2019年06月26日 07:11 リアルサウンド
近年のAppleは、毎年6月に開発者会議を開催し9月に新型iPhoneを発表するのが通例となっている。そして、開発者会議終了から9月の発表までのあいだに様々なリーク情報が飛び交うのは、もはや風物詩である。今年は早くも対応アクセサリーがオンラインストアに登場した。
(参考:次期iPhoneはトリプルカメラを実装? 5G対応iPhoneは2020年までお預けか)
・トリプルカメラを実装
Apple関連ニュース専門メディア『9to5Mac』は24日、iPhone 11 Max(次期iPhoneの仮称)対応ケースが出品されたことを報じた。対応ケースが出品されたのは、イギリスでスマホアクセサリーを取り扱うオンラインショップMobile Funである。ケースの画面サイズについては明記されていないが、新型iPhoneの仕様に対応していると思われる設計がなされている(画像参照)。
目を引くのが背面のカメラレンズ部分。トリプルレンズに対応するように、ケースに大きな穴が開けられている。もっとも、トリプルカメラ実装に関しては、既報の通り4月頃にはすでに周知の事実となっていた。
着信/サイレントスイッチの箇所も注目すべきところである。現行のiPhoneでは、このスイッチは本体を横から見て左右にスライドさせるようになっている。対して11 Max対応ケースは、上下にスライドする仕様になっている。
そのほかに注意すべきなのは、外部接続コネクタが現行モデルと同じLightningコネクタであるところだ。こうしたケースの設計は、新型iPhoneがUSB-Cには対応しないと予想されることも意味している。
・iPhone XR後継機種もリリース?
iPhone 11 Max以外の機種に関しても、仕様が明らかになりつつある。『ビジネスインサイダー』は25日、新型iPhoneは3モデルが発表されると報じた。発表される3モデルは2018年の発表を踏襲して2モデルが最上位モデル、残るひとつが廉価版モデルである。廉価版モデルの価格は、iPhone XRと同様に1,000ドル(約10万円)を下回ると予想されている。
同メディアは、新型廉価版モデルの予想仕様についてもまとめている。背面カメラにはiPhone XS/XS Maxと同じデュアルカメラが実装される。画面に関しては、iPhone XRと同等の6.1インチで引き続きLCDディスプレイが採用される。
またiPhone XRは様々なカラーバリエーションがあることで話題となったが、新型廉価版モデルでは新色が選べるようになるかも知れない。新色の候補としては、ラベンダーとグリーンが挙がっている。バッテリーのサイズも大きくなると見られている。バッテリーが大きくなるのは、ほかのデバイスに電力を供給できる機能「双方向ワイヤレス充電」を実装するからである。この機能はまだスマホの一般的仕様とはなっていないが、例えばファーウェイのスマホ「Mate 20 Pro」に実装されている。
そのほかにはチップとFaceIDカメラが改良されて、新型廉価版モデルがiPhone XS/XS Maxと基本仕様がほぼ同等になると見られている。
・真のイノベーションは2020年?
以上のような新型iPhoneの予想仕様を見ると、結局のところ「確実に進化しているが、革新的なイノベーションはない」という近年のiPhoneのトレンドをなぞっているに過ぎない、と思われてしまう。もっとも、市場関係者のあいだでは2020年こそイノベーションの年となるという見方が広がっている。
Apple関連ニュース専門メディア『MacRumors』が17日に公開した記事では、iPhoneの仕様予測で世界的権威であるアナリストのMing-Chi Kuo氏が作成したレポートが紹介された。そのレポートによると、2020年にリリースされる3モデルの新型iPhoneのうち、ふたつの最上位モデルが5Gに対応する、とのこと。iPhoneの5G対応に関しては、Appleと大手チップメーカーQualcommの関係が悪化したことによって対応が危ぶまれたのだが、関係が改善したことにより来年には対応する見通しとなったのだ。なお、2021年にはすべての新型iPhoneが5Gに対応するとも見られている。
しかしながら、5G対応はイノベーションと言うほどのものではないだろう。真のイノベーションとは、2020年に待望のApple製ARメガネがリリースされることである。ARメガネに関してAppleは一切コメントしていないが、登場するまでの布石が整いつつある。『CNET』は6日、Apple主催の開発者会議WWDC19で発表されたAR関連技術こそがARメガネ登場の布石であると論じる記事を公開した。その記事でとくに注目しているのが、フォトリアルなARオブジェクトを活用したコンテンツを簡単に作成できるツール「Reality Composer」である。このツールで作成されたARコンテンツはApple製品のみに対応している。こうした仕様からは、近い将来ARメガネを中心としたApple製品だけで体験できる閉鎖的なARコンテンツ市場を形成する目論見がうかがえるのだ。
今年の新型iPhoneが現行モデルの改良に留まったとしても、Appleからイノベーションを起こすちからが失われたと判断するのは早計である。同社が真のちからを示すのは、来年なのかも知れない。
(吉本幸記)