ラリー&ラリークロス界だけでなく、各ジャンルから豪華ドライバー陣が揃った『TitansRX(タイタンRXラリークロス・シリーズ)』 6月最後の週末に記念すべきシリーズ創設初戦を迎えた新ラリークロス・シリーズ、『TitansRXタイタンRXラリークロス・シリーズ』は、フランス・エセで土日2ラウンドが開催され、初代勝者の称号はトーマス“トピ”ヘイキネンが獲得した。続く日曜のヒート2はティミー・ハンセンが制している。
タイタンRXインターナショナル・ヨーロッパ・シリーズは、かつて北米で開催されていたGRCレッドブル・グローバル・ラリークロスの主催団体がリブランドした新たなラリークロス選手権として創設され、ユーロスポーツもバックアップするもの。
初年度はこのフランス北西部エセを皮切りとして、イギリス、ポルトガル、オーストリア、ハンガリー、ドイツの全6戦のカレンダーが予定されている。
シリーズのエントリーリストにはすでに多くのビッグネームが顔を揃え、GRC王者でWorldRX世界ラリークロス選手権への参戦経験も持つトーマス“トピ”ヘイキネンを筆頭に、WorldRXレギュラーのティミー&ケビンのハンセン兄弟、そしてWRC世界ラリー選手権ドライバーのヘイデン・パッドンやクレイグ・ブリーンに、ステファン・サラザン、ERCヨーロッパ・ラリー選手権レディス・トロフィー覇者のタマラ・モリナーロや、2013年BTCC王者で2019年もBMW330i Mスポーツでタイトル争いを展開するアンドリュー・ジョーダンら、そうそうたるメンバーが名を連ねている。
また、2019年も母国ブラジルのSCBストックカー・ブラジルにフル参戦するネルソン・ピケJr.も参戦し、カレンダー・バッティングのあるラウンドでは、すでにワイルドカード枠として登録されている元F1ドライバーのアレックス・ブルツとマシンをシェアしてシリーズを戦う予定となっている。
このタイタンRXで使用されるマシンは、オーストリアの名門ラリークロス・コンストラクター、MJPレーシングが製作したワンメイクフレームの『パンテーラRX6』を使用し、537PS/750Nmを発生するピポ・モチュールがチューンしたフォード製2.3リッター・エコブーストを搭載。アウディA1やフォード・フォーカス、ヒュンダイi30、メルセデス・ベンツAクラスやプジョー308などCセグメントモデルのボディが架装されている。
掲げられたシリーズコンセプトは“BE LOUD, BE WILD, BE REAL(大胆に、ワイルドに、リアルに)”と明快で、シリーズ創設者でMJPレーシング・チーム・オーストリア代表でもあるマックス・プッシャーは、「従来のRXスーパーカーに代わる費用対効果の高いシングルメイクのマシンを使用」することで「よりワイルドで迫力あるサウンドとアクションを提供する」ことが狙いだと説明。自動車市場の動向に従い、電動化に舵を切るモータースポーツの潮流に異議を唱えるものとなっている。
前週に開催されたテストセッションを経て、いよいよ幕を開けた新シリーズ初戦では、やはり経験豊富なラリークロス界のスタードライバーが躍進。
■WRCドライバー、クレイグ・ブリーンがいきなり速さをみせるも……
第2戦となる地元イギリス戦から参戦のアンドリュー・ジョーダンを除き、12名が集ったプラクティスセッションから、パッドン、ピケJr.らが上位に進出する奮闘を見せる。
しかし予選ヒートが始まるとヘイキネン、ハンセンらがトップタイムを奪い合う展開となり、セミファイナル1をヘイキネンが、セミファイナル2をWorldRXでGCKルノーをドライブしたジェローム・グロセット-ヤニンが制した。
迎えた7周のファイナルでは、元EuroRXヨーロッパ・ラリークロス選手権やフランス国内戦の舞台でもあるエセのトラックを知り尽くすケビン・ハンセンが、スタートでグロセット-ヤニンを捉えて早々に2番手へ浮上。これで3番手に転落したヤニンは4番手パッドンを抑え込む防戦一方のレース展開に。
一方、首位攻防に持ち込みたかったケビン・ハンセンだが、元GRC王者のドライビングには隙がなく、そのままトップチェッカー。ヘイキネンが記念すべき初代タイタンRX勝者の称号を手にした。
「すべてがうまくいったね。マックス(・プッシャー)と契約してWorldRXを走り始めた頃から、この(シリーズの)プロジェクトこそ焦点だった。タイタンの初代勝者になれたのは光栄だ。このシリーズにはスポッターがいないし、ミラーに黄色いマシン(ケビン・ハンセン)が見えたけど、とにかくブッち切ることだけを考えたよ」と、喜びを語ったトピ・ヘイキネン。
35度近い猛暑からわずかに気温の下がった日曜は、土曜にベルギーでイプルー・ラリーに参戦し勝利を飾ったクレイグ・ブリーンが、夜通しの移動でフランス・エセのトラックに登場。ティミー・ハンセンと並んでセミファイナルを制して、いきなりファイナルでのフロントロウを確保してみせる。
その日曜ラウンド2のファイナルは、4番グリッド発進のケビン・ハンセンが2コーナーでコースオフし、グラスエリアをショートカット。すぐさま隊列に復帰したケビンはブリーンとサイド・バイ・サイドのバトルになるも、このシリーズ独自の“ペナルティ・ジョーカーラップ”を宣告され、その消化で一時後退。
しかしすぐさま2番手のポジションを取り戻すと、兄のティミーを追う展開に持ち込んでいく。一方のブリーンは終盤まで3番手を守るも、最後にヘイキネンにかわされ表彰台圏内から脱落。さらにレース後には2件のペナルティが課され6位後退と、ホロ苦いデビュー戦となった。
鳴り物入りで幕を開けた『タイタンRXインターナショナル・ヨーロッパ・シリーズ』。初年度シーズン第2戦は7月27~28日の週末に、イングランドにおけるラリークロスの聖地リデンヒルを舞台に争われる。