レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが、F1第9戦オーストリアGP日曜日の決勝レースでフロントロウからスタートする。フェルスタッペンは予選を3番手で終えていたが、予選を2番手で終えていたルイス・ハミルトン(メルセデス)が、Q1でキミ・ライコネン(アルファロメオ)の走行を妨害したとして、3番手降格処分が科されたために、フェルスタッペンのポジションが1つ上がって2番手となった。
ホンダがレッドブルと組んだ今シーズン、フロントロウからスタートするのは今回が初めてのこととなるだけでなく、2015年にホンダがF1に復帰して以降、初めてとなった。
これ以前に、ホンダがF1でフロントロウを獲得した最後のグランプリは、2006年の第4戦サンマリノGPまで遡らなければならない。つまり、今回のフェルスタッペンのフロントロウからのスタートは13年ぶりのこととなる。
フェルスタッペンが予選で好結果を得ることができた理由は、レッドブルの車体とホンダのパワーユニットを合わせたパッケージが、ほかのサーキットに比べてレッドブルリンクに適合していたからではないだろうか。そのことは予選後のフェルスタッペンのコメントからもうかがえる。
「週末を通してマシンに競争力がある。コーナーが速くなったし、ホンダもPUから可能な限りのパワーを引き出せるよう懸命に作業している」
前戦フランスGPから投入しているホンダのスペック3は、ターボにホンダの航空エンジン研究開発部門の知見を適用した技術が入っている。このレッドブルリンクは海抜約700mの丘陵地帯にあるため、平地のサーキットに比べると空気が薄く、ターボの仕事量が重要となる。
■セクター1でのミスに落ち込むピエール・ガスリー
田辺TDは「これくらいの海抜だと、目に見えて違いが出るほどではない」と言うが、特にレッドブルリンクはコース全長が4.318kmと、3.337kmのモナコGP、4.304kmのメキシコGP、4.309kmのブラジルGPに次いで21戦中4番目に短く、コーナーが10個しかないことから、ラップタイムは21戦中、最速となる。
つまり、ドライバー間のタイム差が接近する傾向にあり、わずかな違いが順位に大きく影響するサーキットだっただけに、効率が良くなったスペック3のターボが、このレッドブルリンクで追い風になったことは間違いない。
もちろん、フェルスタッペンの走りも賞賛に値する。予選の全ラップタイムのベスト区間タイムではフェルスタッペンは、予選を4番手で終えていたバルテリ・ボッタス(メルセデス)のタイムに及ばないはずだったが、フェルスタッペンの区間自己ベストがすべて勝負となるQ3の最後のアタックで叩き出したのに対して、ボッタスは最後のアタックでセクター1で自己ベストよりコンマ2秒ロスしていた。
そのセクター1で最後のアタックでミスしたのが、ピエール・ガスリーだった。
「肝心なところでミスして、自分自身にがっかりしている。ターン1とターン3でミスをして0.3~0.4秒をロスした。あれがなければ5番手になれたと思う」と後悔したガスリーは予選を9番手で終えたが、予選5位のケビン・マグヌッセン(ハース)がギヤボックス交換により、5番手降格となったため、日曜日のレースは8番手からスタートする。予選で味わった悔しさを日曜日のレースで晴らしてもらいたい。