2019年のスーパーGTは6月30日、タイ・ブリーラムのチャン・インターナショナル・サーキットで第4戦決勝が行われ、スーパーGT GT300クラスではファイナルラップに逆転したGAINER TANAX triple a GT-Rが優勝を飾った。
HOPPY 86 MCのコースレコード更新によるポールポジション獲得となったGT300の予選。一夜明けた決勝日のタイ・ブリーラムは早朝こそ雲が多い天候だったものの、レース開始時刻の15時(日本時間17時)が近づくにつれて雲も少なくなり気温も上昇。レース開始時点で気温32度、路面温度48度まで上昇した。
66周の決勝は、セーフティカー先導のフォーメーションラップを経てスタート。GT300はポールシッターのHOPPY 86を先頭に1コーナーをクリアしていく。
しかし、3コーナーまでのストレート区間で、パワーで勝るFIA-GT3カーのリアライズ 日産自動車大学校 GT-RがHOPPY 86をなんなく交わしてトップに浮上する。
首位に上がったリアライズGT-Rは4周を消化した時点で、2番手HOPPY 86に対し3.956秒のリードを築いて早くも独走体勢を築き始める。一方、3番手スタートのD’station Vantage GT3はリアライズGT-Rに6秒差と、やや離されてしまう。
首位を快走するリアライズGT-Rのサッシャ・フェネストラズは1分34秒前半のタイムで周回を重ねて、さらにリードを拡大。10周終了時点で2番手に対するリードを6.481秒まで広げてみせる。
2番手を走っていたHOPPY 86には、ペースを上げてきた3番手のD’station Vantageが迫ると、11周目には約1秒差、翌周にはテール・トゥ・ノーズの状態に持ち込まれてしまう。さらに、その後方からはGAINER TANAX triple a GT-Rも迫り、2位争いは三つどもえの様相を呈していった。
D’station Vantageをドライブするジョアオ・パオロ・デ・オリベイラは、数周に渡り、3コーナーのヘアピンでHOPPY 86佐藤公威のインをうかがったがオーバーテイクには届かない。
そして16周目、オリベイラは3コーナー立ち上がりで佐藤のインを狙うと、左カーブの4コーナー飛び込みで交わし、クラス2番手にポジションを上げた。
D’station Vantageに交わされたHOPPY 86は、直後にGAINER TANAX triple a GT-R、GAINER TANAX GT-Rと2台のGT-Rに先行を許し、5番手まで後退している。
また、このタイミングで6番手を走っていたLEON PYRAMID AMGがピットイン。タイヤ二輪を交換してピットアウトしている。
上位陣では4番手のGAINER TANAX GT-Rが22周目、3番手のGAINER TANAX triple a GT-Rが24周目に相次いでピットに向かい、ドライバー交代を実施。これで暫定3番手まで浮上したHOPPY 86も27周目終わりでピットインすると、暫定14番手でコースへ復帰している。
■セーフティカー導入で消えたギャップ。終盤はGT-R同士の一騎打ちに
トップを走るリアライズGT-Rは29周目にピットイン。タイヤ交換とドライバー交代を39.6秒で済ませると、ピットを終えた車両の先頭でコースへ戻った。
34周目、暫定トップだったD’station Vantageがピットへ向かうと左側二輪のタイヤ交換を実施。藤井誠暢にドライバーを替えてピットアウトしていった。
すると、その直後、7コーナーでGT500クラスのARTA NSX-GTが他車との接触からストップしたため、GT500の周回で37周目、GT300の周回で35周目にセーフティカーが導入され、レースは一度リセットされることに。
この時点でのトップはまだピットインしていなかったグッドスマイル 初音ミク AMG。2番手にシンティアム・アップル・ロータス、3番手にK-tunes RC F GT3と続く。
すでにピットを済ませた車両の最上位は、4番手につけるリアライズGT-Rで、その後方にタイヤ二輪交換のD’station Vantage、20周すぎにピットを済ませたGAINER TANAX triple a GT-R、GAINER TANAX GT-R、19周目にピットインしたLEON AMGと続いた。
セーフティカーランは14分後の現地16時13分に終了し、GT300の周回で41周目にレースは再開。すると、このリスタートでGAINER TANAX triple a GT-Rとポジションを争っていたD’station Vantageが3コーナー立ち上がりで縁石外に埋め込まれているスピードバンプに乗ってしまい、マシンがバウンド。この間にGAINER TANAX triple a GT-R、GAINER TANAX GT-Rに交わされてしまう。
42周目に突入すると、最後までピットを延ばしていたロータス、初音ミク AMGがピットイン。これでリアライズGT-Rが見た目上でもトップに上がり、2番手にGAINER TANAX triple a GT-R、3番手にGAINER TANAX GT-RとニッサンGT-RニスモGT3がトップ3を独占する格好に。
GT-R GT3勢の後ろには藤井操るD’station Vantageが続いていたが、LEON AMGにオーバーテイクを許し5番手に後退。さらにレース残り5周のタイミングで右リヤタイヤがパンクするアクシデントが発生してしまい、上位争いからの脱落を余儀なくされた。
すると、今度はリアライズGT-RとGAINER TANAX triple a GT-Rのトップ争いが急接近し、レース残り3周でテール・トゥ・ノーズのバトルに発展する。
追いかけるGAINER TANAX triple a GT-Rの石川京侍は、11~12コーナーのバックストレートでリアライズGT-Rの平峰一貴に迫るも、最終12コーナー立ち上がり~1コーナーでの加速でリアライズGT-Rがギャップを広げ、一進一退の攻防が繰り広げられる。
1コーナーから3コーナーまでの長い直線区間でもリアライズGT-Rの背後に迫っていたGAINER GT-Rの石川は、ファイナルラップのインフィールドセクションで、リアライズGT-R平峰がGT500に進路を譲りインを空けたところに飛び込んでオーバーテイク。ファイナルラップでトップの座を奪った。
劇的な逆転を演じたGAINER TANAX triple a GT-Rはそのまま逃げ切りトップチェッカー。2019年シーズン初優勝を飾るとともに、GAINERにタイ戦2連覇をもたらした。
2位にはリアライズGT-Rが入り、ニッサンGT-RニスモGT3がワン・ツー。3位にはレース序盤にタイヤ二輪交換作戦を敢行したLEON AMGが食い込んだ。
2019年のスーパーGT、第5戦は約1カ月の8月3~4日に行われる富士スピードウェイ戦。昨シーズン同様、500マイルのシリーズ最長距離で争われる1戦となる。