トップへ

元KARA ク・ハラ、『テレ東音楽祭2019』で活動再開へ ボーカリストとしての実力を考察

2019年06月26日 16:21  リアルサウンド

リアルサウンド

ハラ『Alohara (Can You Feel It?) 』

 かつては韓国のガールズグループ・KARA(カラ)のメンバーとして人気を集め、現在はソロで活躍するク・ハラが、このたび日本の芸能事務所と契約を結び、本日6月26日放送のテレビ東京開局55周年特別企画『テレ東音楽祭2019』に出演する。同番組でハラは、沖縄出身のグループ・Chuning CandyとともにKARAの代表曲「ミスター」を披露する予定だ。


(関連:少女時代はいかにしてK-POPの枠を超えたか 楽曲、ダンス、ライブから4年の歩みを分析


 ご存じの通り、彼女はKARAの黄金期を支えた重要メンバーの1人。可愛らしいルックスをはじめ、ファッションや運動神経の良さなど、これまではどちらかというと歌以外でスポットライトが当たることが多かったが、実はシンガーとしても魅力的な要素を多く持つ。そこで今回の活動再開を機に、ボーカリスト=ク・ハラにあらためて迫ってみたいと思う。


 モデルの活動を経て、2008年にKARAに加入したハラは、「Rock U」の大ヒットでいきなりスターダムへ。とはいえ、この曲では他のメンバーと一緒にコーラスをしたり、かけ声を入れたりする以外は、〈記憶は君を作って〉というパートを単独で歌う程度。新しく生まれ変わったグループのイメージ作りには貢献しているものの、歌唱の面では残念ながら存在感を十分にアピールできていない。


 以降のKARAのヒット曲も他のメンバー(主にパク・ギュリ、ハン・スンヨン、ニコル)が引っぱっているケースが大半であり、ハラは長い間シンガーとしての実力を発揮できないでいた。その状況を打破したのは2011年、韓国のテレビドラマ『シティーハンター in Seoul』(イ・ミンホ&パク・ミニョン主演)のメイントラック「I Love U, I Want U, I Need U(Sweet Acoustic ver.)」を歌ったあたりだろう。


 同曲はアコースティックギターとパーカッションがメインのスローバラード。ここで彼女は〈まだ幼いなんて言わないで I LOVE YOU/今この瞬間もあなたの声が聞きたいの〉と甘く切なく歌う。自らもワガママなお嬢様役として同ドラマに出演しているせいか、表現力がグループにいるときよりもアップしているのが印象的だ。『シティーハンター in Seoul』に関わることで、歌手と役者の両方で大いに刺激を受けたと思われる。


 歌手としての個性をぐっと前面に出すことに成功できたのは、2012年にリリースしたソロ曲「SECRET LOVE」だ。管楽器やギターなどの生演奏によるキュートなポップスで、さわやかなメロディラインは彼女のライトでフレッシュなボーカルによく似合う。曲のコンセプトをはじめ、〈あなたについていくわ/1歩2歩こっそりと合わせていきながら/決して気付かれないように〉というキャッチーな歌詞もハラが制作に参加しており、この時点でアーティスティックな部分が開花したと言えよう。


 そして現時点の代表作となるのが、初のソロ作『Alohara(Can You Feel It?)』(2015年リリース)である。ハラ本人がアルバムのコンセプトや、ダンス、ミュージックビデオまで関わっており、結果的にどの曲もKARAとは違うスタイルに仕上がった。当時の最先端のジャンル・トラップを取り入れたクールなダンスポップ「どう? (Feat. ホ・ヨンジ)」では、“韓国版ブリトニー・スピアーズ”と呼べるほど情熱的なボーカルを響かせ、リードトラックの「Choco chip Cookies (Feat.Giriboy)」では、ゆったりとしたビートに乗せて成熟した大人の色香を漂わせる。


 このアルバムによってシンガーとしての力量と魅力がさらに上がったと思わせたが、残念なことにその後は本格的なソロ活動を行なっていない。だからこそこれからの日本活動には期待がかかる。公私ともにいろいろな経験を積んできた彼女が、どのようなスタイルで成長ぶりを見せてくれるのか、今から楽しみでならない。まずは『テレ東音楽祭 2019』で、帰ってきたク・ハラを温かく迎え、祝福したいと思う。(まつもとたくお)