トップへ

GT300はタイを得意とするGT-Rが優勢か?「走ってみないと分からない」【スーパーGT第4戦タイGT300事前情報】

2019年06月28日 21:21  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

GAINER TANAX triple a GT-R
6月29~30日、タイ・ブリーラムのチャン・インターナショナル・サーキットで開催されるスーパーGT第4戦タイ。シリーズ唯一の海外戦で中盤戦の幕開けとなるレースだが、GT300クラスではどんなレースが展開されるだろうか。準備が進む28日のサーキットで、GT300関係者の話を聞いた。

 いまやMotoGPも開催されるなど、国際的なサーキットとして発展を続けるチャン・インターナショナル・サーキットは、2014年にこけら落としイベントとして開催されて以来、毎年スーパーGTが開催されている。ただ事前にタイヤテストができないコースであり、GT300ではどこが優勢なのかが見えづらいコースだ。

 関係者に話を聞いたなかで、車両特性の面で多くの関係者が「今週末はこれじゃない?」と挙げられた優勝候補の最右翼がニッサンGT-RニスモGT3。ターボ車でストレートに強く、ダウンフォースが効くコース中盤以降で速さを発揮するマシンだ。昨年もGAINER TANAX GT-Rが優勝を飾っている。

 ただ、GAINER TANAX GT-Rは第2戦富士で優勝を飾っており、ウエイトハンデは現在44kg。「そろそろ効き始める(GAINER福田洋介チーフエンジニア)」ころ。その点をタイヤとドライバーが補うことができれば今回も“来そう”な存在だが、一方でこの暑いタイでは、例年ヨコハマが元気。そこで挙げられるのが、昨年も予選でペナルティを受けながら好走をみせたGAINER TANAX triple a GT-R、そして今季から参戦するリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rという2台だ。

 またこのコースを得意とするもう一台が、同じく中高速コーナーが多いコースを得意とするレクサスRC F GT3。昨年ここで初表彰台を獲得したSYNTIUM LMcorsa RC F GT3、そして2017年には優勝を飾っているK-tunes RC F GT3。さらに地元戦で力が入るarto RC F GT3と、どれも強力な存在となりそう。K-tunes RC F GT3はウエイト次第だろうか。

 とはいえ、僅差の戦いのなかでこの2車種が必ず上位に来るか……と言えばそうではないのは間違いない。例年ここで予選上位に食い込んでいるHitotsuyama Audi R8 LMSなどは、昨年は勝てるレースを不運で落としているだけに、今季はそのリベンジに燃えている。昨年はタイム抹消となったものの、マネパ ランボルギーニ GT3もここでは速い。

 また例年予選上位に来る存在としてはARTAも挙げられる。マシンをNSX GT3にスイッチしてどう変化するかだが、こちらも昨年予選で速かったModulo KENWOOD NSX GT3の道上龍は「NSX GT3はエボモデルのパッケージになってどうなるか」という。ただ侮れない存在なのは間違いないだろう。

 そして忘れてはいけないのはJAF-GT勢。例年こちらも速いのはSUBARU BRZ R&D SPORT。そして2016年にここでポール・トゥ・ウインを飾ったHOPPY 86 MCも、このタイでは怖い存在だ。特にHOPPY 86 MCの松井孝允はここが大得意。ちなみに、HOPPYは今回“秘密兵器”があるそうで、うまく効果を発揮すればレースでの強みになるかもしれない。

 一方、今季ニューマシンとなったTOYOTA GR SPORTS PRIUS PHV apr GTだが、昨年は追い上げて2位を得ている存在。嵯峨宏紀によれば「去年ほどのスピードはないけれど……」というが、ストレートのパワーは今季の方があり、「抜いて表彰台まで上がった去年のようなレースができるかもしれない」というから興味深いところだ。

 タイヤの面でも、毎年のようにウイナーが変わっており、ここが強い……とはひと口に言いづらいのがこのチャン・インターナショナル・サーキットでのレース。昨年無交換作戦を採ったチームもあり、今季もやってくるチームはあるだろう。ただ、異口同音に聞かれたのは、結局のところ「走ってみないと分からない」ということだ。どんな勢力図になるのか、6月29日の公式練習の結果が見どころになるのかもしれない。