6月25日、WRC世界ラリー選手権に参戦しているヒュンダイ・モータースポーツは、8月1~4日に行われる第9戦フィンランドで、元シトロエンワークスドライバーのクレイグ・ブリーンを起用すると発表した。
2018年までシトロエン・レーシングに所属しシトロエンC3 WRCをドライブしていたブリーン。しかし、今季はフランスのマニュファクチャラーが王者セバスチャン・オジエとトヨタを離れたエサペッカ・ラッピの2名体制としたことからWRCカーのシートを喪失することに。
そのため2019年シーズンはここまでWRCクラスでの参戦はなく、下位クラスのWRC2で採用されているR5カーを駆り、欧州各国のラリー選手権を戦ってきた。
そんなブリーンが今回、コドライバーのポール・ネイグルとともにWRC次戦のラリー・フィンランドでヒュンダイ陣営に加わることが決定。ヒュンダイはこの第9戦でブリーンを迎え、ティエリー・ヌービル、アンドレアス・ミケルセンとの3台体制とすることで、悲願のタイトル獲得に向けたポイント獲得を確実なものにしたい考えだ。
「今年は他のドライバーたちのラリーを見守るだけで、長く辛抱強く機会を待ち続けなければならなかった」と語るのは、ヒュンダイi20クーペWRCでWRCクラス復帰を果たすブリーンだ。
「そんななかで訪れたこのチャンス。1回限りではあるが、ポールと(WRCカーをドライブする)機会を得られたことを光栄に思うよ」
29歳のアイルランド人は、ラリー・フィンランドに過去9回出場し2016年には自身初のポディウムフィニッシュを同地で決めている。そんな高相性のイベントに対し、ブリーンは「WRCでもっとも多く出場したラリーなので、チームに何かをもたらすことができると思う。それにフィンランドに行くまでに、まだ充分に準備を進める時間があるからね」と自信をみせた。
一方、ブリーンの起用について、ヒュンダイ・モータースポーツのアンドレア・アダモ代表は次のように語っている。
「ラリー・フィンランドは非常に特殊なイベントのひとつであり、カレンダーで他に例をみないほどアプローチが難しい。チームにとってもクルーにとっても、これは大きな課題だ」
「そんななか、2019年シーズンのタイトル争いが正念場を迎え、メーカー間の競争も激しくなってきた。そのため、我々はクレイグ・ブリーンをフィンランドのラインアップに加えることにしたんだ」
「彼は過去にこのイベントで結果を残した。また、多くの経験を持っている。それは私たちにとって非常に重要なことだ。さらに、我々は彼とともにフィンランドに似たスタイルのイベントであるラリー・エストニアや、イベント前のテストに臨み本番に向けた充分な準備をするつもりだ」
「ヒュンダイ・モータースポーツはクレイグとポールを歓迎しているよ。彼らがティエリーやアンドレアスとともに活躍することを楽しみにしているんだ」
約1カ月後、1戦限りのWRC復帰戦に臨むブリーンは、ラリー・フィンランド前に行われるチームの事前テストに参加する。また、ラリー・エストニアではチームメイトとなるミケルセンと同イベント内で競い合う予定だ。