メルセデスF1は2019年シーズンの決勝日において、これまでのところ完璧な安定性を見せてきた。しかしながらチーム代表のトト・ウォルフは、大規模な作業が必要となった最近の問題に注意を払っている。
メルセデスが誇る2019年の100パーセントの勝率記録は、まず何よりもW10の傑出した耐久性に根ざしている。
しかしながらカナダGP予選後に発見されたルイス・ハミルトン車のオイル漏れと、フランスGPフリー走行中に検出された彼のマシンのセンサーに発生した問題により、ウォルフはたったひとつの小さなコンポーネントがトラブルを起こし得ることを明確に再認識することになった。
双方の問題の修理作業を行うなかで、メルセデスのクルーたちはマシンの内部動作を詳しく調べなければならなかった。
「昨年のオーストリアGPでの結果は、2018年シーズンのなかで最低のものだった」とウォルフはシュピールベルクで開催される今週末のオーストリアGPを前に語った。
「フロントロウを独占し、有望と見られたレースにおいて2台がともにリタイアしたということは、我々は多くのポイントを獲り逃がしたということになる」
「このレースにおいて我々は、F1ではあっという間に自体が悪い方へと変わってしまうということを、無慈悲にも思い知ることになった。信頼性とパフォーマンスは常に連携しているものなのだ」
「今年、我々の完走率は優れている。しかし我々のメカニックが、この2週間連続で“心臓切開手術”にも等しい作業をマシンに対して行わなければならなかったという事実を、なかったことにはできない」
「我々は様々なコンポーネントにおける、多くの異なる問題に直面した。そのどれもが容易にリタイアを引き起こす可能性があり、こうした課題はできるだけ早く克服する必要がある」
メルセデスはオーストリアでもマシンの信頼性を維持する作業を続けるが、週末には気温が高くなることが予想されており、それが潜在的な懸念材料となることをウォルフは指摘した。
「オーストリアの予報では気温が摂氏30度以上になるという。コースが標高の高い場所にあることから、空気密度が低いという要素も組み合わされる。つまりシュピールベルクでは冷却が大きな課題になり得る」
「それに加えて、あのサーキットは周回が短く、差が狭まる。それでも我々の方向性は明確だ。熱心に作業を続け、謙虚な姿勢を保ち、12カ月前よりも優れた仕事をするために、全力を注ぎ込まなければならないのだ」