F1オーストリアGPでメルセデスは精彩を欠き、2019年最低の成績に終わった。トラックサイドエンジニアリングディレクター、アンドリュー・ショブリンは、今季型W10の基本的なデザインにより冷却能力が不足していることにその原因があると明かした。
2019年に8連勝を果たしてきたメルセデスだが、第9戦オーストリアでバルテリ・ボッタスは3位、ルイス・ハミルトンは5位に終わり、今季初の敗北を喫した。
レース後にチームが発表したインタビューのなかで、ショブリンはW10の冷却システムがパフォーマンス不足で、気温が高いと十分な効果を発揮しないと語った。チーム代表トト・ウォルフは、今季のメルセデスにとって冷却問題が“アキレス腱”であると認めている。
「このマシンのラジエターには十分な大きさがない。冷却システムのパフォーマンスに関して我々は当初、楽観的に考えていた」とショブリンは言う。
「しかし自分たちが考えていたほどの性能を発揮していない。そのため、今後、気温の高いレースではさまざまな部分の冷却に苦労するだろう。特に、パワーユニットにダメージを与えないよう、十分に冷やすことは簡単ではない」
「ボディワークの開口部によってある程度冷却することができる。オーストリアでは気温が35度に上り、開口部の拡大によって、ぎりぎり対処できる状況だった」
「限界だったのだ。そこまでいくと、やれることは限られてくる」
パワーユニットのオーバーヒートを防ぐため、ボッタスとハミルトンは1周あたり400メートル、つまりコース全長の約10パーセントでリフト&コーストを行わなければならなかった。
「そのために本来のパフォーマンスを発揮できなかった」とショブリン。
「エンジンの出力を抑えることも対処のひとつだ。そうすれば発生する熱を抑制することができる。だが、パワーを発揮しなければストレートで遅くなる。オーストリアではそういった、かなり制限された状況だった」
メルセデスの冷却の問題はW10の基本的な設計にかかわるものではあるが、チームはこの問題に対処するための策を探っているという。
「マシンの基本設計に関わる問題だ。きわめてタイトなパッケージングを実現するために限界まで攻めた結果、全体的に冷却に関する能力不足という問題を抱えることになった」とショブリンは語った。
「この状況を改善するため、オーストリア前からシステムの問題に関して取り組んできたし、今も取り組んでいる」