中国上海郊外に位置する2004年オープンの上海天馬サーキットを舞台に開催された2019年CTCCチャイナ・ツーリングカー・チャンピオンシップ第3戦は、レース1トップチェッカーながらペナルティで涙を飲んだマーティン・カオの新型キアK3 2.0Tが、レース2最後尾からの大逆転劇を決めて勝利。そのレース1繰り上げで今季から参戦のトヨタ・カローラレビンも3位初表彰台を獲得している。
WTCC世界ツーリングカー選手権開催実績もある全長2.063kmのトラックで、6月22~23日の週末に開催されたイベントでは、長安フォードFRDチームの主力ドライバー2名、アンディ・ヤンとレイニー・へが同週開催のニュルブルクリンク24時間参戦のため欠席。
代わってチームは代役ドライバーにスーパーGT300クラスのエヴァRT初号機 X Works GT-Rをドライブするショウン・トンと、2018年までWTCR世界ツーリングカー・カップのレギュラーを務めたペペ・オリオラを招聘した。
そのオリオラは2018年終盤にもドライブ経験のあるフォード・フォーカスCTCCで予選6番グリッドを獲得する。しかし決勝ではショウンとともに最初のリタイアとなってしまう。
そのレース1を支配したのは、予選でポールポジションを獲得する速さを見せた東風キア・レーシングチームのマーティン・カオで、SAICフォルクスワーゲン333レーシングのチャン・チェン-ダン(フォルクスワーゲン・ラマンドGTS)と長安フォードFRDのジム・ケイ-トー(フォード・フォーカスCTCC)を引き連れ、3.7秒のマージンを築いてトップフィニッシュ。2019年から移籍したチームとうれしい初優勝を決めたかに見えた。
しかし、レース後に審議を行うと発表したレーススチュワードは、カオのキアがオリオラのマシン回収時に掲示されたイエロー区間で減速せず、タイム更新したことが明らかになったとしてレースタイムに30秒加算のペナルティを宣告した。
これによりカオは10位に後退し、VWのチャンが選手権リードを拡大する繰り上げ勝利をゲット。2位ジムに続き、4位に入っていたニューカマー、広州トヨタ・レーシングチームのサン・チャオが3位となり、今季からCTCCトップカテゴリーに挑戦を開始したトヨタ・カローラレビンが初ポディウム獲得を果たしている。
続く日曜、27周のレース2は、この日もポールシッターとなったキアのカオと、3番グリッドに着けていた北京汽車のジェイソン・チャン(BAICセノヴァD50)がスタートでまさかのストール。代わってフロントロウ発進のデヴィッド・チュー(BAICセノヴァD50)と4番手カイ・ユエ(キアK3 2.0T)が先頭で1コーナーへと進入していく。
すると背後では3番手を争ったオリオラと、BTCCイギリス・ツーリングカー選手権ドライバーでもあるアダム・モーガン(BAICセノヴァD50)がバトルとなり、ターン2でモーガンが前へ。続くターン3でトヨタのチャオがスピンしたのを回避したオリオラは6番手にまで後退する。
その後、後続を引き離し始めた首位のチューに対し、モーガンが逃さじと13周目にカイ・ユエのキアをかわして2番手に浮上。するとレース中盤を過ぎたところで最後尾から猛追を見せていたカオのキアK3 2.0Tが15周目にオリオラのフォードを鮮やかにかわし、前を行くファン-カルロス・チュー(BAICセノヴァD50)、ロドルフォ・アヴィラ(フォルクスワーゲン・ラマンドGTS)との距離を詰めていく。
さらに2周後にその2台をまとめて仕留めたカオは、20周目に発生したオリオラとチューのクラッシュにも乗じて差を詰めると、22周目にチームメイトのカイを抜き去り3番手に浮上。モーガンと首位チューのBAICセノヴァD50艦隊を猛然と追いかける。
残り5周の時点で10秒以上あったギャップはみるみる削り取られ、残り2ラップでついにモーガンを捉えて2番手へ。残るは首位チューのマシンのみとなり、迎えたファイナルラップ。残るコーナーふたつのところでついにBAICセノヴァD50の横に並んだカオのキアK3 2.0Tは、そのままコーナー立ち上がりで前に出て大逆転のトップチェッカー。前日にペナルティで失った勝利を取り戻す雪辱のレースリザルトとなった。
2位チューに続き、3位ポディウムには同じく最終盤の逆転でモーガンをかわしたチャン・ダ-シェン(キアK3 2.0T)が入るも、こちらもペナルティ30秒加算で8位に降格。代わってモーガンが3位。4位に15番グリッドから挽回のVWチェンが続いている。
続く2019年シーズンCTCC第4戦は、7月7日の週末に上海から南に約190キロ離れた500万人の人口を持つ都市、紹興に位置する浙江インターナショナルサーキットで争われる。