2020年の改正健康増進法の全面施行や、東京都の受動喫煙防止条例の施行に合わせ、企業の禁煙意識が高まっている。
人材ベンチャーのレバレジーズグループは7月1日から「禁煙プログラム」を開始する。外出先も含めた就業時間内をすべて禁煙にするほか、喫煙する社員のうち希望者には、禁煙外来の費用を全額負担する。
禁煙にあたって、同社は社員にアンケートを実施した。非喫煙者から「匂いや受動喫煙が気になる」「休憩時間の長さに差を感じる」など、禁煙を希望する声が半数以上あったという。
味の素は出張先でも原則禁煙、加熱式タバコも対象に
今年4月には「禁煙推進企業コンソーシアム」が設立された。社内喫煙率低下のノウハウを教え合うなど、会員企業相互にサポートするのが目的だ。6月下旬で加盟企業は大手企業を中心とした27社。ロート製薬やオムロンヘルスケアなど、医療や健康に関わる企業が多いが、ダイナムやオートバックスセブンなども名を連ねる。
トヨタは今年末までに、本社や工場などで屋内を禁煙にする方針だ。味の素も来年の7月までに、すべての事業所で勤務時間内を禁煙にする。出張先や移動先であっても原則禁煙、加熱式たばこも禁煙の対象だ。
禁煙を採用や昇進の条件にする企業も出てきた。禁煙推進企業コンソーシアムにも加盟している損保ジャパン日本興亜ひまわり生命は、非喫煙者でなければ執行役員以上に昇進できない。来年4月からは、入社時点で非喫煙者であることを募集要項に明記する。
禁煙補助薬を製造販売するファイザーは、新卒採用だけでなく、中途採用、契約社員からの正社員登用でも喫煙者は原則見送りにする。社内の喫煙ルールに違反した場合は、社内委員会によって処分が決まるという。
学校や病院、行政機関などの屋内は、改正健康増進法の全面施行に先立ち、7月1日から完全禁煙となる。たばこが個人の嗜好品だからという理由で許容される時代は過ぎつつある。