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清原果耶が北海道で確かに感じた広瀬すずの存在 『なつぞら』柴田家のあたたかさ

2019年07月03日 12:21  リアルサウンド

リアルサウンド

『なつぞら』(写真提供=NHK)

 なつ(広瀬すず)と千遥(清原果耶)が電話越しに、互いに涙ながら13年ぶりに言葉を交わす。二人はいよいよ、感動の再会へと向かうのだ。


 『なつぞら』(NHK)第81話では、なつの十勝の家族である柴田家が、千遥を温かくもてなした。そして泰樹(草刈正雄)が彼女に、搾乳を教える様子が描かれた。


【参考】清原果耶が明かす、千遥登場までの裏側


 表情が少々硬いのが印象的だった千遥だが、なつの母である富士子(松嶋菜々子)の手料理によって、小さな笑顔を見せる。食卓に並ぶのは、すべてなつの好物だ。彼女が相好を崩したのは、この「味」に対してももちろんだろうが、やはりこの、優しさが溢れる柴田家の団らんの「場」に対してというのが大きいのではないだろうか。なつが柴田家にやってきた時とは違う。当然、時代もそうだが、やはりこの空間の居心地の良さは、なつが作ったものではないかと改めて感じた。


 千遥の「姉はこんなに恵まれて育ったんですね」とは強くに印象に残るセリフである。私たち視聴者は、幼い頃からのなつの成長をずっと眺めてきたが、千遥のこれまでの空白の13年間は誰も知らない。


 この柴田家の人々の愉快なやり取りを見ていた千遥は、ふいに自分のこれまでのことを語りだす。彼女は「置屋」に拾われ、そこで生活していたらしい。彼女の一挙一動を見ていると、厳しくしつけられたことがうかがえるだろう。演じる清原も、所作一つで見事にそれを表現しているのだ。


 そして翌朝千遥は、泰樹らとともに、牛の搾乳に挑戦することになった。自慢の牛舎に初めて足を踏み入れた素人に、いきなり搾乳をさせるというのは、泰樹の千遥に対する歓待の気持ちの、何よりもの証拠だろう。だが、そうそう簡単には乳は出ない。そこで泰樹は、かつてなつに教えたように、「数を数えるように、上から指を折るようにして搾るんだ」とアドバイス。指示に従った千遥は、初めての搾乳を成功させ、大きな笑顔を咲かせる。なんとも心が温かくなる場面だった。


 やがて、話を聞きつけた信哉(工藤阿須加)がやってきて、職業柄なのか、感動したからなのか、つい千遥のことを手持ちのカメラでパシャリ。二人は再会を喜ぶが、千遥は信哉が撮った自分の写真に対して「誰にも見せないで」と拒絶反応を示す。写真が嫌いなだけだというが、何か大きなワケがありそうである。


(折田侑駿)