フェラーリのチーム代表であるマッティア・ビノットは、2018年仕様のタイヤの復活を大多数のチームが却下したことで、“競争の場を公平にする”願ってもないチャンスが失われたと考えている。
一部のチームが2019年仕様のより薄いトレッドのピレリタイヤの扱いに苦戦し、慢性的な問題に直面している。その状況を緩和する対処法として、最近になってタイヤの仕様変更が話し合いの議題に上げられた。
そして先週末に開催された第9戦オーストリアGPの金曜日の朝に、今シーズン中のタイヤの仕様変更に関して投票が行われた。
レッドブル・ホンダ、姉妹チームのトロロッソ・ホンダ、またフェラーリや、フェラーリ製パワーユニットを使用するハースとアルファロメオは仕様変更に投票したが、メルセデス、マクラーレン、ウイリアムズ、ルノー、レーシングポイントは反対票を投じた。
日曜日のレッドブルリンクではスリル満点のレース展開が見られたが、通常は優位な立場にあるメルセデスがエンジン温度の高さに苦戦してパフォーマンスを落としていた。このレースを鑑みてビノットは、優れたパフォーマンスを発揮するチームの力が均衡することで、接戦が生まれるという良い例になったと述べた。
「間違いなく素晴らしいバトルだった。通常は、強すぎるマシンがなければ、良い戦いが生まれるものだ」とビノットは語った。
「その点で、この週末は素晴らしいものだった。だがタイヤに関する決断については、我々は大きなチャンスを失ったと思う」
「F1全体について、我々は何かをなすべきだと考えている。我々は議論をすることはあるが、行動に移していない」
「タイヤの仕様を変更しないことについては、今も当惑している。これは競争の場をなんらかの形で公平にする素晴らしいチャンスだったのだ」
メルセデスに優位性があり、ライバル勢よりもタイヤから性能を引き出す能力を持っていることが、チームが2018年仕様のタイヤの復活に賛成票を投じなかった理由であることは言うまでもない。
しかしながら、2020年には変更が検討される可能性もある。またピレリは、今シーズン主にフェラーリとハースに影響を与えているタイヤ温度の問題を解決するために、2020年シーズンにタイヤの作動温度領域を広げることを検討するとも表明している。