F1第9戦オーストリアGPで今季初優勝を飾ったマックス・フェルスタッペン。ホンダF1にとっては2006年以来の優勝となった。
レース終盤に発生したシャルル・ルクレール(フェラーリ)との接触で審議対象となったものの、レーシングインシデントとして裁定されペナルティが科されないことが決定。優勝の確定後、レッドブルF1代表のクリスチャン・ホーナーにインタビューを行った。
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――すごいレースでした。
レッドブル代表クリスチャン・ホーナー(以下、ホーナー代表):1週間で、こんなに立場が変わるなんて……。1週間前のフランスGPではマックス(フェルスタッペン)はスタート直後に素晴らしいオープニングラップを披露したが、今回はそうならなかった。
スタートでアンチストールを作動させて、失速してしまったのだ。一旦はチームメイトの後ろ、8番手まで落ちてしまったけれど、すぐにポジションを7番手にした。しかし、その段階でわれわれは『今日のレースは4番手、うまくいっても3番手までしか挽回はできないだろう』と考えていた。
しかも、スタート直後のラップで、マックスはブレーキをロークさせて、タイヤにバイブレーションを抱えていたので、なかなかペースを上げることができなかった。
――31周目にピットインしてタイヤを交換してからはペースが回復しましたね。
ホーナー代表:マックスのタイヤは、その時点で前を走る3台のマシン(シャルル・ルクレール、バルテリ・ボッタス、セバスチャン・ベッテル)より8周~10周新しかったので、われわれは攻撃を開始した。
すでに(ルイス)ハミルトンを引き離し、セバスチャンを捕え始めたあたりから、表彰台は取り戻せるだろうと感じ始めていた。フェラーリはここでもストレートでかなり速かったが、われわれはターン1と3でずっと速かったから、マックスはターン3の立ち上がりの加速を生かして、直後のストレート区間でDRSを使ってパスした。
――ここからが圧巻でした。
ホーナー代表:マックスはボッタスに追いつき始めただけでなく、レースのファステストラップもマークし始めるほどのペースで、レースを支配するようになった。
56周目にボッタスをオーバーテイクした後、われわれは「ひょっとすると残り10周でいけるかもしれない」と思い始めた。なぜなら、マックスのペースは、シャルルよりもずっと良かったからね。
――そして、ルクレールもオーバーテイクしました。
ホーナー代表:1回目のオーバーテイクでは、一旦はシャルルの前に出たけど、立ち上がりでシャルルのほうがトラクションのかかりが良く、抜き返されてしまった。それでも、その次の周に同じターン3で再びオーバーテイクを試みて、今度は軽い接触はあったものの、成功させた。
――しかし、レーススチュワードは審議の対象としました。
ホーナー代表:われわれはあのマックスのオーバーテイクは問題ないと確信していたが、スチュワードによって審議されることになり、どうなるかわからなかった。
最終的に、私はトム・クリステンセンを含むスチュワードが絶対に正しい選択をしたと思う。もちろん、世の中にはこの裁定に納得いかない人もいるだろう。でも今日のバトルはフェアだったし、これがF1のあるべき姿だと思うような素晴らしいレースだった。
――あのオーバーテイクをどう見ますか。
ホーナー代表:マックスのほうが先にエイペックスに辿り着いていた。その時点で、彼の勝ちだ。もう一方のドライバーは、後ろに下がるか、クロスラインを取ることしかできない。そうでなければ、その時点でシャルルはお手上げ、チェックメイトだ。それが、スチュワードが(レーシングアクシデントと)判断に至った理由だろう。
――どうして、オーストリアGPでレッドブル・ホンダは突然速くなったのでしょうか。
ホーナー代表:レース後半のマックスの走りは、まるで火がついたようだった。マシンは本当に速かった。でも正直、我々はなぜ速かったのか、自分たちでも完全には理解できていないんだ。
もちろん、ここ数戦でグランプリに持ち込んだアップデートパーツが良い方向に進み、とても上手く機能し始めたことがその理由のひとつだと思うが……。
――ホンダにとっては、2006年以来の優勝です。
ホーナー代表:ホンダがF1に戻ってきたから数年間、彼らマクラーレンと非常に厳しい時期を過ごした。その後、彼らはマクラーレンとの関係を解消してトロロッソとパートナーを組んだ。あの1年間で彼らは確実に前進した。
われわれレッドブルはそれを見ていたし、それがパワーユニットをホンダに変更する理由にもなった。その後はパートナーとして、間近でホンダを見てきているが、彼らは目標を達成しようとする強い意志を持っているだけでなく、パートナーに対して本当に献身的だった。
だから、今日の表彰式でわれわれコンストラクターの代表として優勝トロフィーを受け取るのは、タナベさん(ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクター)しかいないと思った。今日の勝利は、ホンダの努力があったからこそ。日本を代表してホンダがコンストラクターズトロフィーーを受け取るのを見たときは、最高の瞬間だった。
――オーストリアでホンダと会談を行いましたね。
ホーナー代表:オーストリアGPの週末、ホンダから副社長をはじめ取締役が訪れており、何度か会談を行なった。彼らの前で復帰後、初優勝を成し遂げられ、本当に良かった。もし、パワーユニットに関するレギュレーションが大きく変更されずに安定していけば、今日の結果はホンダが長期的にF1活動を行ううえでの助けになることは間違いだろう。