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ホンダF1山本MDインタビュー:チームが苦戦するなかでも上位入賞したフェルスタッペンを絶賛。「数少ないチャンスを確実にものにしますね」

2019年06月26日 14:01  AUTOSPORT web

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2019年F1第8戦フランスGP レッドブル代表クリスチャン・ホーナー(左)、ホンダ山本雅史F1マネージングディレクター(右)
待望のスペック3のパワーユニット(PU/エンジン)が投入されたF1第8戦フランスGP。しかし伏兵ともいうべきマクラーレンの意外な活躍もあって、レッドブル、トロロッソともに期待したような結果をあげられなかった。これに関して山本雅史マネージングディレクターは、「サーキット自体、非常に難易度が高い。私たちはそれに、十分合わせ込めなかったのかもしれません」と語っていた。

──スペック3も投入され、山本さんとしても期待していたフランスGPだったのではないかと思います。しかし4台完走しながら、入賞圏内でのチェッカーは1台だけでした(※ピエール・ガスリーは11位チェッカー後、ダニエル・リカルドのペナルティで10位入賞)。そのマックス・フェルスタッペンも、表彰台に上がれずという結果です。
山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):正直ガッカリもありますけれど、週末3日間を見ていて一番感じたのは、このサーキットの難しさでしたね。

──それはどういうところでしょう?
山本MD:今回3人のドライバーにスペック3を入れて、確かに性能向上は確認できました。信頼性の点でも、まったく問題は出なかったですしね。にもかかわらず、少なくともこのサーキットにおいては、車体とパワーユニットがうまく噛み合っていないという印象を受けました。サーキットの難しさに、レッドブル・ホンダのパッケージが合わせ切れなかったというか。

 随所で、たとえばコーナリングの速度感などを見ていると、パッケージとしてのマッチングでいくつかの課題が残った印象ですね。合わせきれていないというか。あくまで伝聞ですけど、マックスも、「スペック3にはいい感触を持っているけど、このコースには合っていないかも」と言っていたそうですし。

■躍進するマクラーレンが今後の脅威に?



──レッドブル・ホンダとしては初めてのサーキットということで、いっそう難易度が上がったのでしょうか。
山本MD:私はそう見ていますね。もちろんレッドブルは超一流のレーシングチームですし、過去のデータ蓄積も凄いです。そこからホンダに合わせたセッティングをして来ているはずですが、彼らを持ってしてもここは難しいサーキットだったのではないかと思います。

──言い換えると今回速かったマクラーレンなどは、しっかり合わせられたということなんでしょうか。
山本MD:結果的には予選もレースも速さを見せていましたから、そうだったのかもしれないですね。

──ストレートスピードなどを見ると、空力効率に優れている印象です。
山本MD:私はコーナリングが速いな、と思いましたよ。ダウンフォースを比較的しっかり付けてる分、レースではどうかなと思いましたが、レースペースも悪くなかった。つまり、マクラーレンはパッケージとして、しっかりまとまっているということなんでしょうね。

──ホンダ勢の2チームは、マクラーレンにも力負けしたのかもしれないですね。だからこそいっそう、フェルスタッペンの4位入賞が光ります。
山本MD:まったく、その通りですね。彼のドライブ能力は、本当に素晴らしい。(カルロス)サインツを振り切って、(シャルル)ルクレールを抜きかけた。数少ないチャンスを、確実にものにしますよね。凄いドライバーです。

■母国フランスGPで大苦戦のピエール・ガスリー



──それと比べると今回のガスリーは、非常に苦しい週末でした。
山本MD:いやあ、厳しかったですね。何かガスリー車に不具合があったと考えないと、少しあの差は説明できないですね。

──カナダでもルノー2台に追いつけなかったですが、今回のトップ10圏外でチェッカーというのは、これまでになかったパターンです。
山本MD:そうですね。ただガスリーの前でフィニッシュしたリカルドにしても(キミ)ライコネンにしても、F1での実績ははるかに多いです。その辺の経験値が、このサーキットでは要求されるのかもしれません。それはドライバーに限らず、車体、パワーユニットについても、同様かもしれないですね。とにかく見た目よりはるかに難しいサーキットですよ。

 次のレッドブルリンクの方がわれわれのパッケージに合ってることは確かですし、何よりレッドブルにとってはホームグランプリですからね。ホンダもスペック3の熟成がより進むでしょうし、期待したいと思います。