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ホンダF1田辺TD優勝インタビュー(1):チームのホームで限界まで引き出したエンジン性能。「レース中に確認したうえで『まだ行ける』と伝えました」

2019年07月01日 07:11  AUTOSPORT web

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2019年F1第9戦オーストリアGP 嬉しそうに優勝シャンパンを持つホンダ田辺豊治F1テクニカルディレクター
F1第9戦オーストリアGPでレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが今季初優勝、ホンダとしては2006年のハンガリーGP以来、13年ぶりのF1優勝となり、フェルスタッペンとともに表彰台へ上がったホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターに優勝後のインタビューを行った。

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――まだ審議中ですが、復帰後、初優勝しました(※会見は審議結果前に開始。この後シャルル・ルクレールとの接触は、レーシングインシデントとしてペナルティが科されないことが正式に決定した)
田辺豊治F1テクニカルディレクター(以下、田辺TD):これまでF1に参戦してきて、いろいろ経験して、少し時間がかかりましたが、ようやく最初の一歩を踏み出せたかなと思っています。いつも申し上げているように、このスポーツは(車体・パワーユニット。ドライバーの)パッケージで戦っていて、今日はマックス選手が力強い走りをしてくれました。

 また、われわれの車体とパワーユニット(PU/エンジン)もこのサーキットでは競争力があったと思っていますが、次戦以降はまた違うコースになるので、さらに競争力を上げて、今日のような戦いができるよう、ホンダとしてはPU性能を上げたいと思います。

――(2番グリッドスタートのフェルスタッペンは)スタートで大きく出遅れました。
田辺TD:スタート出遅れの原因はわかっていませんが、(グリップ力にトルクが)負けて失速していたという感じです。いままでのレース展開を考えると、正直、今日はもう厳しいかなと思っていました。

――メルセデスとフェラーリの今日のペースをどう分析していますか。
田辺TD:これまでのレースに比べて、彼らのペースが違っていたことはたしかですが、その原因はわかりません。これから解析していきますが、そこにレースで彼らと同等に戦うヒントがあるかもしれません。

――メルセデスは冷却が厳しかったと言っています。
田辺TD:われわれも厳しかったです。特に前にクルマがいる状況では。

――それでも、今日はフェルスタッペンが何度もオーバーテイクしていました。
田辺TD:(他社はわかりませんが、)ホンダとしてはできるだけPUが冷えるようにして走っていました。

■レース中に発生した突然のセンサー異常
――後半50周を過ぎたあたりで、「フェイル3にしろ」という指示をフェルスタッペンに無線で出しましたが、何があったのでしょうか。
田辺TD:センサーが壊れてしまいました。そのため、一瞬パワーユニットを守ろうとして、パワーが落ちたのですが、PU自体に問題がないことが確認できたので、それをデフォルト(初期)の設定にするよう指示してからはパワーはすぐに戻りました。そのときは、ドキッとしました。

――ボッタスを抜いた後、「エンジンモード11にしろ」という指示もありました。
田辺TD:パフォーマンスを上げるモードを伝えました。元々このグランプリはチームのホームレースということもあり、行けるところまでエンジンを使おうとチームと合意していたので、レース中にエンジンの状況を確認したうえで『まだ行ける』と伝えました。

 ルクレールとの差が4秒を切ったあたりからは、もう行くしかないと。あれだけ前車に接近すると冷却的に厳しいのですが、今日のマックス選手は後ろについたら、すぐに抜いていたことも冷却に苦しまなかった要因になっていたのかもしれません。


※田辺豊治F1テクニカルディレクター優勝インタビュー(2)に続く