フォードは来月7月開催のグッドウッド・フェステバル・オブ・スピード2019の会場にて、ル・マン24時間を含むWEC世界耐久選手権を戦ったGTE車両のベースモデル、『フォードGT』の“ウルトラ・ハイパフォーマンス版”をラウンチすると発表。将来的にWECハイパーカー規定への挑戦を示唆するモデルになるとみられている。
フォードのモータースポーツ活動を担うフォード・パフォーマンスは、先の6月15~16日に行われた2018/19“スーパーシーズン”最終戦ル・マン24時間をもって、4年間に渡ったWECへのファクトリー参戦を休止。同様に、北米IMSAのウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップでのワークス活動も、今季限りで終了することを表明している。
公開されたティザーイメージに関して、フォードはウルトラ・ハイパフォーマンス・スーパーカーという情報しか明かしていないものの、その実態はスポーツカー耐久シーンで活躍を演じたLM-GTE仕様のフォードGTに敬意を表した高性能版ロードカーになる模様だ。
7月4日のイギリス・グッドウッドのイベント会場では、この新型モデルのラウンチが行われ、そのアンベイルにはフォード・パフォーマンスのグローバル・ディレクターを務めるヘルマン・サレンボウと、フォードGTのロードカーとGTE仕様、双方の開発に携わったマルチマチック社のチーフ・テクニカル・オフィサー、ラリー・ホルトの両名が参加するという。
また、フォードにとっても2020/21年のWECハイパーカー規定が「市販ベース、プロトタイプともに可」、「ハイブリッド搭載不問」と正式発表されて以降、初めての高性能モデルお披露目の場にもなる。
前述のとおり、技術的詳細は明らかになっていないものの、この新型モデルには現行フォードGTの車体構成に加えハイブリッド技術の追加も噂され、将来的なWECハイパーカー参入を示唆するものとなるか、それとも北米IMSAのDPiクラスのプロトタイプを意図したスタディモデルとなるのか、はたまたGT3仕様へのコンバートも見据えたものになるのか、注目が集まっている。
■アストンマーティンはWEC用ハイパーカーのカスタマー供給にも前向きな姿勢
2019年に北米NASCARやオーストラリア・スーパーカーへの新型マスタング導入を成功させた、フォード・パフォーマンスのモータースポーツ部門ディレクター、ピーター・ラッシュブルックは、このモデルが前述のいずれのカテゴリーを示唆するモデルになるかは明らかにしていない。
しかし、マルチマチック社のホルトは「WECでのファクトリー活動終了後も、マルチマチック・モータースポーツ・ヨーロッパの社内部門は維持する」との興味深い発言も残している。
また、2019年ル・マン24時間耐久レースの会場でトヨタとともに2020/21年のハイパーカー・クラス正式参戦を表明したアストンマーティンは、AMRでのワークス活動と並行して、新型『アストンマーティン・ヴァルキリーAMR Pro』のカスタマー供給を行う用意があることを明かしている。
この新型ハイパーカーのカスタマーカー供給の可能性について尋ねられたAMR代表のデヴィッド・キングは、欧州メディアに対し「明らかに、イエスだ」と応えた。
「それは初年度ではないかもしれないが、我々の優秀で勤勉なトップレベルのカスタマーチームが、このマシンでレースすることを望んでいないとしたら、それは驚くべきことだろう」と自信をみせたキング。
これまでの経験から、AMRは多くのカスタマーカー販売の実績を持っており、「そうしたノウハウは充分だし、より多くのアストンマーティンがレーストラックを走る姿は、本当にワクワクするものになるだろう」と続けた。
AMRとして、すでに優良カスタマー向けにアナウンスを始めているとみられ、2019年はDTMドイツ・ツーリングカー選手権やブランパンGTでもアストンとの密接な協力体制を敷いてきたRモータースポーツなどが、ル・マン参入に興味を示している。