40歳を過ぎた独身の人に「おかしい」なんてわざわざ言う必要があるだろうか。はてな匿名ダイアリーに7月1日、「実際40過ぎで結婚してない人はおかしいよね」とのタイトルでエントリーがあり物議を醸した。
発端は6月末、大阪のIT企業クローバーフィールドが、ツイッターで「いつまでも独身の人は信用しない」「既婚でも子どもがいるかどうかで信用度は異なるということなんです」などと投稿、炎上したことだ。匿名ダイアリーの投稿者はこれに同調し、30過ぎや35過ぎならまだ理解できるが、「40過ぎて結婚してないやつは大抵何かおかしい」と断言。
「ライフステージが新卒から何も変わらず、安い会社の寮かワンルームでダラダラと生きてる」
「要は幼稚なんだよ」
「40過ぎて結婚してないやつは一緒に仕事したくない」
などと突き放した。炎上した企業が既婚者を優遇するとしたことは「正しい」と肯定している。(文:okei)
「結婚して子供つくって虐待するような毒親も無数にいる」
これにブックマークは500近く付き、批判が殺到した。「結婚している人もこんな風におかしいんだけどね」「誇れるものが既婚であることしか無いのかな」といった皮肉のほか、「結婚していれば責任感があり大人」という考え方がおかしいとするツッコミもおびただしい。
自分の父親がアルコールとギャンブル中毒で仕事もしていなかったので、「既婚者が幼稚じゃない?まったく因果関係がない話っすわ」という声も。ほかに、「結婚して子供つくって虐待するような毒親も無数にいるので」と切り込む人もいた。
既婚・未婚に関わらず、「おかしい人」はいるけれど、結婚していると「何割か増しでまともに見える」との分析もあり、既婚子ありの筆者も納得だ。コメントには、少数だが「傾向としては同意かな」という声もあり、「仕事もできて一定の稼ぎがある人間は30前後で結婚している」と指摘している。確かに「家族を背負っている」という事実には、一定の信用を得られる部分はあるだろう。
40代の未婚率は男性30%、女性19.3%、1980年の6~8倍
ただ、日本は未婚率がどんどん上がっているので、「甘えで結婚しない、子どもを作らない」とは言い切れない社会構造があるだろう。
国立社会保障・人口問題研究所の「年齢別の未婚率」(2015年)を見ると、男性40代前半は30%、後半は25.9%となっている。1980年は男性40代前半が4.7%、後半が3.1%だったので、6~8倍以上に増加している。女性の40代前半は19.3%、後半は16.1%だ。
今の40代はちょうど氷河期世代にあたる。バブル崩壊後の不況の煽りを受け、新卒時から非正規雇用に甘んじている人も少なくない。結婚したくても出来ない人もいるだろう。「子どもを産まない女性はわがまま」など、安心して産める社会環境にしていないのに当人の身勝手と決めつける政治家と視野の狭さが似ており、批判を受けるのも無理はない。
はてなのコメントには、「40過ぎて他人にはそれぞれの価値観があるということがわからないやつは一緒に仕事したくない」との声もあり、筆者も同感だ。他人の人生を勝手にジャッジして公言するのは、それこそおかしいことだと思う。