生前の愛猫シナバン(左)とシナバンそっくりのクローン猫(画像は『New York Post 2019年6月27日付「North Carolina couple paid $25K to clone their beloved pet cat」(Bryan Bullerdick/SWNS.COM)』のスクリーンショット) 愛するペットと永遠に一緒にいたい―そんな願いを叶えるために、アメリカのある夫婦が愛猫のクローンを家族に迎えた。決して安いとはいえない金額を投じて亡くなった猫のクローンを得た夫婦は、現在幸せを感じているという。『New York Post』などが伝えている。
米ノースカロライナ州シャーロットに住むブライアン・ブラーディックさん(43歳)と妻のアシュレイさんは1999年に結婚し、その頃からシナバン(Cinnabun)とジンジャー(Ginger)という2匹の猫と生活をともにしてきた。夫妻の子供達も2匹と一緒に成長し、家族にとってシナバンとジンジャーはかけがえの無い存在だった。
ヒマラヤン猫のジンジャーは7歳で亡くなってしまったが、ブライアンさんは購入したブリーダーをたよりにジンジャーの父猫を捜し出し、その血統の子猫を2,000ドル(約215,000円)で購入して迎え入れた。夫妻はジンジャーを愛するあまり、最も近い血統ということにこだわったのだろう。
しかし夫妻はシナバンが19歳を迎えた頃、シナバンの死後はジンジャーの時と同じように親を見つけることができないことを心配した。なぜならシナバンは動物保護施設「ヒューメイン・ソサエティ」から譲渡された猫だったからだ。
そんな時ブライアンさんは、セレブや著名人がペットのクローンをつくらせたという記事を目にした。「その記事を見るまでペットのクローン化が可能だとは知りませんでした」とブライアンはのちに明かしている。
そして妻のアシュレイさんに、シナバンのクローンをつくることについて相談した。アシュレイさんは反対することなく「むしろ私が考えなければならないものが、それだったのです」と快くブライアンさんに同意したそうだ。
2018年8月、ブライアンさんは1,600ドル(約172,000円)のDNAキットをクローンメーカー会社「ViaGen Pets」から購入し、シナバンのDNAを収集するために皮膚片のサンプルを送った。同社は17年間にわたり馬や家畜のクローンを作成しており、3年半ほど前から猫や犬のクローンもつくり始めている。
シナバンのクローンをつくる手続きを済ませた後は迎え入れるのを待つのみだったが、残念なことにシナバンは自分のクローン猫と対面する前の昨年10月30日に息を引き取ってしまった。大事な家族を失い悲しみに暮れた夫妻だったが、クローンをつくり始めていたことで多少は心が救われたという。
そしてシナバンのクローンは今年の2月4日に代理母猫から生まれ、4月3日にブライアンさん一家のもとにやって来た。夫妻は、身体の模様から性格までシナバンとそっくりなクローン猫に大喜びしたという。ブライアンさんはそんなクローン猫について、次のように語った。
「迎え入れた猫は亡くなったシナバンとまったく同じ場所で寝るんですよ。他の猫がそこに寝ることはありません。私か、もしくは妻の枕で頭の横に寄り添って寝るのが好きなんです。あとはキッチンの特定のスツールの上で寝るのが好きなところも一緒なんです。」
ちなみにクローンの子猫には「ブンブン」という名前をつける予定だったが、あまりにも亡きシナバンとそっくりだったために名前も同じ「シナバン」になったという。このたび夫妻は25,000ドル(約270万円)を「ViaGen Pets」に投じているが、同社では最近になって価格改定し、犬のクローンは50,000ドル(約540万円)、猫は35,000ドル(約378万円)の費用がかかるそうだ。
ブライアンさんは「それは大金ですが、同じくらいの額をバケーションに使う人だっています。私達の猫はこれからの20年間をともに暮らしたいと思えるほど、特別な猫なのです。スポーツカーを買う人もいれば家を買う人もいますが、私達は全ての猫をクローン化するわけではありません」と述べている。
夫妻は今回の決断について後悔はしておらず、再びシナバンと一緒に生活できることに喜びを感じていた。
画像は『New York Post 2019年6月27日付「North Carolina couple paid $25K to clone their beloved pet cat」(Bryan Bullerdick/SWNS.COM)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)