ヤマハは6月25日~6月26日に鈴鹿サーキットで2019年の鈴鹿8時間耐久ロードレースに向けたテストを実施。テストでは1985年の鈴鹿8耐に参戦したヤマハTECH21(テック21)チームの復刻カラーをまとったヤマハYZF-R1が初めてサーキットを走った。
2日間のテストはヤマハ、ホンダ、カワサキの3メーカー合同で行われた。ヤマハのファクトリーチーム、YAMAHA FACTORY RACING TEAMは、午前、午後の2回、各1時間半のセッションで耐久仕様となった2019年型YZF-R1を走らせた。
テストには全日本ロードレース選手権を戦う中須賀克行とスーパーバイク世界選手権(SBK)を戦うアレックス・ロウズが参加した。チームの第3ライダーとして登録されているマイケル・ファン・デル・マークもテストに参加予定だったが、SBK第7戦イタリア(ミサノ)の初日に最終コーナーでハイサイド転倒を喫し、右手首とろっ骨2カ所を骨折したため、テストを欠場している。
このテストでヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームは、初日に2分06秒698で総合3番手、2日目に2分6秒416で総合2番手となるタイムを記録している。両日のタイムは中須賀が記録した。
「久々に鈴鹿8耐仕様のYZF-R1を走らせて、周回するごとにフィーリングが戻ってきました」と中須賀は初日を終えてコメント。耐久仕様となったYZF-R1に手応えを感じているようだ。
「JSB1000仕様とはいろいろと違いがあるので、今はその感覚に体を馴染ませているところ。進化を感じられたし、手応えは上々です」
2日目は、新パーツを投入し、本番に向けたテストを消化。午前のセッション終盤には日立オートモーティブシステムズシケインで中須賀は軽い転倒を喫したが、ライダー、マシンともにダメージはなかったという。
「新しいパーツを投入し、走行するたびにうまくまとまっていきました。アレックスにもセッティングを確認してもらい、好感触でした」と中須賀。
「軽く転倒してしまいましたが、まったく問題ありません。YZF-R1のセットアップは順調に進んでいます。ライバルも好タイムを出していますが、我々も決して負けていない。とても有意義な2日間になったと思います」
「チームスタッフやチームメイトとの関係性も非常に良好です。7月9~11日のテストでは僕が走行することになりますが、ここでさらにR1を煮詰めて、チームメイトに気持ちよく乗ってもらえるマシンに仕上げたいと思っています」
「マイケルは幸い順調に回復しているようですが、まだどうなるかは分かりません。僕としてはベストを尽くして、どんな状況でも対応できるように準備を整えます」
SBKのイタリア戦を終えてすぐに鈴鹿サーキットに駆けつけたロウズはSBK終わりの疲れがあり、初日は周回数をセーブするも、中須賀と同じく2分6秒台を切るタイムを記録した。2日目も2分6秒台に入れるなど、順調に耐久仕様のYZF-R1に順応し、マシンを仕上げているようだ。
ロウズは2日間のテストを以下のように振り返る。
「(初日は)自分自身もYZF-R1もとてもいい調子だと確認できた。ミサノの後、そのまま日本に来たから、少し疲れがあり周回数はセーブしたが、いいペースで走ることができたよ」
「(2日目は)中須賀サンといくつかのセッティングを試し、とてもいい手応えが得られた。僕にとってはスーパーバイク世界選手権で乗っているいつものYZF-R1とスペックが違うから、周回数を重ねることがとても重要だ。タイヤチョイスやピットストップの練習も含めて、すごく前向きなテストになったよ」
「この後、すぐにイギリスに戻ってプロモーションイベントに参加してから、ドニントンパーク(イギリス)でSBKレース、そしてラグナセカ(アメリカ)でのSBKレースと続き、その後に鈴鹿8耐に戻ってくる。忙しいスケジュールだけど、ラグナセカではレース後に数日休みを取る予定だから、しっかりリフレッシュして万全なコンディションで鈴鹿サーキットに帰ってくるよ」
なお、負傷したファン・デル・マークに関しては、順調に回復へ向かっているとチームを率いる吉川和多留監督はコメント。鈴鹿8耐に出場するかどうかはコンディション次第だという。
「ファン・デル・マーク選手は術後の経過が良好で、スーパーバイク世界選手権の第8戦イギリス大会はキャンセルするものの、第9戦アメリカ大会には参戦する意気込みのようです。鈴鹿8耐の参戦はコンディション次第ですが、ぜひ鈴鹿に来てほしいと願っています」
3メーカー合同テストを終え、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームは、7月9~11日に行われる第1回公式合同テストを経て、7月25日から鈴鹿8耐5連覇に挑戦する戦いへ臨む。