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工事の現場監督が自死…労災認定、3カ月連続で残業100時間超 遺族「息子と食卓をもう囲めない」

2019年07月03日 18:02  弁護士ドットコム

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地盤改良工事などを手がける「ライト工業」(東京都千代田区)の建設現場で、現場監督をしていた男性社員(当時30)が2017年11月に自死したのは、長時間労働が原因だったなどとして、向島労働基準監督署が労災認定していたことがわかった。6月17日付。


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自死直前の時間外労働は、3カ月連続で100時間を超えていたと認定された。遺族の代理人弁護士が7月3日、東京・霞が関の厚生労働省で会見し明らかにした。



●現場をかけもち、精神的な負担大

代理人弁護士によると、男性は2015年4月に入社。研修が終わったのち、山梨・千葉・神奈川・埼玉など各県で主に土木工事の監督業務をおこなっていた。長時間労働・深夜労働などを苦に、2017年11月13日ごろ、ライト工業の寮内(江戸川区)で自死したという。



同時に2、3の現場をかけもちしたり、緊急で別の現場に夜間に呼び出されたりしたこともあった。さらに、現場監督をしながら、予算計画の立案や資材・機械の手配、利益率の計算・管理などもしており、通常の現場監督より業務量は多かったとしている。



●「息子は自慢の子だった」

向島労基署は、男性が死亡する直前に精神疾患を発症していたことを認定。時間外労働時間は、発症直前の1カ月が約101時間、2カ月が約113時間、3カ月が約103時間だったと認めた。残業代の不払いも、1日あたり5000円ほどあったとした。



男性の父(50代)は会見で言葉をつまらせながら、「息子は自慢の子だった。私たちと食卓を囲むことはもうできない。穏やかな表情や笑顔ばかりの息子がいま、私たちの傍にいないという現実を、まだ受け止められずにいます」と述べ、ライト工業に対し、すみやかな誠意ある対応や深い反省を求めた。



代理人の川人博弁護士は「単なる労災ではなく人災であり、会社側の責任を明確にする必要がある」と指摘。今後はライト工業に対し、損害賠償を求めていく考えを示した。



ライト工業からのコメントは7月3日午後5時半時点で、得られていない。