開幕前のテストではある程度の速さを発揮できたポールリカール。しかしFIA-F3フランスの予選で、角田裕毅(イェンツァー)はまさかの27番手に終わった。「2セット目のタイヤで渋滞に捕まって、1周もアタックできませんでした。でもそれがなかったとしても、18番手ぐらいが精いっぱいだったと思います。とにかく一発が遅過ぎた」。しかもその原因は、「今のところまったく不明」だという。
とはいえレース1ではそこから何台もオーバーテイクし、最終的には20位も順位を上げて、7位でチェッカーを受けた。最終周まで8位だったのを、チェッカー目前にひとつ順位を上げるオマケも付けた。
「レース前半は少しペースを抑えて、タイヤをいたわる走りをしてました。何度かコースオフして、タイヤカスを拾ったりもしましたし。そこから無理に攻めると、タイヤがおかしくなってしまいますからね。後半は、抜ける自信がありました。最終周を僕だけ勘違いしてたんですけど、みんなの雰囲気から最終周っぽいなと思って(笑)プッシュして、7位に上がることができました」
しかし角田本人の表情は、完全には晴れていない。やはり予選の失速が、悔やまれるようだった。
「ストレートでもコーナーでもいたるところで抜けただけに、もっと前からスタートできてたらと思ってしまいます」
翌日のレース2は、フロントロー2番グリッドからのスタート。すぐに首位に立ち、FIA-F3初勝利の期待が高まった。しかしすぐにタイヤが垂れ初めて失速。途中、ペローニを押し出したとして5秒ペナルティ。7位でチェッカーを受けて、9位完走に終わった。
「序盤にペースを上げ過ぎて、それでタイヤが思った以上に早く垂れてしまったようです。後半はそれ以上ひどくならないよう、抑えるのに必死した。レース1では同じように序盤からプッシュして、それでもタイヤがここまで垂れなかった。今日の方が路面コンディションもよかったし、ちょっと意外でした。落ち幅は今日の方が、はるかに高かったですね。トップ勢はそれをわかってて、序盤を抑えてたのかもしれません。タイヤの空気圧調整で、何か失敗したのか……」
さらに5秒ペナルティに関しては、「全然納得がいかない」という。「露骨に押し出したつもりは、まったくなかったですし。まあ、あれがなくても7位でしたし、それほど変わりはないですが」
今後に向けては、予選の遅さにどう対処するかが重要になってくる。
「おそらくですけど、他チームがレースで使っているセッティングを僕らは予選でも使ってて、予選でのペースが彼らは速いのに、僕らはそれほどでもないということかもしれません。あくまで推測ですけど」
「ここはたまたまストレートが長いし、抜きやすいコースだったので順位を上げることができました。でもこれから予選の速さをどう改善していくか、考えないといけない。次戦以降も同じように予選で苦労する可能性がありますから」