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WEC:フォードもハイパーカー参入か? 7月にGT進化版を公開へ。アストンはプライベーター供給も視野に

2019年06月28日 06:51  AUTOSPORT web

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フォードが公開した“ultra high-performance supercar”と謳う新型モデルのティーザー画像
フォードは来月7月開催のグッドウッド・フェステバル・オブ・スピード2019の会場にて、ル・マン24時間を含むWEC世界耐久選手権を戦ったGTE車両のベースモデル、『フォードGT』の“ウルトラ・ハイパフォーマンス版”をラウンチすると発表。将来的にWECハイパーカー規定への挑戦を示唆するモデルになるとみられている。

 フォードのモータースポーツ活動を担うフォード・パフォーマンスは、先の6月15~16日に行われた2018/19“スーパーシーズン”最終戦ル・マン24時間をもって、4年間に渡ったWECへのファクトリー参戦を休止。同様に、北米IMSAのウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップでのワークス活動も、今季限りで終了することを表明している。

 公開されたティザーイメージに関して、フォードはウルトラ・ハイパフォーマンス・スーパーカーという情報しか明かしていないものの、その実態はスポーツカー耐久シーンで活躍を演じたLM-GTE仕様のフォードGTに敬意を表した高性能版ロードカーになる模様だ。

 7月4日のイギリス・グッドウッドのイベント会場では、この新型モデルのラウンチが行われ、そのアンベイルにはフォード・パフォーマンスのグローバル・ディレクターを務めるヘルマン・サレンボウと、フォードGTのロードカーとGTE仕様、双方の開発に携わったマルチマチック社のチーフ・テクニカル・オフィサー、ラリー・ホルトの両名が参加するという。

 また、フォードにとっても2020/21年のWECハイパーカー規定が「市販ベース、プロトタイプともに可」、「ハイブリッド搭載不問」と正式発表されて以降、初めての高性能モデルお披露目の場にもなる。

 前述のとおり、技術的詳細は明らかになっていないものの、この新型モデルには現行フォードGTの車体構成に加えハイブリッド技術の追加も噂され、将来的なWECハイパーカー参入を示唆するものとなるか、それとも北米IMSAのDPiクラスのプロトタイプを意図したスタディモデルとなるのか、はたまたGT3仕様へのコンバートも見据えたものになるのか、注目が集まっている。

■アストンマーティンはWEC用ハイパーカーのカスタマー供給にも前向きな姿勢


 2019年に北米NASCARやオーストラリア・スーパーカーへの新型マスタング導入を成功させた、フォード・パフォーマンスのモータースポーツ部門ディレクター、ピーター・ラッシュブルックは、このモデルが前述のいずれのカテゴリーを示唆するモデルになるかは明らかにしていない。

 しかし、マルチマチック社のホルトは「WECでのファクトリー活動終了後も、マルチマチック・モータースポーツ・ヨーロッパの社内部門は維持する」との興味深い発言も残している。

 また、2019年ル・マン24時間耐久レースの会場でトヨタとともに2020/21年のハイパーカー・クラス正式参戦を表明したアストンマーティンは、AMRでのワークス活動と並行して、新型『アストンマーティン・ヴァルキリーAMR Pro』のカスタマー供給を行う用意があることを明かしている。

 この新型ハイパーカーのカスタマーカー供給の可能性について尋ねられたAMR代表のデヴィッド・キングは、欧州メディアに対し「明らかに、イエスだ」と応えた。

「それは初年度ではないかもしれないが、我々の優秀で勤勉なトップレベルのカスタマーチームが、このマシンでレースすることを望んでいないとしたら、それは驚くべきことだろう」と自信をみせたキング。

 これまでの経験から、AMRは多くのカスタマーカー販売の実績を持っており、「そうしたノウハウは充分だし、より多くのアストンマーティンがレーストラックを走る姿は、本当にワクワクするものになるだろう」と続けた。

 AMRとして、すでに優良カスタマー向けにアナウンスを始めているとみられ、2019年はDTMドイツ・ツーリングカー選手権やブランパンGTでもアストンとの密接な協力体制を敷いてきたRモータースポーツなどが、ル・マン参入に興味を示している。