し恐怖を与えて、学校の業務を妨害することは許さない」。今後、本訴に移行するかどうかは未定とした。